logo 全曲バージョン解説26(251-)


[251] いばらの道
スローなバラード。北原白秋の『この道』を思い起こさせる導入から、ここはいつか来た静かないばらの道だと繰り返す。そして、朝がくれば、明日になれば涙の跡も消え、悲しいことも忘れると佐野は歌う。しかしそれは決して楽天的な希望の歌ではない。それはむしろ、静かに忍び寄る暗い影のように不吉で窮屈な、息苦しい時代の空気を暗示している。そのなかで涙の跡が消える夜明けを待つ、これは祈りの歌、ゴスペルに他ならない。

もちろん、「いばらの道」に何を重ね合わせるかは聴き手に委ねられている。どんな人もなにがしかの煩いや憤りを抱えているのは当然だし、その重みは結局だれとも分け合うことのできないひとりひとりの荷物である。しかし優れたゴスペルは、シンプルであるゆえに、ひとりひとり異なるはずの痛みを重層的に引き受け、それを生の希求に転化するだけの寛容さと多義性をもっている。この曲もまたそうした系譜につながる作品だと思う。
[122] ENTERTAINMENT!
●アルバム ●オリジナル
●2022.4.8 ●DaisyMusic
●曲順:10 ●バージョン:(A)
●表記:いばらの道
●英文名:ALL OUR TRIALS
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。



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