一発もののハイプかと思っていたのだが、よく調べてみるとどうもこれが3枚目のアルバムらしい。昨年辺りからNMEが妙にプッシュしており、日本でもこのアルバムの国内盤がリリースされたりして最近注目を集めている男女二人組で、一説には姉弟だとも夫婦だとも恋人だとも言われているが実際のところはよく分からない。まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、ルックスも含めた得体の知れないたたずまいやキッチュなアートワークから、どうもある種の胡散臭さがあったのは事実。
構成は男が曲を書きギターを弾いて歌う、女はドラムをたたくというシンプルなもので、いかにも眉にツバをつけて聴きたくなるサイド・インフォメーション満載な訳だが、ともかく聴いてみて欲しい。カントリー、ブルース、ガレージ、フォーク、いろいろな要素がブチこまれているがこれは紛れもなくロックンロールだ。ギターとドラムだけの編成だがロックンロール以外の何者でもない。何か今ここで歌われなければならない切羽詰まったもの、という意味でこれはロックンロールなのだ。
このホワイト・ストライプスというのはアメリカのバンドなんだけど、こいつらの「とにかくオレに歌わせろ」的な迫力というのはやはりあの国の国力というか競争のあり方というかそういうものに大きく影響されていると思う。おそらくこんなバンドはあの国にはいくらでもいるんだろう。その大半は才能のないクズだろうが、テンパッたヤツが何万人もいれば中には力のあるバンドも出てくるはずだ。そういうシビアな社会からしか出てきようがないからこそロックンロールなのかもしれない。
|