音楽の聴き方には二通りあるんじゃないかと思う。一つはいろんなものを幅広く聴いて行く中で自分に訴えかけるものを見つけるやり方、もう一つは初めからある程度聴きたい音楽のイメージができあがっていてそれに近いものを探して行くやり方だ。僕自身この二つの聴き方をミックスしながら音楽とつきあっている訳だが、どちらかといえばやはり好きな音楽のコードみたいなものがあらかじめ自分の中にあって、それをヒットする音楽を探していることの方が多いような気がする。
そのコードを言葉でわかりやすく説明することは難しくて、そんなことができるくらいならわざわざメルマガやウェブ・サイトでいちいちまわりくどいディスク・レビューをしている必要もないと思うんだけど、そこを確実に突く一つのパターンは僕の場合やはりモッズであり、ジャムやザ・フーであり、そういうものが一つのスタンダードとして僕の中にあるのはどうも確かなようだ。ビートとグルーブの幸福な婚姻としてのモッズ・ミュージック、スタイル評議会、クールな情熱、ムムム…。
だがそれはノーザン・ソウルならそれでオッケーとかそういう安易な意味合いではもちろんない。良質なモッズ・ミュージックが受け継いできた精神の系譜をコンテンポラリーなスピード感とオリジナルなアイデアで、21世紀の今、敢えて時間を割いて聴くに値する音楽へと昇華できるかどうかということこそが重要なのは言うまでもない。ダヴズ。自分を育んだ音楽への正当なリスペクトと、その系譜を受け継ぎながらそれを超えて行こうとする意志。オレが聴きたかったのはこれだよ。
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