Visitors Tour 「Visitors Tour」はニューヨークからアルバム「VISITORS」を引っ提げて帰国した佐野元春が、1984年10月1日の前橋文化会館を皮切りに、翌1985年5月まで8か月に亘って80本以上のライブを行ったツアーである。 ツアー本編は4月4日の渋谷公会堂公演でいったん千秋楽を迎え、4月16日の金沢実践倫理記念会館から5月28・29日の品川プリンスホテル・アイスアリーナまで、大阪城ホールなど1万人クラスのヴェニューを含む10か所11本の公演は「VISITORS TOUR SPECIAL」と銘打ったスペシャル・プログラムとなった。 このツアーでは佐野は冒頭の『WELCOME TO THE HEARTLAND』をハードなファンクにアレンジして歌うなど、渡米前の楽曲とアルバム「VISITORS」の楽曲を違和感なくひとつのステージの流れに収めるのに腐心した。 僕はこのツアーを1月24日の大阪・万国博ホール、2月8日の姫路市文化センター、5月18日の大阪城ホールで見たが、ニューヨークでの友人ロン・スレイターの遺髪をおさげのように垂らした佐野のパフォーマンスは、アルバムが激しい賛否を巻き起こしたこともあってか鬼気迫るもので、モニタ・スピーカに片足をかけ、オベーションの12弦ギターをかき鳴らしながら『SHADOWS OF THE STREET』を歌う佐野の姿が強く印象に残っている。僕が初めて見た佐野のライブであった。 このライブでは品川プリンスホテル・アイスアリーナでの公演の模様がフィルムに収められライブ・ビデオ等として発売された他、4月2日から4日までの渋谷公会堂でのライブにもカメラが持ちこまれている。この時の様子は『WELCOME TO THE HEARTLAND』のみ映像が商品化されているが、それ以外のシーンについてはEPICソニーが全国で実施したビデオ・コンサート「BEE」で「Video Splash」と題してその一部が上映されて以降一般には公開されていない。 【音 源】 このツアーからの音源としては1994年リリースのライブ・アンソロジー「THE GOLDEN RING」に品川プリンスホテル・アイスアリーナでのライブから『COME SHINING』と『WILD ON THE STREET』の2曲が収められているのみであったが、2014年にリリースされた「VISITORS DELUXE EDITION」のボーナス・ディスクとして12曲を収めたCDがパッケージされた。
【映 像】 このツアーの様子は初めての本格的なライブ・ビデオ「VISITORS TOUR '84-'85」として1985年7月にリリースされた。このビデオに収められているのは5月29日の品川プリンスホテル・アイスアリーナでのライブの模様とされている。 その後、2014年に「VISITORS DELUXE EDITION」のパッケージにこのツアーの様子を7曲収録したDVDが含まれており、こちらは85年のビデオの前日、5月28日のステージをテスト・シューティングしたものと説明されている。 これら以外には「THE OUT TAKES」(1988年)、「SOUND & VISION」(2012年)、「LIVE ANTHOLOGY 1980-2010」(2012年)などにもこのツアーの様子が一部収められている。 なお、「VISITORS TOUR '84-'85」にはここに掲げた曲の他、演奏シーンをダイジェストで収録したパートがあり『悲しきRADIO』『ガラスのジェネレーション』『NIGHT LIFE』『スターダスト・キッズ』『HAPPY MAN』『君をさがしている』『麗しのドンナ・アンナ』『Heart Beat』などの一部がまとめて披露されている。
2021 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |