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Smoke & Blue 2016

■2016.11.17(木) 20:30開場 21:30開演
■Billboard Live Tokyo

Vo,Gt,Pf:佐野元春

Dr:古田たかし
Ba:井上富雄
KB:Dr.kyOn
Chello:笠原あやの
●Do What You Like
●トーキョー・シック
●Good Times & Bad Times
●僕にできることは
●マナサス
●自由の岸辺
●エンジェル・フライ
●ブルーの見解
●仕事帰りの女たち
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●風の手のひらの上
●続・ふたりの理由
●夜のスウィンガー
●インディビジュアリスト
●Bye Bye Handy Love



2012年、2014年、2015年に続いてシリーズとなったビルボード・ライブでの公演。これまでは毎月のライブに律儀に足を運んだりしていたが、経験的にセット・リストには大きな違いはないだろうと思うので今回はこのライブと12月の追加公演の2回のみ。

佐野元春もバンドも、リスナーも勝手の分かったリラックスしたライブ。ふだん演奏されることの少ない曲を、このライブならではの編成に合わせてリアレンジするというコンセプトは不変。中にはアレンジとしてやや生煮え感のある曲もあるが、そのチャレンジも含めて素直に楽しめる。

もともと都市の風景の中に自らの居場所を確保しようとした孤独なティーンエイジャーが僕たちのロールモデルであったとすれば、もうどう考えても否定のしようのないくらいしっかりと大人になり、同じ都市風景の中に何とか自分の生活を位置づけることに腐心してきた今の僕たちが、六本木の洒落たライブ・レストランで1万円近いチケット代を払って佐野のライブを見るのもまた予定されたことであったのかもしれない。

佐野が『こんな素敵な日には』や『週末の恋人たち』で憧憬をこめて描いたシティ・ライフ、ナイト・ライフはまさにこんなシーンだった。佐野はもともとそういう「粋」に対して意識的なアーティストである。このライブに足を運ぶことができるのは、そうやって自分の足場を取り敢えず固めることのできた人たちであり、そんな、都市生活を生き延びた者たちのささやかなミーティングがこのライブだと言っていいかもしれない。

例によって会場近くの蕎麦屋で食事を済ませ、ビールもしっかり飲んでライブに臨んだので、会場ではトニック・ウォーターしか飲まなかったが、それでもいい気持ちになって何度か意識を失いそうになった。それはそれで悪くない。

佐野がホーボー・キング・バンドとともに「月と専制君主」の第二弾となるセルフ・カバー・アルバムを制作していることを示唆するMCがあり、コヨーテ・バンドと新作を作っているのではないのかとも思ったが、もしかしたら2枚のアルバムを並行して準備しているということなのか。そういえば以前に佐野元春個人の名義で「Blood Moon」の他にもう1枚作っていると言っていたこともあったがあれはどうなったんだろう。

いくつか興味深い選曲もあり楽しめたが、ライブの具体的な内容については12月の追加公演を見てから書くことにしたい。



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