logo 全曲バージョン解説18(171-180)


[171] 国のための準備
演奏時間3分強のロックンロール・ナンバー。佐橋佳幸、Dr.kyOnに加え、元ハートランドの長田進がギターで参加、分厚いギターの鳴りを聴かせる。切れ味の鋭いスピード・ナンバーというよりは、スネアの手数の多いドンドコ系でなだれ込むイメージの曲。ストレートなロックンロール・ナンバーはレパートリーの中でも意外に少ない。アルバム・リリースに先立ち、2004年7月5日にテレビ番組「HEY!HEY!HEY!」に出演した際に披露された。

『国のための準備』というのはそれ自体では分かるような分からないような微妙な表現。多くの人はこの曲を国家権力に対するプロテスト・ソングと受け取っているのではないだろうか。だが、この曲は、自らを権力と対置して安全な場所からそれを批判、揶揄するというよりは、我々の生活自体もまた権力の行使であることを前提に、さらに大きな権力との関わり(国のための準備)を我々自身に問いかけるものだ。短いが存在感のある曲。
[75] THE SUN
●アルバム ●オリジナル
●2004.7.21 ●DaisyMusic ●POCE-9380
●曲順:13 ●バージョン:(A)
●表記:国のための準備
●英文名:For the country
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[77] THE SUN LIVE AT NHK HALL
●アルバム ●ライブ
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3803
●曲順:15 ●バージョン:(B)
●表記:国のための準備
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2005年2月20日、東京・NHKホールで行われた「THE SUN TOUR」最終日のライブ。
[80] LIVE AT 東京国際フォーラム
●アルバム ●ライブ
●2006.11.22 ●DaisyMusic ●POCX-9381
●曲順:8 ●バージョン:(C)
●表記:国のための準備
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2006年4月2日に東京国際フォーラムで行われた「星の下 路の上」ツアー最終日のライブ。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:70(5-6) ●バージョン:(A)
●表記:国のための準備
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[172] 太陽
アルバムのラスト・ナンバーでありタイトル・ソング。16ビートのアコースティック・ギターのストロークで始まる。ハネたブルース・ロックでゆったりとした曲調。月夜から始まり、「日はまた昇り月はまた巡り」と歌った『君の魂 大事に魂』を経て、最後に「太陽」にたどり着くアルバムの構想の中で核になる曲だが、歌詞には「太陽」は登場せず、佐野はただ「神」に、「ここにいる力をもっと」と祈る。神への直接的な言及は異例だ。

ここでの佐野は、「生き延びること」をそれだけ強く求めている。2001年9月の同時多発テロを経て、世界が大きく引き裂かれ、すべての人が旗印を鮮明にするように求められる息苦しい時代へ向かう中で、佐野はそれでも「今ここ」で生き続けることを何よりも望んだ。その祈りは神に向けられたものであると同時に僕たち自身に突きつけられた切っ先でもあり、赦しでもあった。21世紀という時代に最前線で対峙する覚悟を示した水準点だ。
[75] THE SUN
●アルバム ●オリジナル
●2004.7.21 ●DaisyMusic ●POCE-9380
●曲順:14 ●バージョン:(A)
●表記:太陽
●英文名:The Sun
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[77] THE SUN LIVE AT NHK HALL
●アルバム ●ライブ
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3803
●曲順:17 ●バージョン:(B)
●表記:太陽
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2005年2月20日、東京・NHKホールで行われた「THE SUN TOUR」最終日のライブ。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:71(5-7) ●バージョン:(A)
●表記:太陽
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[115] GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●Sony Music Direct ●MHCL 30640-2
●曲順:3-16 ●バージョン:(C)
●表記:太陽
●英文名:The Sun
●バージョン名:Alternate version

新たなミックス。音の質感が異なる。


[173]
2001年9月11日、同時多発テロが発生、ニューヨークの世界貿易センタービルの2棟の建物に飛行機が激突し、ビルは倒壊した。これを受けて佐野が急遽書き下ろし、レコーディングしたのがこの曲のデモであり、同月18日からインターネットでMP3ファイルが無料配布された。同月末までの公開期間に10万件近いダウンロードがあったとされる。その後、2005年8月にiTunesStoreでのリリース第一弾としてファイナル・バージョンが発売された。

