2014ロッキン・クリスマス
佐野が渡辺のピアノの前に座りおもむろに弾き始めたのは、2008年の「SWEET SOUL, BLUE BEAT」ツアー以来となる『グッドタイムス&バッドタイムス』。プレミアム・ライブらしい意外な選曲でライブは幕を開けた。 昨年までは恵比寿ガーデン・プレイスで、「L'ULTIMO BACIO Anno」というシリーズ・ライブのひとつとしてクリスマス・ライブを行っていたが、今年はそのラインアップから外れ、六本木のEXシアターで2日間のクリスマス公演となった。昨年までに倣ってロビーには軽食も用意された。 ライブの内容は概ね「AUTUMN TOUR」と共通しているが、冒頭の『グッドタイムス&バッドタイムス』の他、クリスマス・ソング2曲(『みんなの願いかなう日まで』と『Christmas Time In Blue』)、アンコールの『ジュジュ』はツアーの東京公演では披露されなかった曲。 この日は佐野もリラックスした雰囲気で、ステージを歩き回りながらのMCも饒舌だった。『Night Life』が終わったところで「今日はノー・スタンディング、ノー・クラッピングで行こう。もう決めたんだ」と言い出し、観客の半分以上は着席したものの、演奏された曲がアップテンポの『星の下 路の上』で客席には戸惑った雰囲気が。 『夜空の果てまで』が終わったところでアコースティック・ギターに持ち替えながら佐野が改めて着席を求めると、そこから『みんなの願いかなう日まで』は着席となった。正直、真意のよく分からない誘導だった。 『みんなの願いかなう日まで』では、昨年試みたコーラス・パートを観客に歌わせる企画は今年は行われず。確かにレスポンスを求めるにはコーラス・パート自体がかなり難しいのは事実。あれはあれで楽しかったが。 『Young Bloods』が終わったところで第一部が終了。20分間の軽食休憩となった。 後半はアルバム「Zooey」からの曲、来年にリリースが予定されている新しいアルバムからの『優しい闇』を経て大団円へ。『Christmas time in blue』も織り込み、『約束の橋』で本編を終了した。 アンコールではまず『ジュジュ』を披露。さらに『So Young』から「2、3曲分はあるから」という最後の『悲しきRADIO』まで。全20曲のプレミアム・ライブだった。 シリアスな批評はしばらく横に置いて、リラックスして楽しむべきライブ。予想通りツアーのセットをベースにした構成になったが、サービス精神あふれる佐野のMCも含めて素直に楽しめた。コヨーテ・バンドの演奏はタイトでグルーヴィ、渡辺のハモンドがこの日も冴えていた。 ふだんのライブがリスナーとの約束を何がしか荒々しく破棄し、新しい約束を取り結ぶ場であるとすれば、この日のプレミアム・ライブは約束の相手方がそこにいることを互いに確かめ合うような和やかな夜だったし、それでよかったのだと思う。それによって確かめられるべきものも確かに存在するのだから。 2014 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |