logo 全曲バージョン解説08(71-80)


[71] ボリビア―野性的で冴えてる連中
ヘヴィなセカンドラインに乗せて歌われるドラッグ・ソング。ボリビアは世界でも有数のコカインの原産地であり、「ボリビアから来た小さな天使」とはコカインのことに他ならない。コカインはアッパー系の麻薬であり、「野性的で冴えてる連中」という表現はコカインを服用したジャンキーを思い起こさせるし、引きずるようなAメロからスローダウンするBメロを経てサビで一気に加速する曲構成もコカインを象徴するかのようだ。

この曲の音楽的なハイライトはロックとして非典型なリズムでドライブするAメロの部分にあり、特徴的なリフと変則的なセカンドラインのリズムがこの曲独特のグルーヴを作り出している。この曲で佐野がドラッグに対してどのような態度を取っているのか直接は読み取り難いが、単純なアンチ・ドラッグを歌った健康的で啓蒙的な曲という訳ではないことは聴いてみれば分かるだろう。ライブでもアレンジを変えて演奏されることがある。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:4 ●バージョン:(A)
●表記:ボリビア―野性的で冴えてる連中
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[55] THE GOLDEN RING
●アルバム ●ライブ
●1994.11.1発売 ●Epic ●ESCB-1516/8
●曲順:21 ●バージョン:(B)
●表記:ボリビア―野性的で冴えてる連中
●英文名:Bolivia
●バージョン名:記載なし

1989年10月30日に大阪フェスティバルホールで行われた「ナポレオンフィッシュ・ツアー」でのライブ。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:4 ●バージョン:(A)
●表記:ボリビア−野性的で冴えてる連中
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[72] おれは最低
激しい自己否定が歌われるアヴァンギャルドな異色作。スローな前半部と、突然パンキーになるサビとで構成される曲のつくりもかなり異例なものだ。ステージでもたびたび披露され、その際にはサビ前のブレイクで佐野が激しく足を踏みならしてカウントするのが通例になっている。歌詞は抽象的ながら「おれは最低」と繰り返され、この時期に佐野が抱いていた苛立ち、違和感をかなり直接にたたきつけた作品だと言うことができるだろう。

この作品はアルバムの他の曲と異なりロンドンではなく東京でハートランドとともにレコーディングされた。当時の佐野は散文詩「エーテルのための序章」に見られるとおりかなり精神的にブレイクダウンした状態にあり、本作はそこから再び自己を療養し、表現のパスを見つけて行く過程である意味必然的に産み落とされた作品。このアルバムの成り立ちを考える上では避けて通ることのできない曲だろう。小気味いいカットアウトが秀逸。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:5 ●バージョン:(A)
●表記:おれは最低
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:5 ●バージョン:(A)
●表記:おれは最低
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[73] ブルーの見解
ボブ・ディラン・マナーのトーキング・ブルースと紹介されることの多い曲。淡々としたアコースティックなバック・トラックに乗せて、ボーカルというよりはポエトリー・リーディングともいうべきスタイルで詩が語られる。歌詞の内容は辛辣で、知った顔で自分を取り囲む人々を痛烈に皮肉るもの。一般には佐野の音楽を批評する浅薄なロック・クリティックスのことと言われているが、もしかしたら我々ファンのことなのかもしれない。

同じく1989年にリリースされたルー・リードのアルバム「NEW YORK」の収録曲との相似も見られるが、リリース時期的に佐野がリードのこのアルバムを事前に聴いていたかどうかは微妙で、むしろ佐野もリードもボブ・ディランを敬愛するがゆえの同時多発的な現象と見るべきかもしれない。ジャズ調のフリーキーなアレンジに変えてライブで演奏されることも少なくなく、佐野にとって重要な曲のひとつであることが窺われる。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:6 ●バージョン:(A)
●表記:ブルーの見解
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[55] THE GOLDEN RING
●アルバム ●ライブ
●1994.11.1発売 ●Epic ●ESCB-1516/8
●曲順:22 ●バージョン:(B)
●表記:ブルーの見解
●英文名:Vision Of Blue
●バージョン名:記載なし

1989年10月30日に大阪フェスティバルホールで行われた「ナポレオンフィッシュ・ツアー」でのライブ。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:6 ●バージョン:(A)
●表記:ブルーの見解
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[74] ジュジュ
アコースティック・ギターの軽快なストロークが印象的なスキッフル調のポップ・ソング。アルバムの中では最も親しみやすい曲のひとつでありファンの人気も高い。ライブでもしばしば演奏され、コンピレーションなどにも何度か収録されている。限定編集版のライナーによれば「ジュジュ」とはアルバムでドラムを担当したピート・トーマスの妻の愛称から取られたものとされている。メロディメイカーとしての佐野の資質が窺える。

歌詞はラブソングとも取れるが、そこで歌われるのはジュジュの「不在」。ジュジュがいなくても世界はこのまま回り続け、通り過ぎて行く。世界の外側に立ち、その黄昏をただ見送ることしかできない君と僕の疎外を佐野は歌う。僕たちの存在の頼りなさ、有限さを佐野はジュジュの不在を歌うことによって際立たせる。「悲しませたりしないぜ」と歌う佐野のボーカルのかすかな震えに僕はこの曲の本質を見る思いがする。名曲である。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:7 ●バージョン:(A)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[37] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●シングル ●オリジナル
●1989.8.21発売 ●Epic ●12・8H-3134
●曲順:2 ●バージョン:(A)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[47] また明日…
●シングル ●オリジナル
●1992.1.22発売 ●Epic ●ESCB 1276
●曲順:3 ●バージョン:(B)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:Studio Live Mix

1991年3月1日に「木のアトリウム」で行われたテレビ番組「Goodbye Cruel World」(同年4月1日放映)のためのアンプラグド・ライブ演奏を収録したもの。
[52] NO DAMAGE II
●アルバム ●コンピレーション
●1992.12.9発売 ●Epic ●ESCB-1342
●曲順:8 ●バージョン:(A)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン(ブックレットには「アルバム‘ナポレオンフィッシュと泳ぐ日’より収録」と記載)。
[55] THE GOLDEN RING
●アルバム ●ライブ
●1994.11.1発売 ●Epic ●ESCB-1516/8
●曲順:26 ●バージョン:(C)
●表記:ジュジュ
●英文名:JuJu
●バージョン名:記載なし

1992年3月23日に神奈川県民ホールで行われた「See Far Miles Tour Part I」でのライブ。
[68] GRASS
●アルバム ●コンピレーション
●2000.11.22発売 ●Epic ●ESCB-2190
●曲順:10 ●バージョン:(D)
●表記:ジュジュ
●英文名:JuJu
●バージョン名:'00 mix version

渡辺省二郎によるリミックス。オリジナル・バージョンより全体に音像がタイトになっている他、オリジナルではカットされていた佐野のスキャットなどが復元されている。一部からはボーカル・トラックが別テイクだとの指摘もある。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:7 ●バージョン:(A)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:20 ●バージョン:(B)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:Studio live mix

1991年3月1日に「木のアトリウム」で行われたテレビ番組「Goodbye Cruel World」(同年4月1日放映)のためのアンプラグド・ライブ演奏を収録したもの。
[88] 月と専制君主
●アルバム ●コンピレーション
●2011.1.26発売 ●DaisyMusic ●POCE-3808
●曲順:1 ●バージョン:(E)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

セルフ・カバー・アルバムのためにリテイク。シュープリームスの「恋はあせらず」に倣ったモータウン・スタイルの軽快な4ビートにリアレンジ。
[89] All Flowers In Time
●アルバム ●ライブ
●2011.12.21発売 ●DaisyMusic ●(No Number)
●曲順:3 ●バージョン:(E)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2011年6月19日東京国際フォーラムでのライブ。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16発売 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:29(2-13) ●バージョン:(A)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[106] 35周年アニバーサリー・ツアー・ファイナル
●アルバム ●ライブ
●2016.12.21発売 ●DaisyMusic ●POCX-29002
●曲順:2 ●バージョン:(F)
●表記:ジュジュ
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2016年3月26日、東京国際フォーラムでのライブ。


[75] 愛のシステム
佐野としてはかなり明確なプロテスト・ソング。だが、そのプロテストの対象は決して単純な「戦争の親玉」ではない。例えば1990年にアメリカが湾岸戦争を始めたとき、佐野はこの曲の歌詞を「アメリカの清らかな海 それは君の果てしない砂漠」とアレンジして歌ったが、それは決して彼岸のアメリカと此岸の自分を対置して歌ったものではなかった。それは何よりアメリカに育まれた自分、アメリカの多義性に対する告発だったのだ。

この曲はレコーディングされる前にライブで披露されていた。その時のアレンジは里村美和のパーカッションをフィーチャーしたアコースティックなものであったが、スタジオでは分厚いシンセを間奏に大きくフィーチャーしたものとなってしまい、この曲の鋭いメッセージ性がスポイルされた感が否めず残念。後にリリースされたハートランドによる演奏の方がまだしも直接的であったかもしれない。歌詞は警句として完成度が高く秀逸。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:9 ●バージョン:(A)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[34] 誰かが君のドアを叩いている
●シングル ●オリジナル
●1992.4.8発売 ●Epic ●ESCB 1291
●曲順:2 ●バージョン:(B)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:Studio Live Mix

1991年3月1日に「木のアトリウム」で行われたテレビ番組「Goodbye Cruel World」(同年4月1日放映)のためのアンプラグド・ライブ演奏を収録したもの。
[55] THE GOLDEN RING
●アルバム ●ライブ
●1994.11.1発売 ●Epic ●ESCB-1516/8
●曲順:25 ●バージョン:(B)
●表記:愛のシステム
●英文名:System Of Love
●バージョン名:記載なし

1991年3月1日に「木のアトリウム」で行われたテレビ番組「Goodbye Cruel World」(同年4月1日放映)のためのアンプラグド・ライブ演奏を収録したもの。
[66] The 20th Anniversary Edition
●アルバム ●コンピレーション
●2000.1.21発売 ●Epic ●ESCB-2080/1
●曲順:9 ●バージョン:(C)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:Edited version

オリジナル・バージョンのアウトロをフェイド・アウトにしてサイズを若干縮めたショート・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:9 ●バージョン:(A)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:16 ●バージョン:(D)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:The Heartland demo version

ハートランドと1987年に行ったセッションでのバージョン。アレンジや歌詞の一部がオリジナルとは異なっている。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:21 ●バージョン:(B)
●表記:愛のシステム
●英文名:記載なし
●バージョン名:Studio live mix

1991年3月1日に「木のアトリウム」で行われたテレビ番組「Goodbye Cruel World」(同年4月1日放映)のためのアンプラグド・ライブ演奏を収録したもの。


[76] 雪―あぁ世界は美しい
美しいシンセのアルペジオで始まるバラード。佐野自身はオリエンタルな曲であると評していて、この曲のニュアンスだけはロンドンのミュージシャンには出せないという理由からハートランドが演奏したバージョンがアルバムに収められた。ライナーによれば手塚治虫の「ブッダ」に影響された曲とされており、確かに東洋音楽的な曲調に加えミニマムな言葉を紡いで行く歌詞は禅的な無常感や侘びの佇まいをたたえているようにも思える。

だが、この過剰にキラキラしたシンセの音が耳につくのもまた事実。ブリッジの部分の挿入されるギターもヘヴィ過ぎて曲全体の質感を損ねている。この曲はもっとシンプルでアコースティックなアレンジでよかったのではないかと思う。殊更に曲を盛り上げようとする大仰なオーケストレーションが逆に感興を削いだ感は否めない。ビデオとともにリリースされたシングルでは編集されたショート・バージョンだが長い間気づかなかった。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:10 ●バージョン:(A)
●表記:雪―あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[39] 雪―あぁ世界は美しい
●シングル ●オリジナル
●1989.12.9発売 ●Epic ●(ESDB-3056)
●曲順:1 ●バージョン:(B)
●表記:雪―あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョンのフェイド・アウトを1分程度早めたショート・バージョン。
[40] Moto Singles 1980-1989
●アルバム ●コンピレーション
●1990.5.12発売 ●Epic ●ESCB-1064/5
●曲順:34 ●バージョン:(B)
●表記:雪―あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

ショート・バージョン。
[46] Slow Songs
●アルバム ●コンピレーション
●1991.8.28発売 ●Epic ●ESCB-1230
●曲順:11 ●バージョン:(A)
●表記:雪―あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

特に記載はないが、オリジナル・バージョンをそのまま収録したものと思われる。
[79] THE SINGLES EPIC YEARS
●アルバム ●コンピレーション
●2006.7.12発売 ●Sony Music Direct ●MHCL-836/7
●曲順:23 ●バージョン:(B)
●表記:雪―あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:Short edited version

