WINTER WONDER MEETING 2019
クリスマスは過ぎてしまったものの、毎年恒例のクリスマス&バースデイ・ライブ。楠瀬誠志郎と長江健次をゲストに迎えてのステージとなった。 12月4日にリリースされたばかりのミニ・アルバム「RAINBOW CHASER」のお披露目も兼ねて収録全曲となる5曲をを演奏した他、クリスマス・ソングとして『雪は空から降ってくる』を初め、初期から2017年のアルバム「MAGIC TIME」まで、概ねバランスのいい選曲だったと思う。 「新しい曲をやると今までやってた曲を削らなければならなくなる」と言いながら、その埋め合わせとして用意したというメドレーは、かつての「POP STEADY #8」に収められた疑似ライブ・メドレーを思わせる着想だったがタイトに仕上がっていてお得感のある仕上がり。 ゲストのセクションも楽しかったが、特に長江健次に提供したという『ええねんで恋をして』が大滝詠一オマージュとして出色の名曲。一方で大滝に対するリスペクトとその音楽に対する深い理解、愛情がないと産み出し得ない作品だが、同時にオリジナルな作曲能力がなくても曲にならないのは自明。その双方を兼ね備える銀次だからこそできた仕事だ(この曲についてのMCに熱が入るあまり曲順を間違えてしまい、急遽『Tenderness』を後回しにしたのはライブらしいハプニングだった)。 この日のライブで最も印象的だったのは、オープニングの『トワイライト・シンフォニー』から『二人のGROOVY LOVE』への流れがとても自然だったこと。作られた時期や環境は違っても、銀次の音楽はその根底できちんと連続性を保ってつながっているのだということを強く感じた。 そこに通底していたものは、音楽に対する深い愛情と造詣に裏打ちされ、丁寧に作られたロマンチックなメロディと、ポップスのフォーマットに則ったコンパクトなアレンジだ。冒頭で銀次の表現のワイド・レンジとそこにある不変の基盤を示したことで、ライブの骨格が明らかになりスムーズに本編に進んで行けたと思う。 ライブはもともとセットリストも盛り沢山だったうえ、例によって銀次がゲストとのトークを初めMCでもサービスした結果、休憩をはさみ2時間を軽く超える長尺となったが、単にボリュームだけではなく、銀次の音楽の誠実さがリスナーにしっかりと届けられたライブだった。 ただ、これは以前から何度か書いていることだが、アンコールには、『A面で恋をして』や『DOWN TOWN』ではなく、銀次自身のソロキャリアから、僕たちの心を温め続けた「銀次の曲」を演奏して欲しい。長いキャリア、たくさんのレパートリーの中には、それにふさわしい曲がいくらでもあるはずだ。この点は改めて要望したい。 2020 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |