logo 村上春樹 作品レビュー


村上春樹の小説を読むとそれについて語りたくなる。そこには自分がふだん感じていながらうまく言葉にできなかったことがそのまま書かれているからだ。これは僕の小説だ、これは僕のことなのだ、そう大声でふれてまわりたくなる。

だけどいざ実際に語ろうとするとそれはやはりうまく言葉にできない。考えてみればそれは当たり前の話かもしれない。村上春樹が何百枚もの原稿用紙を費やして書こうとしたことを、僕たちが簡単にひとことやふたことで語れる訳がないのだ。僕がその小説を読んで感じたことを伝えたければ、その相手にも同じ小説を読んでもらうしかない。村上春樹の小説というのはそういう面を持っている。

だからここにあるのはきちんとした書評ではない。僕が村上春樹の長編小説をあらためて発表順に読み返しながら思いついたことを書きとめたメモに過ぎないと思って欲しい。これから村上春樹を読もうとしている人にとっての簡単な見取り図とか、村上春樹の熱心な読者がこれまでとは違った角度から再読するための手がかりとか、そんなものだ。そして何より、僕自身にとっての、自己療養のためのささやかな試み。やれやれ。

僕はこの試みによって村上春樹の小説を分析したいと思っている訳ではない、いかなる意味でも。これは僕が村上春樹の小説を読んで感じた心のふるえのようなものの正体を僕なりにつきとめて言葉に置き換えようとする一連の作業なのだ。分析なんか鰐に食われてしまえばいい。大学の卒業論文を書いているのとは違うのだ。

ともかく、僕は村上春樹の小説が好きなのだ。僕と同じように村上春樹の小説を愛する人たちに、そしてそれ以外の人たちにも、読んでみて欲しい。


【長編小説】

題 名 発表年 出版社 推定枚数
風の歌を聴け 1979 講談社 250〜260
1973年のピンボール 1980 講談社 290〜300
羊をめぐる冒険 1982 講談社 840〜850
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 1985 新潮社 1330〜1340
ノルウェイの森 1987 講談社 950〜960
ダンス・ダンス・ダンス 1988 講談社 1300〜1310
国境の南、太陽の西 1992 講談社 510〜520
ねじまき鳥クロニクル 第1部、第2部 1994 新潮社 1200〜1210
ねじまき鳥クロニクル 第3部 1995 新潮社 910〜920
スプートニクの恋人 1999 講談社 540〜550
海辺のカフカ 2002 新潮社 1590〜1600
アフターダーク 2004 講談社 410〜420
1Q84 2009〜2010 新潮社 3320〜3330
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 2013 文藝春秋 690〜700


【短編集】

題 名 発表年 出版社 収録作品数
中国行きのスロウ・ボート 1983 中央公論社 7編
カンガルー日和 1983 講談社 18編
螢・納屋を焼く・その他の短編 1984 新潮社 5編
回転木馬のデッド・ヒート 1985 講談社 9編
パン屋再襲撃 1986 文藝春秋 6編
TVピープル 1990 文藝春秋 6編
レキシントンの幽霊 1996 文藝春秋 7編
神の子どもたちはみな踊る 2000 新潮社 6編
東京奇譚集 2005 新潮社 5編
女のいない男たち 2014 文藝春秋 6編
短編集に未収の短編 (16編)



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