45TH ANNIVERSARY TOUR
45TH ANNIVERSARY TOUR
■ 2025年10月13日(日) 18:00開演
■ 昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)
佐野元春 & THE COYOTE BAND
Vocal, Guitar:佐野元春
Drums:小松シゲル
Guitar:深沼元昭
Guitar:藤田顕
Bass:高桑圭
Keyboards:渡辺シュンスケ
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セットリスト
● Young Bloods
● ガラスのジェネレーション
● だいじょうぶ、と彼女は言った
● ジュジュ
● ダウンタウン・ボーイ
● 欲望
● インディビジュアリスト
● 君をさがしている(朝が来るまで)
● 誰かが君のドアを叩いている
● 新しい航海
● レインガール
● 悲しきRADIO
● さよならメランコリア
● 銀の月
● クロエ
● 境界線
● 愛が分母
● 純恋(すみれ)
● La Vita è Bella
● エンタテイメント!
● 水のように
● 大人のくせに
● NEW AGE
● スウィート16
● SOMEDAY
● 明日の誓い
● 約束の橋
● スターダスト・キッズ
● So Young
● アンジェリーナ
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一都三県以外への遠征はひさしぶり。関越をとばして前橋まで足を延ばした。会館の駐車場に停められたクルマのナンバーを見る限り、首都圏(一都三県)からのギャラリーもそこそこいるようだった。
ツアーも中盤、佐野がコロナに罹患したため9月の高松公演、京都公演が来年に振替になったが、その後の日程は予定どおりに行われ、鹿児島、熊本に続いてのこの前橋でのステージとなる。これだけ丹念に、精力的に地方都市までをまわるツアーはコヨーテ・バンドとしては初めてではないだろうか。
セット・リストはこれまで見たさいたま、市川とほぼ変わらず、市川で皆既月食にちなんで演奏された『紅い月』が『境界線』に戻されただけで、あとはアンコールの演目がバリエーションのなかで差し替えられた程度。ツアーも中盤に差しかかり、バンドの演奏にも佐野のパフォーマンスにも安定感があった。
このホールでのライブはVISITORS TOUR以来41年ぶりとの佐野のMCがあったとおり(群馬県でのライブ自体は高崎などでもほかにあり)、東京や横浜まで足を延ばすほどでもないファンでもない限り久しぶりの佐野元春のライブ心待ちにしていた人も多かったと思う。定員1,200人ほどという規模感もあり、東京や大阪の大ホールでのライブとはまた違った、ホール全体がひとつの興奮の波に包まれる一体感があった。
特にライブ終盤では一曲演奏が終わるたびに地鳴りのような歓声が響き、「もっとビートを!!」と催促する拍手が鳴りやまなかった。そのせいか佐野のボルテージも上がり、いつもにも増してボーカルに力が入っていたように思う。最後はやや声がかれていたようにも思ったが大丈夫だったか。
この日、僕自身として印象に残ったのは『NEW AGE』。後方のスクリーンにがれきだらけの廃墟が映し出されたとき、40年前、僕たちが「新しい世界」と呼んだものははたして2025年の今の世界のようであったのかと思わずにはいられなかった。今、ここにあるこの世界が、あのとき僕たちが求めた「Sweet New Age」なのか、これが「ステキな新しい時代」なのだろうかと。
あのとき佐野が歌った「ニュー・エイジ」と、今僕たちが聴く「ニュー・エイジ」は同じものなのか、それとも別のものなのか。僕たちはなにを追い求め、なにを手にして、なにをつかみ損ねたのか。40年という歳月がこの曲に与えた陰影と、今、僕たちが向き合っている世界の複雑さやでたらめさをあらためて考えさせる演奏だった。
MCでは「HAYABUSA JET II」が早ければ年内にもリリースされることがアナウンスされた。今回のツアーでは周年ということもあって「HAYABUSA JET I」からの曲を中心にコヨーテ・バンド以前の楽曲も積極的に取り上げられているが、これらの曲が第二部に演奏されたコヨーテ・バンドのレパートリーとしっかりした連続性を獲得できるかは発展途上にあるものの未知数で、これからの取り組み次第だと感じた。
アットホームで熱く、親密なライブ。素直に楽しめた。
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