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Rockin' Christmas 2019

■2019.12.17(火)・18(水) 18:00開場 19:00開演
■恵比寿ザ・ガーデンホール

佐野元春&THE COYOTE BAND

Vocal, Guitar:佐野元春

Drums:小松シゲル
Guitar:深沼元昭
Guitar:藤田顕
Bass:高桑圭
Keyboards:渡辺シュンスケ
Percussions:大井'スパム'洋輔

Chorus:杉並児童合唱団
●世界は慈悲を待っている
●ポーラスタア
●バイ・ザ・シー
●新しい雨
●境界線
●愛が分母
●みんなの願いかなう日まで
●純恋(すみれ)

●白夜飛行
●君が気高い孤独なら
●私の太陽
●いつかの君
●太陽
●レインボー・イン・マイ・ソウル
●CHRISTMAS TIME IN BLUE
●La Vista é Bella
●優しい闇

●Young Bloods
●インディビジュアリスト

●New Age
●スターダスト・キッズ(18日のみ)



このところ毎年恒例となっているクリスマス・ライブ。今年は恵比寿ザ・ガーデンホールのシリーズ・ライブ「L'ULTIMO BACIO Anno 19」の一環として行われる東京での2日間の公演に、大阪、名古屋、さらには熊本を加えたツアーとなった。

東京での公演は台風19号のためキャンセルとなった「ソウルボーイからの伝言」ツアーの川崎でのステージの振替が直前の12月16日となったため首都圏で3日連続。会場を移動してのセッティングはおそらく大変だったことだろう。

2017年ごろから特に顕著になっていた通り、クリスマス・ライブにおいてもセット・リストの大半はアルバム「COYOTE」以降のレパートリー。『CHRISTMAS TIME IN BLUE』が演奏されるのは当然として、本編でそれ以外に演奏された「COYOTE」以前の作品は『太陽』と『レインボー・イン・マイ・ソウル』のみ。

ステージの構成もアコースティック・セットやバラードはなく、着席を促したのは『太陽』だけだった。佐野としては、クリスマス・ライブというアット・ホームで親密な雰囲気のライブであっても、今のコヨーテ・バンドのありのまま勢いをライブにぶつけることが、最も率直でフレンドリーな態度であると考えているのだろうと思われた。

もちろん、クリスマスらしい演出もあった。『みんなの願いかなう日まで』の後半、赤と黒の揃いの衣装を着た30人弱ほどの子供たち静かにステージに上がり、2013年のライブではオーディエンスに合唱させたコーラス・パートを、この日は佐野から「子供たち」と紹介された杉並児童合唱団のチームが歌った。

子供たちは『CHRISTMAS TIME IN BLUE』でも登場、パンチのあるコーラスを響かせた。意表を突く演出だったが、厳かでありながら楽し気で、平和と幸福を求めるクリスマス・ライブには似つかわしかったと思う。歌声は躍動感と表情を兼ね備えたしっかりしたもので、控えめな振りもきれいに合っており、児童合唱団とはいえプロ意識を感じさせた。

アンコールではクリスマスと正月はセットということか、『Young Bloods』を披露。ツアー千秋楽に続いて演奏された『New Age』はアルバム収録のオリジナルに比較的忠実な演奏。さらに18日のみ『スターダスト・キッズ』を追加で演奏した。イントロでは佐野が自らブルース・ハープを演奏した(ブルース・ハープは『レインボー・イン・マイ・ソウル』の間奏でも)。

曲目に入れ替えはあるものの、前日まであった「ソウルボーイへの伝言」ツアーとほぼ共通する内容のライブ。というか、今の佐野の最も勢いのある部分を見せようとすればこういうセットになるというステージだったと思う。

ツアー同様、ここでも仲間うちでの「お楽しみ会」に自閉することなく、自身の表現の最前線を歌いきったパフォーマンスは、来年の40周年を控え、1年を締めくくるにふさわしいもの。佐野の充実が伝わるライブだった。



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