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SATELLITE TOUR 2025
GOMES THE HITMAN

■ 2025年9月19日(金) 19:30開演
■ 吉祥寺スターパインズカフェ

[GOMES THE HITMAN]
Vocal, Guitar:山田稔明
Keyboards:堀越和子
Drums:高橋結子
Bass:須藤俊明

セットリスト  
● 遅れてきた青春
● baby driver
● アップダイク追記
● お別れの手紙
● train song
● オレンジ〜真実
● 星に輪ゴムを
● 手と手、影と影
● 余韻(新曲)
● 新しい朝のワルツ(新曲)
● レモンティーと手紙(新曲)
● houston
● 明日は今日と同じ未来
● 最後のお願い
● 名前のない歌(新曲)
● ブックエンドのテーマ
● ポリフォニー(新曲)

● 饒舌スタッカート
● 雨の夜と月の光



先週の山田稔明ソロに続いて今週はゴメス・ザ・ヒットマンのライブ。2週続けて吉祥寺までヴェスパで乗りつけた。

この日は新曲を多めに織りこみながら、アルバム「ripple」のリリース20周年にちなんで『星に輪ゴムを』『手と手、影と影』を披露するなど、全体にリラックスした雰囲気でライブは進行した。

特に印象に残ったのは堀越のギターである。これまでの『レモンティーと手紙』に加えて、『オレンジ』『饒舌スタッカート』などギターのリフが特徴的な曲でフロントに立ち、曲によっては水色のギターをぶら下げたままシンセを操るなどの活躍を見せた。

これまでも複数のキーボードを弾き分けたり、アコーディオンを抱えたりと忙しい切りかえはあったが、ギターをここまでしっかり弾けるようになっていたのは驚き。すごく練習したと本人も言っていた。もちろん本職と比べれば拙いところはあるわけだが、堀越がリフを弾くことで山田はサイドギターとボーカルに徹することができるしギターに厚みが出る。

一方で聴き慣れたはずのピアノやシンセのフレーズが聞こえてこない「新しさ」もあり、大げさにいえば楽曲そのものがギター・ロックにリアレンジされ、バンドとしての表現の幅がグッと広がったように感じられた。堀越がギターを弾くこと(一方でキーボードを弾かないこと)でこんな化学変化が発生するのはとてもスリリングだった。

ビジュアル面でも、高橋をアンカーに、2本のギターとベースが横並びになる構成には「バンド感」があった。まだ名前も知られていないイギリスのインディ・バンドが演奏するのを見ているような生々しさ、手に取れるような直接性があり、バンドの存在が音楽とともにこちらにグッとせり出してくるような迫力を感じた。並びとしては須藤がやや引っこみ気味なので、フロントに3人が横並びになる布陣を見てみたい。

なにより、30年近い歴史のあるバンドが、こうして新しい試みにチャレンジしてその表現の可動域を広げてくること自体が素直に感嘆に値すると思った。時間が不可逆的に流れて行くのだとしたら、僕たちもまた一瞬ごとにわずかずつ変化して行くのだし、どのみち永劫に同じでい続けることができないなら、僕たちは僕たち次第でいつでも成長することができるのではないか。バンドが、表現が成長する現場に立ち会った感があった。

あと、堀越がギターを弾いているあいだじゅう、バンドもオーディエンスもみんなの気持ちがひとつになって、「堀越がんばれ」とまるで高校野球の応援みたいになるのが手に取るようにわかってなにより楽しかった。

山田のニャー・アルバムがリリースされたばかりだが、ソロのニュー・アルバムと、バンドのアルバムが並行して制作中であるとのコメントもあり、来年の夏ごろにはリリースされることが示唆された。ファイナル・アンサーはどこまで行ってもなく、変わり続けること、それは終わりのない成長なのだと、この日のライブを見て僕はちょっと感動したのだ。



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