ショート・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:10 ●バージョン:(A)
●表記:雪−あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:23 ●バージョン:(C)
●表記:雪−あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:The Heartland demo version

レコーディング・デモ。比較的オリジナルに近い。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16発売 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:32(2-16) ●バージョン:(B)
●表記:雪−あぁ世界は美しい
●英文名:記載なし
●バージョン名:Short edited version

ショート・バージョン。


[77] 新しい航海
「新しい航海」。文字通りであればこの曲は本来、次のステージに向かって漕ぎ出す佐野の新たなアンセムになるべき曲である。実際、ステージでも頻繁に披露されているし、1992年のコンピレーション「NO DAMAGE II」ではライブ・アレンジをベースにした新録バージョンもリリースされている。佐野にしては珍しくブギー調の三連のシャッフルを基調にしたこの曲は、確かにこのアルバムにおける「希望」を象徴しているようにも見える。

だが、僕はこの曲に何か煮えきらないものを感じない訳に行かない。「今までの夢は幻」であり「悲しげに生きるより眠りたい」と歌うこの曲には、僕たちに「今までの夢」に代わる「新しい航海」の内実を十分に示してはいない。具体的で僕たちが手に取ることのできるリアリティが欠けていることによって、この曲のメッセージは表層的なものにとどまっているという他ない。後年リリースされたデモ・バージョンがその意味でも興味深い。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:11 ●バージョン:(A)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[52] NO DAMAGE II
●アルバム ●コンピレーション
●1992.12.9発売 ●Epic ●ESCB-1342
●曲順:15 ●バージョン:(B)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:90's Version

ライブ・アレンジをベースにしたザ・ハートランドによるリテイク。
[55] THE GOLDEN RING
●アルバム ●ライブ
●1994.11.1発売 ●Epic ●ESCB-1516/8
●曲順:19 ●バージョン:(C)
●表記:新しい航海
●英文名:New Voyage
●バージョン名:記載なし

1993年1月24日に横浜アリーナで行われた「See Far miles Tour Part II」でのライブ。
[66] The 20th Anniversary Edition
●アルバム ●コンピレーション
●2000.1.21発売 ●Epic ●ESCB-2080/1
●曲順:15 ●バージョン:(D)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:'99 mix version

リテイク・バージョン(B)を渡辺省二郎がリミックスしたバージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:11 ●バージョン:(A)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:14 ●バージョン:(E)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:The Heartland demo version

ハートランドと1987年に行ったセッションでのバージョン。アレンジや歌詞の一部がオリジナルとは異なっている。
[89] All Flowers In Time
●アルバム ●ライブ
●2011.12.21発売 ●DaisyMusic ●(No Number)
●曲順:13 ●バージョン:(F)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

2011年6月19日東京国際フォーラムでのライブ。
[91] SOUND & VISION 1980-2010
●アルバム ●コンピレーション
●2012.5.16発売 ●Sony Music Direct ●DYCL 1821-5
●曲順:31(2-15) ●バージョン:(A)
●表記:新しい航海
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[78] シティチャイルド
街で生きること、都会に生まれた子供。軽快なロックンロールに乗せて佐野は自らのテーマとも言うべきモチーフを歌う。共同体が崩壊し、オートマチックに依拠できる関係性がどこにも見当たらない場所で、自分の居場所を確保し、自分の足で立ち自分の声で話す態度を身につける、ひんやりとした無関心の快適さとそれに内在するリスクを自覚的に引き受ける、それが街で暮らすということであり、佐野はそれをずっと歌い続けてきた。

そのような文脈で考えればこの曲はまさにそうした佐野的な都市生活概念の大切なアンセムになり得るはずだった。何しろ「街の子供」を標榜しているのだ。だが、「新しい航海」と同様、ここでもそのタイトルの下に歌われるべき内実は十分に組織されていない。具体的な裏づけ、日常に根差した実感に欠ける歌詞のせいで、この曲もまた上滑りな印象を免れることができない。小気味よいロックンロールに仕上がっているだけに残念だ。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:12 ●バージョン:(A)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[30] シティチャイルド
●シングル ●オリジナル
●1987.10.8発売 ●Epic ●ESDB 3001
●曲順:1 ●バージョン:(A)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[40] Moto Singles 1980-1989
●アルバム ●コンピレーション
●1990.5.12発売 ●Epic ●ESCB-1064/5
●曲順:32 ●バージョン:(A)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[79] THE SINGLES EPIC YEARS
●アルバム ●コンピレーション
●2006.7.12発売 ●Sony Music Direct ●MHCL-836/7
●曲順:22 ●バージョン:(A)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:Original single version

