ロック大陸漫遊祭り
ロック大陸漫遊祭り
スピッツ、Teenage Fanclub、Ride他
■ 2026年9月22日(火) 16:00開演
■ 有明アリーナ
スピッツ
Vocal, Guitar:草野マサムネ
Guitar:三輪テツヤ
Bass:田村明浩
Drums:崎山龍男
Teenage Fanclub
Vocal, Guitar:Norman Blake
Guitar, Vocal:Raymond McGinley
Keyboards, Vocal:Euros Childs
Drums:Francis MacDonald
Bass:Stephen Black
羊文学
Ride
Vocal, Guitar:Andy Bell
Vocal, Guitar:Mark Gardener
Bass:Steve Queralt
Drums:Wendy Killman
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セットリスト
スピッツ
● 美しい鰭
● さらばユニヴァース
● けもの道
● I Want You To Want Me
● 見知らぬ糸
● みなと
● プール
● 旅の途中
● 涙がキラリ☆
● メモリーズ・カスタム
● ありがとさん
Teenage Fanclub
● It's All In My Mind
● Tired Of Being Alone
● About You
● Falling Into The Sun
● Day In The Sun
● I Don't Want Control Of You
● Everything Is Falling Apart
● What You Do To Me
● It's A Bad World
● The Concept
● Everything Flows
羊文学(セットリスト省略)
Ride
● Leave Them All Behind
● Monaco
● Like A Daydream
● Twistrella
● Dreams Burn Down
● Lannoy Point
● Taste
● Vapour Trail
● Seagull
● Chelsea Girl
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スピッツの草野マサムネが主催するロック大陸漫遊祭り、スピッツがオープニングを務め、ティーンエイジ・ファンクラブ、羊文学、ライドと豪華なラインアップのフェスとなった。先行抽選であっさりチケットを確保できたので有明まで出かけた。
スピッツ
スピッツはデビューのころからずっとアルバム買って聴き続けていて、1992年に1年間ドイツに語学留学したときには持参した何枚かのCDのなかにファーストとセカンドが入っていたくらいにはヘヴィ・リスナーなのだがライブは初めて。ショート・ステージではあるが期待は大きい。
やはりいちばんの印象は演奏がしっかりしているということ。バンドとしての体幹というか基礎体力がしっかりしているからこそ、メンバーチェンジもなくやり続けてこられたのだろうということが実感できる、重心が低くてグイグイとドライブする演奏だった。スピッツはギター・バンドだと思っているが、三輪のギターが草野のメロディと呼応しながら曲を牽引して行く基本構造がよくわかって納得感があった。
演奏された曲のなかではアルバム「ハヤブサ」からの2曲、『さらばユニヴァース』と『メモリーズ・カスタム』が肉感的というか動的というか、ガツンとぶつかってくるエネルギーのかたまりが感じられて特に印象的だった。スピッツというバンドはありきたりな「いい歌」のカテゴリーにおさまらないという矜持を示した演奏だったと思う。
あと、この日のラインアップにちなんで、ライドを意識したという『プール』とティーンエイジ・ファンクラブの影響が受けたという『旅の途中』を演奏。そういうつもりで聴いたことがなく演奏後のMCで「えっ」てなった。『旅の途中』がティーンエイジ・ファンクラブだというのはわからなくもないが、『プール』がライドかと言われるとちょっと微妙。でもこの曲が演奏されたことは素直にうれしかった。
ひねたファンなので『美しい鰭』『見知らぬ糸』『みなと』『涙がキラリ☆』といったシングル曲には思い入れが薄かったが、初めてのライブ体験としては確かめたかったことがきっちり実感できて、これまで彼らの音楽を聴き続けてきたことが肯定され、裏づけを得た感じ。やはりフル尺のワンマンライブを見たいと思ったがベルゲン入らないとムリなのか、入るか、と思った。新譜が楽しみ。
ティーンエイジ・ファンクラブ
ティーンエイジ・ファンクラブは2024年の来日時に恵比寿のガーデン・ホールで見て以来2回め。そのときに「生きて動いているノーマン・ブレイクを見た」「あの曲を生演奏で聴いた」という新鮮な感動はすでに経験済みだったので、今回は余裕をもってライブそのものを楽しむことができたと思う。
若気のやんちゃでノイジーな部分が徐々に落ち着いて、美しいメロディや洗練されたコーラス・ワークに収束したというのがおそらくは一般的な彼らの評価であり、僕自身もそれに大きな異論はないのだが、実際にライブを見るとやはりとにかくギターをラウドにかき鳴らして歌うという行為のプリミティブな快感がこの人たちの音楽の根底にあるのだということは今回も強く感じた。
『About You』『What You Do To Me』『The Concept』『Everything Flows』といった定番で盛り上がるのは当然として、新譜からの『Day In The Sun』をはじめ、最近のアルバムからの曲も違和感なく流れに織りこみ、一貫性のあるステージができるのは彼らが常に一定の水準をクリアしたモダンなポップ・ソングを作り続けてきたことの証左に他ならない。
とはいえ、ジェラルド・ラヴがいなくなったティーンエイジ・ファンクラブは、レイモンド・マッギンリーはいるもののノーマン・ブレイクのバンドという感が強まっているのを感じた。ラヴ在籍時にライブを見ておきたかった。彼がいないことで演奏できない曲があるのも単純に残念だが、3人のソングライターのそれぞれ特徴ある曲をティーンエイジ・ファンクラブというバンドとして、「ひとつながりの宝物」として聴かせるプロセスを体験したかった。
『The Concept』のときだったか、ブレイクがわざわざアンプのところまでギターのボリュームを上げに行ったのがこの日のハイライト。この、クセはあるがポップな曲とその背後にあるロック的なエモさという構造はスピッツと共通するところがあり、草野が彼らを呼んだのも理解できるし、スピッツのファンにもわかりやすかったのではないだろうか。次はワンマンで来てほしい。
ライド
ライドは1992年3月にロンドン郊外のブリクストン・アカデミーで見て以来2回め。そのときのことはもうほとんど覚えていないが、彼らがオーディエンスとほぼ目を合わせようとせず足下ばかり見ていて「シューゲイザーっていうのは本当なんだ」と思ったのは印象に残っている。実際にはエフェクターの踏み分けがあるので足下見るのはしかたないと言われるが、あのときのバンドの空気は明らかに予定調和的なコミュニケーションへの違和感を含んでいたと思う。
あれから35年ちかく、この日の彼らはもう足下を見つめてはいなかった。音圧はこの日の出演者のなかで最大。トリをとるにふさわしい迫力のあるライブを見せてくれた。
誤解をおそれずに言えば、ライドの音楽の最良の部分はデビュー直後に発表した2枚のEP(赤と黄)と、その残滓であるファースト・アルバムにほぼ集約されている。そこには彼らの初期衝動が制御不能なままかろうじてロックの形をとって収められている。それは限界を超えて行く力であり、日常のトロさを暴力的に凌駕するスピードであり、社会的に承認されたプロトコルを無断で省略する直接性であった。
彼らは、そして僕らも、その灼けつくような初期衝動の光芒を、その残像を、目を凝らすようにしながら追い続けてきた。それはこの日のセットリストを見ても明らかだ。『Like A Daydream』『Dreams Burn Down』『Taste』『Seagull』そしてあの『Chelsea Girl』。ギターとコーラスが一体となって時間と空間を支配して行く特別な瞬間を我々は目にした。それはあの90年代初頭の衝撃から確実に地続きであった。
それが決してジジイの思い出話でなく有明アリーナの巨大な空間で2026年の空気を震わせていたのは、結局のところ、彼らだけでなく、我々もまた灼けつくような自分自身の初期衝動の光芒、その残像に目を凝らしながら日々をやり繰りしているからにほかならない。初期衝動が少しずつ消え去ったあとの、長い長い撤退戦こそが人の成長であるからにに違いない。
この日の彼らのライブで僕はそれを確認した。あれから35年近く経ってアンディ・ベルとマーク・ガードナーがそろって立つステージを見ることができるとは思っていなかった。物語は続いて行くのだと思った。
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