45TH ANNIVERSARY TOUR
45TH ANNIVERSARY TOUR
■ 2026年3月21日(土) 18:00開演
■ 東京ガーデンシアター
佐野元春 & THE COYOTE BAND
Vocal, Guitar:佐野元春
Drums:小松シゲル
Guitar:深沼元昭
Guitar:藤田顕
Bass:高桑圭
Keyboards:渡辺シュンスケ
Chorus:佐々木久美
Chorus:TIGER
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セットリスト
● イノセント
● Young Bloods
● ガラスのジェネレーション
● だいじょうぶ、と彼女は言った
● ジュジュ
● ダウンタウン・ボーイ
● 欲望
● インディビジュアリスト
● 君をさがしている(朝が来るまで)
● 誰かが君のドアを叩いている
● 新しい航海
● 太陽
● レインガール
● Happy Man
● さよならメランコリア
● 銀の月
● 斜陽
● 境界線
● 愛が分母
● 純恋(すみれ)
● La Vita è Bella
● エンタテイメント!
● 水のように
● 大人のくせに
● NEW AGE
● スウィート16
● SOMEDAY
● 明日の誓い
● 約束の橋
● スターダスト・キッズ
● 悲しきRADIO
● アンジェリーナ
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昨年夏から冬にかけて行われたツアーの追加公演。インターミッションをはさんで前半がアルバム「HAYABUSA JET」からのセット、後半はコヨーテ・バンドのレパートリーを中心としたセットという構成自体はツアー本編と変わらないが、12月にアルバム「HAYABUSA JET II」がリリースされたことを受けて、ツアー中は演奏されていなかった冒頭の『イノセント』(『君を想えば』)や『太陽』、『Happy Man』(『吠える』)が新たに披露された。
東京ガーデンシアターでの公演は初めてだが、チケットは完売だったようなのでオーディエンスはおそらく6,500人くらい。無線制御のLEDリストバンドが配布され、演奏に合わせて光らせる演出があった。リストバンドは退出時に回収された。大阪と東京のみの追加公演ということもあって遠くから駆けつけたオーディエンスも少なからずおり、なかには大阪(大阪城ホール)と両方追っかけている猛者もいたようで会場はツアー終了を惜しむ活気と熱気に包まれた。
オープニングにはキャスターの武田真一がプレゼンターとして登場、アーティスト呼びこみのスピーチを行った。佐野のファンととしても知られる武田の「ずっと彼の歌に背中を押されてきた」というコメントは、彼自身のファンとしてのリアルな感興が感じられて、そこにいるだれもが深くうなずきながら聴いているように見えた。
席がアリーナの後方で、ちょうどステージ中央に前方の客がかぶって佐野の姿が見にくかったし、あちこちでふつうに地声で歌っている人とかもいてふだんならイライラしてしまいそうな環境だったが、なんだかいろんな人がそれぞれこの日を楽しみにしてここに集まり、それぞれ目いっぱいライブを楽しんでいるのだと思うと不思議と気にならなかった。
この日はデビュー曲『アンジェリーナ』のリリースからちょうど46年の記念日でもあり、45周年はこれが打ち上げ。それぞれのオーディエンスがいつごろから佐野の音楽を聴き始めたのか分からないが、そこに集まった人数の分だけの、ひとりひとりのリスナーとしての最大46年の歴史があるということの重み、スゴみを感じずにはいいられなかった。
さすがに千秋楽とあって、佐野とバンドが半年以上にわたって積み上げた互いの信頼感が演奏にしっかりとフィードバックされて危なげなかった。いまやコヨーテ・バンドが佐野のパートナーとして代えのきかない存在に成長し、定着したことをあらためて感じた。またこの会場の特性か音の抜けもよく聴きやすかった。
今、そこらじゅうで不条理な戦争が戦われ、多くの人が声もなく死んで行く世界にあって、僕たちもそうした現実と無関係ではあり得ない。一見平和で物質的にも豊かな僕たちのこの社会もまたそうした苛烈な世界と確実につながっており、僕たち自身がそうした唾棄すべき現実から恩恵を受けて生きている。選択の余地もなくそのような分断や収奪に加担させられていることを僕たちはどう受け止めるのか。
佐野は「子供たちが戦争に巻きこまれないように」と『愛が分母』を歌い、また「自由とは何か、デモクラシーとはなにか、いろんな意見がある」「悲しい現実があるがオーディエンスがここにいてくれることが心強い」ともコメントした。それは間違いなく政治的なステートメントではあったが、決して党派的なオルグではなかった。
アリストテレスは「人間は政治的動物」であると言ったが、人が寄り集まって生きる以上、社会を形づくる以上、そこには、たとえそれが数人のグループであっても必然的に利害の衝突とその調整が生まれる。それこそが政治であり、その意味で人間は政治的でしかありえない。佐野はその人間としての根源的な政治性について話しているのだと僕は思った。
僕としては佐野には常に表現の最前線に立ち続けてほしいと思っており、周年行事は活動の停滞だと感じてしまう。このライブで周年に区切りをつけ、佐野の表現のベクトルが再び時代の突端に向かうことを願う。
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