WINTER WONDER MEETING 2025
WINTER WONDER MEETING 2025
伊藤銀次
■ 2025年12月21日(日) 18:45開演
■ 吉祥寺スターパインズカフェ
Vocal, Guitar:伊藤銀次
Drums:大野達哉
Keyboards:松下福寿
Guitar:合屋直晃
Bass:森優美花
Guest:杉真理
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セットリスト
● ノー・モア・ブルース・トゥナイト
● トワイライト・シンフォニー
● あの娘のビッグ・ウェンズデー
● ONE WAY TICKET TO THE MOON
● 誰のものでもないBABY
● 風になれるなら
● こぬか雨
● 愛をつかまえて
● 彼女のミステイク
● Dream Time
● Heart and Soul
● NOBODY
● マイルドでいこう
● ディズニー・ガール
● 雪は空から降ってくる
● Good Night Bangkok
● Thank U 4 The Good Time
● Destination
● 7月のオーロラ
● BABY BLUE
● 幸せにさよなら
● DOWN TOWN
● フラワーズ・イン・ザ・レイン
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毎年恒例の「ウィンター・ワンダー・ミーティング」、今年も吉祥寺スターパインズカフェでの開催となった。ヴェスパで行こうかと思ったけど天気が悪かったのでおとなしく電車で行った。
今回からバンドのメンバーを入れ替え、全員が30代(ベースの森は20代)の若いミュージシャンを従えてのステージとなった。上原ユカリを核に経験豊富なミュージシャンで固めたこれまでのバンドは安定感があったが、ここにきて銀次はバンドを一新する決断をした。
銀次は「近年の欧米のポップシーンのようなビート感で音楽をやっていきたい」「(Good Bye Aprilのライブにゲスト出演した際)80年代や90年代の曲が見事に「今」のグルーヴで蘇るのを体験、その心地よさが僕の背中を思い切り押してくれておもいきって若いメンバーと演ってみようと心に決めた」とコメントしている。
近年のシティ・ポップ・ブームに乗って銀次の過去の作品がネット配信を中心に再評価され、若い世代や海外のリスナーに「発見」されたことから、自らの表現をアップデートし、これまでポピュラー音楽に取り組んできた銀次自身の経時的、歴史的なベクトルと、2020年代という同時代的の音楽状況の広がりとを交差させようとしたことがうかがわれる。
結論からいえばこの試みは成功だったと思う。僕にとっては聴き慣れた曲であり、アレンジも特別に新しくなったわけでもないのに、そうした歴史性をいったんチャラにして、銀次が曲を知らない若いメンバーに「こういう曲なんだ」と説明しながら合わせたことが想像できるような、新しい音楽を演奏する驚きと楽しさに満ちた演奏を聴くことができた。
そしてなにより大切なのは、そこに楽曲に対するバンド・メンバーの率直なリスペクトが感じられたことだ。銀次が半世紀にわたって紡ぎだしてきた音楽の数々を、丁寧に、真摯に演奏してくれていることが伝わる誠実なパフォーマンスだった。すべての曲は新たに生まれ直したかのようなみずみずしさ、いきいきとした生命力とともに披露された。感嘆する思いで聴いた。
一方で、それにこたえる銀次の曲の作品としての質の高さ、多彩さにもあらためて気づかされた。曲が発表されたときにはまだ生まれてすらいなかったミュージシャンによって演奏されながら、それに耐えるだけの強度が、過ぎ去った時間の重さに試されたものだけがもつ表現の普遍性が、確かにそこにあることを僕は感じずにはいられなかった。
『ONE WAY TICKET TO THE MOON』『誰ものでもないBABY』『Heart and Soul』など、僕が高校生や大学生として聴いていたときにはただのアルバム・ナンバーだと思っていた曲に、実に多様な表情とそれを裏打ちする音楽的な奥行きやバックグラウンドがあることを、若いバンドの清新な演奏が気づかせてくれた。特に『Heart and Soul』での森のベースが素晴らしかった。
もうひとつ、銀次の久しぶりの新らしいマテリアルが聴けたこともこの日のトピックだ。12月にリリースされたばかりの新曲『Good Night Bangkok』に加え、1月にリリース予定の『Thank U 4 The Good Time』も演奏され、こうやって配信で順次リリースされた曲が来年夏にはCDにまとめられる計画であることも説明された。
実現すれば2019年のミニ・アルバム「RAINBOW CHASER」以来7年ぶりになるまとまった音源となる。アルバム「BABY BLUE」から「Winter Wonderland」をプロデュースした木崎賢治との40年ぶりのコラボレーションであり、新しい世代や海外のリスナーにもリーチするために配信で逐次リリースするという方法論は理にかなったもの。バンドの刷新、新曲のリリースと、銀次が新しいステップを踏み出したことがとにかくうれしい。
『Good Night Bangkok』は木崎プロデュースらしくしっかりメロディ構築されたモダンなポップ・チューン。来年は毎月の新曲発表とアルバム発売という楽しみができた。矢印がグッと前に向けられ、おまえもしっかりしろと背中を押されたような、勇気づけられるライブだった。
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