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:12 ●バージョン:(A)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:15 ●バージョン:(B)
●表記:シティチャイルド
●英文名:記載なし
●バージョン名:The Heartland demo version

ハートランドと1987年に行ったセッションでのバージョン。アレンジや歌詞の一部がオリジナルとは異なっている。


[79] ふたりの理由
ミドル・テンポでゆったりと展開されるソウル・ナンバー。だが特徴的なのはサビを除いてメロディがないこと。佐野は淡々としたポエトリー・リーディングでAメロ部分を牽引して行く。このアルバムでは他にもポエトリー・リーディングの手法を大胆に持ちこんだ曲がいくつかあるが、この曲ではバッキングは完全にポップ・ソングのパターンを踏襲しており、Aメロを語りで、サビでいきなり歌い出すというのはかなり異例なスタイル。

こうしたスタイルを選択した佐野の意図は想像するしかないが、ソウル・メイトを希求する歌詞のメッセージをより直接にリスナーに訴えたかったのか。結果として極めて率直かつ素直な心情が伝わる佳作に仕上がったが、バッキング・トラックがよくできており、ミュートが利いたソウルフルなブラス・セクションも秀逸なだけに、もしこの曲にオーソドックスなメロディがあったら、と思わずにはいられない。歌詞は象徴的、寓話的。
[36] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●アルバム ●オリジナル
●1989.6.1発売 ●Epic ●ESCB-1326
●曲順:13 ●バージョン:(A)
●表記:ふたりの理由
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[39] 雪―あぁ世界は美しい
●シングル ●オリジナル
●1989.12.9発売 ●Epic ●(ESDB-3056)
●曲順:3 ●バージョン:(A)
●表記:ふたりの理由
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[46] Slow Songs
●アルバム ●コンピレーション
●1991.8.28発売 ●Epic ●ESCB-1230
●曲順:4 ●バージョン:(A)
●表記:ふたりの理由
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

特に記載はないが、オリジナル・バージョンをそのまま収録したものと思われる。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:13 ●バージョン:(A)
●表記:ふたりの理由
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。


[80] 愛することってむずかしい
バディ・ホリーの『It's So Easy To Fall In Love』へのアンサー・ソングとされている。曲調はハードなギターを前面にフィーチャーしたワイルドなロックンロール。性急にビートを刻んで行くピート・トーマスのドラムが怖いほどシャープ。歌詞はシンプルで、僕たちの内に潜むやかましさ、浅ましさ、抜け目のなさを告発し、「愛するってことは難しい」と嘆く。その意味するところは多義的であり、個人的であると同時に政治的である。

シングルのカップリングでありオリジナル・アルバムには未収録。ステージで演奏されるのも聴いたことがなく、マイナーな存在の曲だが、他のカップリング曲と同様完結したコンパクトなチャームを備えており、必ずコンピレーションに入れるお気に入りのひとつ。「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日限定編集版」に収録された際には微妙に編集が加えられて別バージョンになっていたのにしばらく気づかなかった。コレクター泣かせな話だ。
[37] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●シングル ●オリジナル
●1989.8.21発売 ●Epic ●12・8H-3134
●曲順:3 ●バージョン:(A)
●表記:愛することってむずかしい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[40] Moto Singles 1980-1989
●アルバム ●コンピレーション
●1990.5.12発売 ●Epic ●ESCB-1064/5
●曲順:31 ●バージョン:(A)
●表記:愛することってむずかしい
●英文名:記載なし
●バージョン名:記載なし

オリジナル・バージョン。
[85] ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
   限定編集版
●アルバム ●コンピレーション
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1325-6
●曲順:17 ●バージョン:(B)
●表記:愛することってむずかしい
●英文名:記載なし
●バージョン名:Album outtake

オリジナル・バージョンでは2コーラス目の2箇所に挿入されていた効果音的なアタック音が消去されている。呉エイジさんからの情報でバージョン違いが判明した。



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