![]() ここでは79年の「夢幻会社」から87年の「奇跡の大河」までの長編のうち、「太陽の帝国」を除く3編を取り上げる。「太陽の帝国」を除くのは、この作品がバラードの自叙伝的な要素の強い作品で、他の長編と明らかに作品の主題が異なるからである。「太陽の帝国」は「女たちのやさしさ」と合わせて別に取り上げることとしたい。 それ以外の3編は、テクノロジカル・ランドスケープ三部作を立て続けに発表した時期からややインターバルを空け、散発的に発表されている。これまでのバラード作品で見慣れた風景を描きながらもその筆致に大きな変化の見られる「夢幻会社」、スラップスティックとも言えるほどドタバタしたB級SFテイストを盛りこんだ「22世紀のコロンブス」、そして「沈んだ世界」と「燃える世界」を融合したようなオブセッションが印象的な「奇跡の大河」と、一定した傾向は見出しがたい。 とはいえ、それぞれの作品の中にはもちろん見るべきものはある。いや、バラードの頭の中には常にひとつの風景が見えているのだろうと思わせるのはむしろこの時期の作品なのかもしれない。それが何であるかは作品を読んでみるほかない訳だが。 2006-2007 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |