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Roll Up The Collectors

■2017.6.10 17:00開場 18:00開演
■渋谷 CLUB QUATTRO

ザ・コレクターズ
Vocal, Guitar:加藤ひさし
Guitar:古市コータロー
Drums:古沢 cozi 岳之
Bass:山森 JEFF 正之
■Set List
(N.A.)



コレクターズはライブ・バンドである。CDを聴いてピンとこない曲でも、ライブで聴くと、「ああ、そういうことだったのか」と腑に落ちる。コータローがそこでギターをジャカジャ〜ンと鳴らすだけで、世界がどういう原理で動いているのかが分かる。そういう力をコレクターズは持っている。

その直接性、「要はこういうことだよ」という身も蓋もない即物性こそがコレクターズの表現の本質であり、その最大最強の武器である。「何だかんだ言ってこれが欲しいんだろ?」というAVまがいの強引な説得力、喚起力がコレクターズのライブの現場にはあり、オレらはそれが欲しくてコレクターズのライブに足を運ぶ。

その意味では武道館はいささかとりとめのない空間だった。天井が高過ぎた(おまけに日の丸までぶら下がっていた)。その漠然としたスペースの広がりにオレらはもどかしい思いを禁じ得なかった。もちろん、特別なショーだったということはあるにせよ、あの距離感をバンドもリスナーも扱いかねていた感はあった。

この日のクアトロでは、バンドがいるべき近さにいた。音はラウドであり、だれもいない頭の上の空間に拡散してしまうことなくオレらを直撃した。新曲も、いつもの曲も、意外な曲も、それはオレらの「今ココ」と確実にフックしていて、そこにはガツンという手応えがあった。加藤のMCは冴え、コータローの突っこみは絶妙だった。

その近さ、そのリアルさが嬉しくて、オレは最初から最後まで笑っていた。狭くて窮屈で人の頭でコータローが見えなかったけど(赤いシャツのデカいオヤジが邪魔だった)、その中で何とか足場を確保し、身体を揺らしながら、オレはコレクターズの音楽がオレの日常と同期していることを確認した。

嬉しい、楽しいというプリミティブな感情がまずそこにあって、それ以上の思考を停止してしまう状態。終始ヘラヘラ笑いながら時に涙ぐむロンズデールのモッズ・ターゲット柄のTシャツを着た51歳のオヤジはさぞキモかったと思うが、誰もオレのことなんか気にしていないのだからそれでいい。

コレクターズのライブに行くたび、コレクターズのライブに行った自己最年長記録を更新できるのって何かスゴいことのように思えてきた。



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