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NIAGARA SUNDAY
Setagaya Super Band

■ 2025年1月26日(日) 15:00開演
■ 世田谷区民会館

Keyboards:井上鑑
Drums:山木秀夫
Guitar:今剛
Bass:高水健司
Percussions:三沢またろう
Wodwinds:山本拓夫

Guest (Guitar):鈴木茂
Guest (Vocal):渡辺満里奈
セットリスト  
D.S.D. Trio / 井山大今
● Blue Valentine's Day
● スピーチ・バルーン
● シャンパン・ラグビー
Setagaya Super Band Featuring 鈴木茂
● 星・導・夜
● 花いちもんめ
Setagaya Super Band Featuring 渡辺満里奈
● ダンスが終わる前に
● うれしい予感
NIAGARA SONG BOOK 2025
● 夏のペーパーバック
● 恋するカレン
● 恋のナックルボール
● 雨のウェンズデイ
● ガラス壜の中の船
Setagaya Super Band Featuring 鈴木茂 & 渡辺満里奈
● Fussa Strut 2025ver.
● 恋はメレンゲ
● 幸せな結末

● Cellist



世田谷区民会館がリニューアルされた記念公演として、世田谷区在住の井上鑑が中心となって行われた「大瀧詠一トリビュートライブ」。

序盤は井上、高水、山木、三沢、今、山本でインストの演奏。このパートはほぼジャズからフュージョンであり「ああ、今日はこういう趣向なのか」と思った。特に井上鑑の作曲による『シャンパン・ラグビー』はこのメンバーのプレイヤビリティを遺憾なく発揮したバチバチの演奏。

しかし、そのあとゲストの鈴木茂を舞台に呼びこんで「歌もの」に。鈴木のボーカルで1985年のアルバム「SEI DO YA」から井上鑑が作詞を手がけたタイトル曲『星・導・夜』と、はっぴいえんどのレパートリーとして鈴木が初めて作曲した『花いちもんめ』を披露。

続いて「ナイアガラの末っ子」を自称する渡辺満里奈が登場し、大瀧がプロデュースしたアルバム「Ring-a-Bell」から、佐野元春が提供した『ダンスが終わる前に』と大瀧の手による『うれしい予感』を歌った。『ダンスが終わる前に』は佐野自身もリリースしているが、僕としては大瀧のアレンジによる渡辺のバージョンの方が断然気に入っており、これをライブで聴けるとは思っていなかったので感慨深かった。佐野にこのアレンジで歌ってほしいと思った。

20分の休憩をはさんで後半は「NIAGARA SONG BOOK」のストリングス音源と生演奏の共演。井上にすれば自分が手がけた音源との共演なのだから違和感もないはず。素材となる曲も、ストリングス・アレンジもしっかりしているのでいかようにも料理できるということなんだろう。インストなのにスリリングな演奏だった。

再びゲストを呼び戻し、『Fussa Strut』から『恋はメレンゲ』をメドレーで演奏、最後に『幸せな結末』で大団円となった。『Fussa Strut』では「福生!!」「おまもりに」などのフレーズをオーディエンスに要求、客が乗りきれなかった面はあるものの和やかなコール&レスポンスが展開された。

アンコールは井上がひとりで『Cellist』を歌い、『夢で逢えたら』のフレーズをアウトロのピアノにしのばせる洒落っ気を見せた。

どんなライブになるのか皆目見当もつかないまま、メンバーの豪華さに惹かれて足を運んだが、大瀧直系の井上によるオリジナル音源を使った構成はよく考えられていて緻密であり、ユーモアもあって、いいものを見せてもらった感があった。

僕自身としてはくり返しになるが『ダンスが終わる前に』を聴けたのが本当にうれしく、それ以外にも貴重な演奏を聴くことができた。この日の一回限りの演奏のために、ゲスト含めこれだけのメンバーをそろえて演目も仕上げたのだとすればとてもぜいたくなライブだった。

また、これまで数々のアルバムのクレジットでさんざん名前を見慣れてきたミュージシャンによる演奏は圧巻。今をナマで見るのは初めてだったと思うが、ギターがうまいというのはこういうことを言うのかと納得するパフォーマンス。目の当たりにすることができたのはまさに眼福だった。見た目はプロレスラーみがあった。

「あとは各自で」と言い遺して大瀧が亡くなってから早くも10年以上が経った。こないだの銀次のライブで演奏された長江健次の『ええねんで恋をして』もそうだが、こうやって大瀧の蒔いた音楽の種子が、大瀧の「遺言」どおりその継承者によっていろいろなところで丁寧に、そして愛情をもって育てられているのを感じた。誘ってくれた知人には本当に感謝しかない。声をかけてもらわなければ見逃していたところだった。



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