「Rock & Roll Night Tour」は初めての全国規模のホール・ツアーになった1982年の「Welcome to the Heartland Tour」のアンコール・ツアーとして、1982年9月から83年3月にかけて行われた50本以上に亘るツアー。東京では新宿厚生年金会館や中野サンプラザ、大阪では大阪厚生年金会館やフェスティバルホールなど、当時最大規模のホールに多くのファンを動員した。

時期としてはアルバム「SOMEDAY」が1982年5月にリリースされており、シングル・ヒットこそないが地道なライブ・サーキットからその人気に火が点いたタイミングにあたる。僕は当時高校生で、友達がグループで1982年12月24日大阪厚生年金会館でのライブを見に行くというので声をかけてもらったが、何だか気後れして断ってしまった。生涯の後悔。

このツアーからは最終日となる1983年3月18日のライブの模様がフィルムに収められ、後に「NO DAMAGE」のタイトルで映画化された。現在見ることのできるこのツアーの映像はすべてこの映画からのもの。また、同日の演奏は2013年にリリースされたアルバム「No Damage Deluxe Edition」のボーナス・ディスクとして14曲入りのライブCDがリリースされた。このパッケージには「FILM NO DAMAGE」のDVDも付属している。

CDでは『グッドバイからはじめよう』の前のMCで語られている通り、佐野はこのライブを最後に渡米、1年間ニューヨークに居を構えてアルバム「VISITORS」となる次作をレコーディングすることになる。

【音　源】

上記の通り、2013年にリリースされたアルバム「No Damage Deluxe Edition」のパッケージのDISC 2が「ROCK & ROLL NIGHT LIVE AT THE SUNPLAZA 1983」のタイトルで3月18日のライブから14曲を収録。この他、1994年リリースのライブ・アンソロジー「THE GOLDEN RING」に同じライブから『ガラスのジェネレーション』と『グッドバイからはじめよう』の2曲が収められている。

【映　像】

このツアーの様子は映画「NO DAMAGE」にまとめられたが、映画館ではなく、フィルム・コンサートという形で1983年7月から全国のホールで限定上映され、その後長くビデオ化もされず幻の映像作品となっていた。

実際にはその演奏シーンの多くはビデオ「Truth '80-'84」他に収められてリリースされており、ライブ・ビデオ・アンソロジーにも収録されている。映画「NO DAMAGE」は2013年にようやくリバイバルで劇場公開され、その後アルバム「No Damage Deluxe Edition」にDVDで同梱された。2018年には単独パッケージのDVDとしても発売されている。

映像で見られるのは以下に掲げた通り『悲しきRADIO』『ガラスのジェネレーション』『Heart Beat』『Rock ＆Roll Night』の4曲。『HAPPY MANメドレー』はメンバー紹介から『Welcome To The Heartkand』を含むメドレー部分のみで『HAPPY MAN』のシークエンスは収録されていない。

なお、映画「NO DAMAGE」にはここに挙げた曲の他『スターダスト・キッズ』『So Young』『君をさがしている』『彼女はデリケート』の4曲の演奏シーンの一部を抜粋して編集したダイジェストが収録されている。また、「Truth '80-'84」と「SOUND & VISION」には、このダイジェストのうち『君をさがしている』をカットしたものが収録されている。