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POP GOES ON 2026
伊藤銀次

■ 2026年7月19日(日) 18:45開演
■ 吉祥寺スターパインズカフェ

Vodal, Guitar:伊藤銀次

Drums:大野達哉
Keyboards:松下福寿
Guitar:合屋直晃
Bass:森優美花

セットリスト  
● ノー・モア・ブルース・トゥナイト
● トワイライト・シンフォニー
● 僕たちのSummer Days
● Dream Time
● Tijuana Moon
● 風になれるなら
● こぬか雨
● Good Night Bangkok
● Thank U for the Good Time
● 花火の音が
● ダンスの雨に打たれて
● Heart and Soul
● 普通の男
● April Dancer
● サヨナラのあとがき
● Destination
● 夏のシャングリラ
● 7月のオーロラ
● BABY BLUE

● DOWN TOWN
● 幸せにさよなら
● Nature Boy



昨年のクリスマス以来の銀次のライブ。ヴェスパで吉祥寺まで出かけた。そういえば6月には大瀧詠一のトリビュート・ライブで銀次が『スピーチ・バルーン』と『ペパーミント・ブルー』を歌うのを聴いたんだった。このところ「歴史の生き証人」的な位置づけでの露出がなにかと増えている気がして、銀次が日本のポップ・ミュージックに果たした貢献が正当に評価されリスペクトされ始めていることを感じる。

今回もまた前回と同じ若いメンバーのバンドを従えてのステージ。オープニングの2曲はクリスマスと同じだったが、3曲目以降は大きくセット・リストが変更されており、さまざまな曲をこのメンバーで練習したことがうかがわれる。この日演奏された曲の多くが発表されたときにはまだ生まれていなかった彼らが、銀次の後ろで音楽をつむぎ出しているのを聴くと、よき音楽はこうして継承されて行くんだなという率直な感慨があった。

昨年12月からシリーズでリリースされている新曲は5曲すべてが披露された。『こぬか雨』やアルバム「DEADLY DRIVE」が「シティ・ポップ」の文脈で再評価されたことを契機に、そのポップ・センスを木崎賢治のプロデュースで現代に接地させようとする試みは、バンドのサポートを得て聴きごたえの作品群として結実しつつある。今のところ最新作の『サヨナラのあとがき』が銀次らしい優しいメロディのミドル・チューンで特に耳に残った。銀次のソングライティングは古くならないと実感した。

以前の上原ユカリらベテランのバンドも安定感があってよかったが、このバンドの歯ぎれのいい演奏は銀次の作品が本来持っているみずみずしいポップさと相性がいい。この日はここ数年の銀次のライブでもあまり聴いたことのなかった『僕たちのSummer Days』『Tijuana Moon』『普通の男』などが演奏された。東芝EMI時代の曲が多めの印象で、意外な曲が聴けたお得感があったが、一方で「MAGIC TIME」「RAINBOW CHASER」といった直近のアルバムからの演奏がなかったのがちょっと残念だった。

すぐ前に座っていたおじさんが最初から最後まで曲に合わせて口が動いていて、『幸せにさよなら』から『サヨナラのあとがき』まで50年近い歴史をちゃんとフォローできていたのはスゴみがあった。考えてみれば僕も傍目には同じように映っているはずなのだが、銀次の曲をこうして人生のパートナーにしておっさんになった人がほかにもいるというのを目の当たりにすると、「歳を重ねるとは」とか「自分の生を生きるとは」とか考えてちょっと胸に迫るものがあった。

銀次の曲のいくつかはスタンダードとして残って行くだけの音楽的な普遍性を具えている。バンドが変わってそのことがあらためてよくわかるようになった。継続している新曲の発表が完結し、アルバムにまとめられるのが楽しみになるライブだった。

蛇足だが苦言を呈するとすれば『ダンスの雨に打たれて』での回文はおもしろくなくてくどいのでやめた方がいい。あと、アンコールで「今日は日曜日だよね」といいながら土曜日の歌である『DOWN TOWN』を歌うくらいならたとえば『MONDAY MONDAY』をやってほしいと思った。伊藤銀次として銀次自身のボーカルで発表された曲を聴きたいのだ。あと、歌詞が飛ぶんならプロンプタでも譜面台でもつかってほしい。つかえるものはつかおう。



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