テロを直接の題材にしながらも、ここでの佐野のメッセージは明確。曲と同時に発表された「ハードランドからの手紙#134」によれば、それは「憎しみの連鎖をほどかなければいけない」。イントロもなく始まるシンプルなブルース・ロックは、この曲の切迫性を伝える一方で、しかしまたそれがポップ・ソングのフォーマットに則ったものであることの重要性も示唆している。今日につながる困難な時代に佐野がどう向き合うかを示した原点。
[112]
●シングル ●オリジナル
●2005.8.17 ●DaisyMusic
●曲順:1 ●バージョン:(A)
●表記:光
●英文名:The Light
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[76] THE SUN STUDIO EDITION
●アルバム ●コンピレーション
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3802
●曲順:4 ●バージョン:(A)
●表記:光
●英文名:記載なし
●バージョン名:final version

オリジナル・バージョン。
[76] THE SUN STUDIO EDITION
●アルバム ●コンピレーション
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3802
●曲順:6 ●バージョン:(B)
●表記:光
●英文名:記載なし
●バージョン名:instrumental version

オリジナル・バージョンのボーカル・トラックをカットしたインスト。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:72(5-8) ●バージョン:(A)
●表記:光
●英文名:記載なし
●バージョン名:final version

オリジナル・バージョン。


[174] タンポポを摘んで
アルバム「THE SUN」のアウトテイクの一曲とされる。アルバム収録曲のコンプリート・バージョンなどを収めたコンピレーション「THE SUN STUDIO EDITION」に収録された。スリーブには「象徴的な詩にブルージーでジャジーな音楽性が展開されている」と説明されている。ジャズのスタイルを借りたHKBの演奏で、井上の引きずるようなベース・ラインから始まり、すぐに佐橋のギターが加わる。山本のフリーキーなサックス・ソロも印象的。

佐野には珍しい曲調で、歌詞もポエトリー・リーディングのよう。「君をなだめすかすために/やり方を変えるつもりはないぜ」「君のご機嫌を窺うために/しゃべり方を変えるつもりはないぜ」とは何の寓意か。とっつきのいい曲ではなく、アウト・テイクとなるのも分かるが、HKBの音楽的な達成のひとつとも言える特徴的な演奏であり、こうした形で世に出したことは評価されるべき。今となってはレア・トラックだが探す価値のある曲。
[76] THE SUN STUDIO EDITION
●アルバム ●コンピレーション
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3802
●曲順:5 ●バージョン:(A)
●表記:タンポポを摘んで
●英文名:記載なし
●バージョン名:unreleased track

オリジナル・バージョン。


[175] ヒナギク月に照らされて
引きずるような三連シャッフルのヘヴィなブギー調のナンバー。佐野が初めてコヨーテ・バンド(当時はまだその名はないが)のメンバーとレコーディングしたEP「星の下 路の上」の冒頭に収録されており、コヨーテ・バンドの産声ともいうべき作品。HKBとともに構築してきた、ジャム・バンド的なセッション・ワークがベースの厚みや奥行きを感じさせる音楽から、より直接的でスピードや勢いを感じさせる音楽に移行するスタート地点。

タイトルの「ヒナギク」は別名「デイジー」。いうまでもなく佐野が立ち上げた自らのレーベル「デイジーミュージック」のモチーフになった花だが、歌詞の中には残念ながら登場しない。「悲しいことばかりじゃない/耐えきれないってわけでもない」という歌詞は、日常の苛立ちに寄り添いながら、そこに生きるべき何かを探し続けてきた佐野の姿勢に変わりがないことを示すもの。それにしてもこの時期の佐野は花が気になっていたのか。
[78] 星の下 路の上
●シングル ●オリジナル
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3801
●曲順:1 ●バージョン:(A)
●表記:ヒナギク月に照らされて
●英文名:DaisyMoon
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[116] THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●DaisyMusic ●POCE-9399/400
●曲順:2-4 ●バージョン:(B)
●表記:ヒナギク月に照らされて
●英文名:Daisy Moon
●バージョン名:2020 mix & radio edit

渡辺省二郎による新ミックス。イントロにハモンドが挿入され、Aメロがダブル・ボーカルになるなどのリミックスが行われている。


[176] 裸の瞳
小気味いいアコースティック・ギターのカッティングで始まる、ハネた16ビートのポップ・チューン。佐野自身によるものと思われる鋭いブルースハープが曲全体を通じて大きなアクセントになっている。このセッションには渡辺シュンスケは参加しておらず、間奏で鳴らされるエレクトリック・ピアノも佐野の演奏か。佐野を加えても4ピースのシンプルなバンド編成で、HKBとは異なったビートを求める佐野の意図が率直に反映された作品だ。

この曲にも「ブロッサム」が出てくることからすると、やはりこの時期の佐野のキーワードは「花」なのか。「時はハチミツ」のラインにニヤリとした古いファンも少なくなかったはず。たいせつな自分を守ることだけでせいいっぱいのロンリーガール、明日を守ることだけでせいいっぱいのロンリーボーイ。それでもおぼれないように泳ぎ続けて行くというメッセージは明確。「大切な居場所を見つけ出すためのレジスタンス」は続いて行く。
[78] 星の下 路の上
●シングル ●オリジナル
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3801
●曲順:2 ●バージョン:(A)
●表記:裸の瞳
●英文名:Blossom
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[177] 星の下 路の上
コヨーテ・バンドのスタートとなった3曲入りEPのタイトル・ソング。ソリッドなギターのカッティングから始まるザラッとした手触りは、HKBのスムーズなグルーブとは異なった、リスナーとの新しい「つながり方」を予感させる。スネアの4つ打ちと破れたギターの音でゴリゴリと突き進んで行くスタイルで、ボーカル、ギター、感情、意味、何もかもがひと塊になってガツンとぶつかって来る荒々しさこそこの時の佐野が求めたものだろう。

歌詞は他愛のないロック・ソングだが、「目を開いて一歩前に前進」というラインに象徴されるように、そこには新しい旅への清新な決意がみなぎっている。このラインは佐野のサバイバルへの意志を示すフレーズとして他の場面でも繰り返し表明されて行くことになるものだ。デビュー・アルバムやジャック・ケルアックを持ち出すまでもなく、「路の上」は佐野にとって常に帰るべきところ。『Boy's Life』という英文タイトルも示唆的だ。
[78] 星の下 路の上
●シングル ●オリジナル
●2005.12.7 ●DaisyMusic ●POCE-3801
●曲順:3 ●バージョン:(A)
●表記:星の下 路の上
●英文名:Boy's Life
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[80] LIVE AT 東京国際フォーラム
●アルバム ●ライブ
●2006.11.22 ●DaisyMusic ●POCX-9381
●曲順:9 ●バージョン:(B)
●表記:星の下 路の上
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2006年4月2日に東京国際フォーラムで行われた「星の下 路の上」ツアー最終日のライブ。
[84] Coyote
●アルバム ●オリジナル
●2007.6.13 ●DaisyMusic ●POCE-9381
●曲順:1 ●バージョン:(C)
●表記:星の下 路の上
●英文名:Boy's Life
●バージョン名:Album Version

シングル盤とはミックスが異なる。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:73(5-9) ●バージョン:(A)
●表記:星の下 路の上
●英文名:記載なし
●バージョン名:Original single version

オリジナル・バージョン。
[107] LIVE AT 東京国際フォーラム
●アルバム ●ライブ
●2017.5.31 ●DaisyMusic ●POCE-9391/2
●曲順:3(1-3) ●バージョン:(D)
●表記:星の下 路の上
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2016年3月26日、東京国際フォーラムでのライブ。
[116] THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●DaisyMusic ●POCE-9399/400
●曲順:2-1 ●バージョン:(C)
●表記:星の下 路の上
●英文名:Boy's Life
●バージョン名:記載なし

アルバム・バージョン。


[178] 世界は誰の為に
アルバム「COYOTE」のリリースに先立ち、コヨーテ・バンドの深沼元昭の他、ヒートウェイヴの山口洋、グルーヴァーズの藤井一彦をゲスト・ボーカルに迎えて、「佐野元春 MusicUnited.」の名義で配信リリースされた。アルバムには佐野の単独ボーカル・バージョンが収められている。破れたギターの音で壁を作る手法は「星の下 路の上」とも共通しており、このバンドの基本的なキャラクターを体現するロック・チューンに仕上がった。

「我々のこれまでの道程で得た戦利品をおのおの持ちよって、一度俯瞰から眺めてみてはどうか」と佐野は書いている。「ある目的を持って書かれた曲とそれを求めている聴き手との幸福な邂逅を求めて」とも。一世代下のミュージシャンとの「連合」はコヨーテ・バンドの船出に寄せるプレミアム。「あなたが誰であろうと/構っちゃいられないけど」という性急さはこの時期以降の佐野の表現の軸になる世界観でありステートメントである。
[82] 世界は誰の為に
●シングル ●オリジナル
●2007.4.18 ●DaisyMusic ●DMS-003
●曲順:1 ●バージョン:(A)
●表記:世界は誰の為に
●英文名:Change
●バージョン名:MusicUnited Version

