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ONE MORE FOR ROCK'N'ROLL
THE COLLECTORS

■ 2025年11月24日(月) 16:30開演
■ 横浜・ベイホール

[THE COLLECTORS]
Vocal, Guitar:加藤ひさし
Guitar:古市コータロー
Bass:山森"JEFF"正之
Drums:古沢"cozi"岳之
セットリスト  
● クルーソー
● シルバーヘッドフォン
● 僕はプリズナー345号
● マイアミビーチ
● Stay Cool! Stay Hip! Stay Young!
● ヒマラヤ
● Hold Me Baby
● 君がいなきゃ
● 雨と虹
● パレードを追いかけて
● ロケットマン
● 気狂いアップル
● もっともらえる
● 負け犬なんていない
● スペース・エイリアン(Inst.)
● スティーヴン・キングは殺人鬼じゃない
● NICK! NICK! NICK!
● ぼくのプロペラ

● 東京虫バグズ
● PUNK OF HEARTS



還暦になって初めて見るコレクターズ、オープニングの3曲でいきなり持って行かれた。大学を卒業して就職して37年、同じ会社で勤め上げ、あと少しで定年も見えている。職場ではポストを後進に譲り、年金の金額と住宅ローンの残高を計算してはため息をついている。現実と関わり合い、日々をやりくりしながらここまできた。生活や日常と絶え間なく果てしない消耗戦をくり広げてきたが、形勢はどう見ても分の悪い後退戦だ。

景気づけに横浜まで足を運んだ。去年12月のガーデン・ホール以来1年ぶりだ。コレクターズのライブはチケットが取れない。やはりコレクトロンに入るべきかもしれない。今回はなんとか一般販売初日に手に入れたが整理番号は500番台。開演15分前に会場に入って、後ろのほうになんとかステージの見える隙間を見つけた。

オープニングから『クルーソー』『シルバーヘッドフォン』『僕はプリズナー345号』。初期の曲から直近のナンバーまで、スタジオ音源を並べて聴けば、アルバムごとのサウンド・プロダクションの違いが際立つが、ライブの現場ではごまかしのきかない4ピースのストレートなビートが、そうした二次情報をすべてチャラにし、それぞれの曲そのものがもつ力をそのままあらわにしてしまう。そして僕たちは何度めかにまた気づくのだ。そうだ、コレクターズのビートはいつもそこにあったのだと。

僕たちは果てしない消耗戦、後退戦を戦い続けてきたが、そのなかにも衝動や感情が日常や現実を凌駕した瞬間が確かにあった。ビートが憂鬱をキック・アウトしたシーンが確かにあった。僕たちはそれを目撃した。それが夜明けとともに消えてしまうひとときの幻だとしても、理屈や常識では説明できない下半身のムズムズやモヤモヤを、僕たちはビートに乗せて解き放ったことが確かにあったはずだ。

コレクターズはそのことを歌い続けてきた。そのことだけを歌い続けてきた。ビートがいかにして昼間の物理法則では説明のつかないやり方で僕たちの魂を照らすのかを。日が暮れてから夜が明けるまでの間にどんな怪物が通りをうろつき始めるのかを。僕たちの心の奥にある得体のしれないなにかが0時を過ぎるとどんな息づかいで呼吸するのかを。それらすべては僕たちが絶望的な後退戦を戦うときの、数少ない、しかし信じるに足る武器だった。

加藤は先日65歳になったという。後退戦はますますシビアになっている。今こそ、オレたちにこそ、ビートが必要だ。加藤が「おまえら、つらいんだろ? だからコレクターズのライブに来てるんだろ?」と煽ったとき、僕はきっと泣き笑いで不気味な顔をしていたと思う。そうだよ、オレらは、勝つはずのないものが、たとえ一瞬でも形勢を逆転する、その瞬間を見に来たんだ。それはここにしかないんだよ。

『プリズナー』で泣いて、『パレードを追いかけて』と『ロケットマン』の連打でぐしゃぐしゃに泣いて、『東京虫バグズ』でエア・マラカス振って踊った。感情の振幅をふだんの倍くらいにして、衝動が日常を凌駕する瞬間を目撃しようとした。それがロックンロール、それがザ・コレクターズだ。魂のリハビリは定期的にやっておかなければ体内のどこかがぎこちなく錆びついてくる。気がついたときにはもう手遅れだ。そうなってからいくら油をさしてももうエンジンは以前のようにはかからない。

コレクターズのライブに来るたびに、ああ、そうだ、だからオレはコレクターズを聴き続けてきたんだということを思い出す。そのたびに僕たちはコレクターズを再発見するのだ。いつものことだがコータローのギターがカッコよかった。



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