logo 全曲バージョン解説27(261-)


[261] 永遠のコメディ
トーキング・ブルース・スタイルのスロー・ソング。5分弱とこのアルバムでは最も長く、アルバムの中核をなすメッセージを含んだ重要な曲だ。残酷な分裂、巧妙な略奪、静かな検閲、引き裂かれた世界でよるべを失い離ればなれになった個をたやすくからめとって行く洗練された全体主義のなかで、どこにも属さない僕たちの魂はどのようにして善く生きることができるのか。佐野はその答えを示さない。ただすべては無常に移ろうだけだ。

あたかも完全であるかのように作り上げられた片輪な世界。だが世界が不完全なのは僕たち自身が不完全であることの写し絵にすぎない。そこにあるのはもはや党派の対立ですらなく、ただどうにもできないような現実を知って右往左往する人の群れだ。そのさまを、佐野はいつまでも終わらないコメディになぞらえた。空気が足りないことをカナリアのようにだれよりも早く知らせるのが詩人の仕事であり、その先は僕たち自身の領域なのだ。
[123] WHERE ARE YOU NOW
●アルバム ●オリジナル
●2022.7.6 ●DaisyMusic
●曲順:11 ●バージョン:(A)
●表記:永遠のコメディ
●英文名:The Perfect Comedy
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[262] 大人のくせに
ツイン・ギターと渡辺のハモンド、小松の手数の多いドラムでドライブするミドル・テンポの16ビート・ナンバー。騒々しいアレンジと軽妙なリズムに乗せてサビのないAメロだけが繰り返される珍しいパターンの曲だ。もう大人なのに簡単に傷つき、世間の皮肉や風刺におろおろする「君」とは、フェイク・ニュースや根拠のない誹謗中傷が横行する匿名のコミュニティで疑心暗鬼に陥り、英雄の出現を待ち望んでしまう僕たち自身のことか。

そこで迷路にハマり意気揚々と怪しげな自説をまくしたてる偽名の気取り屋も本当は「ただどうにか傷口をかばってるだけ」「心ないこんな世界を笑いとばしたいだけ」なのだと佐野は歌う。この怪しげな世界で本当の孤独を引き受け、ひとりでずっと歩いて行くことのできる強さはどこで手に入れることができるのか。英雄もファシストも必要としない確かな視界はどの高みで得ることができるのか。ポップ・ソングに忍ばされた寸鉄は鋭い。
[123] WHERE ARE YOU NOW
●アルバム ●オリジナル
●2022.7.6 ●DaisyMusic
●曲順:12 ●バージョン:(A)
●表記:大人のくせに
●英文名:Growng Up Blue
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[263] 明日の誓い
ギターのリフが印象的なミドル・テンポのフォーク・ロック・ナンバー。山本拓夫(サックス)と西村浩二(トランペット)によるブラスをフィーチャーしている。アルバムの事実上のラスト曲であるが、重い現実認識についても正面から切りこんだアルバムの締めくくりとしては意外なほど軽快だ。なによりブリッジの「理想がなければ人は落ちてゆく」「希望がなければ人は死んでゆく」というはっきりしたステートメントが佐野らしい。

こうした表現が上すべりせず、しっかりとした手ごたえと説得力をもって聴き手に届くのは、佐野が、シリアスな現実認識をポップ・ミュージックとして流通させることに強くこだわったこのアルバム全体のトーンを踏まえながら、あたりまえに見える言葉のひとつひとつを丁寧に、厳密に再定義しながら用いているからだ。最後に高らかに吹き鳴らされるブラスは日常に息をひそめながら現実を見定めようとする者たちへのファンファーレ。
[123] WHERE ARE YOU NOW
●アルバム ●オリジナル
●2022.7.6 ●DaisyMusic
●曲順:13 ●バージョン:(A)
●表記:明日の誓い
●英文名:Better Tomorrow
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[264] 今、何処
アルバムの最後に置かれたアンビエントな作品。ギターとシンセが不穏なコードを鳴らす奥から「ここどこ」「みんな今どこ」というつぶれた声が聞こえる。つかのま同期しようとしている孤独な魂たちが、不確かな世界で周波数を合わせるように互いを呼び合う声のようにも思える。英文タイトルは『Where Are We Now』。「君」を探す営みから我々自身の現在地を探る視点への転回。最後にバックドアを開き作品をリスナーの手に委ねた。
[123] WHERE ARE YOU NOW
●アルバム ●オリジナル
●2022.7.6 ●DaisyMusic
●曲順:14 ●バージョン:(A)
●表記:今、何処
●英文名:Where Are We Now;
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[265] See Far Milesのテーマ
1992年から1993年にかけて行われた「See Far Miles Tour Part I」と「Part II」のオープニングに演奏されたインストルメンタル・ナンバー。ザ・ハートランドが先にステージに登場して演奏を始め、曲の終盤に佐野が現れて次の曲に入るという構成になっていた。ハートランドがバンドとしてピークを迎えていた時期の作品で、東京Be-Bopのブラスをフィーチャーしたアップテンポでソウルフルな演奏が印象的だ。スタジオ音源は未確認。
[127] SWEET16 30TH ANNIVERSARY
●アルバム ●コンピレーション
●2023.3.29 ●DaisyMusic ●MHCL 2984-90
●曲順:3-1 ●バージョン:(A)
●表記:プロローグ〜See Far Milesのテーマ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

1992年3月23日、神奈川県民ホールでのライブ。
[127] SWEET16 30TH ANNIVERSARY
●アルバム ●コンピレーション
●2023.3.29 ●DaisyMusic ●MHCL 2984-90
●曲順:5-1 ●バージョン:(B)
●表記:プロローグ〜See Far Milesのテーマ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

1993年1月24日、横浜アリーナでのライブ。



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