ボーカル・パートを佐野が、深沼元昭、山口洋、藤井一彦と分け合うバージョンで、「佐野元春MusicUnited」名義でiTunes Storeでのダウンロードのみでリリースされた。
[84] Coyote
●アルバム ●オリジナル
●2007.6.13 ●DaisyMusic ●POCE-9381
●曲順:10 ●バージョン:(B)
●表記:世界は誰の為に
●英文名:Change
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[116] THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●DaisyMusic ●POCE-9399/400
●曲順:2-2 ●バージョン:(B)
●表記:世界は誰の為に
●英文名:Change
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[179] 君が気高い孤独なら
アルバム「COYOTE」に先立って配信でリリースされたリード・シングル。『彼女はデリケート』を彷彿させる軽快なソウル・ビートでグイグイとドライブして行くポップ・ナンバーだ。英文タイトルの「Sweet Soul, Blue Beat」はツアー・タイトルになるなど、新しい仲間たちと作り上げたアルバムのキャラクターを明確に示すスローガンにもなっており、佐野の意気込みを窺わせる。グルーヴからビートへの橋渡しとなるステートメントだ。

コヨーテ・バンド以降の佐野が新しい局面に入っているとすれば、その中核をなす曲のひとつ。そこには個を主体的に引き受けることの孤独を「気高い」と表現する決意や覚悟があり、その上で「外が土砂降りになる前に、僕の歌を聴いて行ってくれ」と連帯を求めるしなやかさがある。ビートに乗せてぐんぐん進んで行く力と、光に満ちあふれたイメージ、「人の話などどうでもいい」と言いきる性急さが印象的。佐野の新たなスタンダード。
[83] 君が気高い孤独なら
●シングル ●オリジナル
●2007.5.30 ●DaisyMusic ●DMS-004
●曲順:1 ●バージョン:(A)
●表記:君が気高い孤独なら
●英文名:Sweet Soul, Blue Beat
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[84] Coyote
●アルバム ●オリジナル
●2007.6.13 ●DaisyMusic ●POCE-9381
●曲順:3 ●バージョン:(A)
●表記:君が気高い孤独なら
●英文名:Sweet Soul Blue Beat
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[86] The Very Best of Motoharu Sano
●アルバム ●コンピレーション
●2010.9.29 ●Sony Music Direct ●MHCL 20114
●曲順:16 ●バージョン:(A)
●表記:君が気高い孤独なら
●英文名:記載なし
●バージョン名:Original version

オリジナル・バージョン。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:75(5-11) ●バージョン:(A)
●表記:君が気高い孤独なら
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[116] THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●DaisyMusic ●POCE-9399/400
●曲順:1-1 ●バージョン:(B)
●表記:君が気高い孤独なら
●英文名:Sweet Soul Blue Beat
●バージョン名:2020 mix & radio edit

渡辺省二郎による新ミックス。オリジナルのテンポを微妙に落とし、6秒ほどサイズを伸ばしている。楽器の定位などもオリジナルとは異なる。


[180] 荒地の何処かで
アコースティック・ギターのストロークから始まるミドル・テンポのフォーク・ロック・ナンバー。最初のフレーズを歌い終えたところに挿入されるエレキ・ギターのカッティングが印象的。テンションや分数コードを多用し、どこか全体に逡巡しているような、躊躇しているような、内省的なトーンに仕上がっている。サビにもブリッジにも駆け上がるような華やかさ、派手さはなく、佐野も声を張り上げることはなく低域から中域で歌う。

タイトルに現れる「荒地」は当然、現代詩の始祖と言われるT.S.エリオットの長編詩から取られたものだろう。ここで佐野が荒地と形容したのは格差が広がり生きにくさが顕在化しつつあった2000年代の世界のことか。「真実が醜い幻ならば/僕らは何を信じればいいんだろう」という問いかけが、「本当の真実」を探し続けてきた佐野の口から語られることにこの曲の意味がある。「途方に暮れている」というラスト・フレーズが示唆的だ。
[84] Coyote
●アルバム ●オリジナル
●2007.6.13 ●DaisyMusic ●POCE-9381
●曲順:2 ●バージョン:(A)
●表記:荒地の何処かで
●英文名:Wasteland
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:74(5-10) ●バージョン:(A)
●表記:荒地のどこかで
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[116] THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020
●アルバム ●コンピレーション
●2020.10.7 ●DaisyMusic ●POCE-9399/400
●曲順:2-3 ●バージョン:(A)
●表記:荒地の何処かで
●英文名:Wasteland
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。



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