Here comes the brand new morning... brand new day...
【G*R*A*S*S】の最後を締め括る曲の冒頭ハーモニーを耳にした
直後『!』っと想った... ここまでの曲は全て、モリスンの見た夢
だったんじゃないんだろうかと... そう想って振り替えってみると
その殆どが夢、あるいは幻想の中の物語のように聞こえて来るのだアルバム全体のアレンジがサイケデリックなのにも誘われるように
してレム睡眠のモリスンがいる... 眠りに堕ちたり、目覚めたりを
繰り返しながら夢の中を旅する彼の旅日記... 暗号めいた言い方を
するならば “夢の中、失いそうな君を捜しているモリスンの旅路”TOKYOのデズニーピープル“きれいな夢を重ねよう”
“生まれたての不思議な夢”君を感じている
“朝、目が覚めて光の中”悲しい気持ちが消えてゆく
言葉より遥か“深い河”流れている
インターナショナル・ホーボーキング“時間を止めて”
これが自由なら“眠らせてほしい”
僕は“天国に続く芝生の丘を見てた”
またいつか会えるその日まで“ここ”にいるぜ
“とても奇妙な夢の中”君は燃え尽きてゆく
世界がこのまま“眠り続けても”心はちょっと痛いままさ
舞い降りてくる星を集めて“ここ”に生きている
まるで“夢を見ていた”ような気持ちだぜ
“オハヨウ”では、そうだと仮定(モリスンの見た夢だと)すると、その旅日記
の殆ど全てのページに記されている“君”とは、いったい誰を、何
を、指してるのか?... きっと十人十色で良いのだ、例えば、恋人
だったり、友人だったり、妹だったり、母親だったり、神だったり
... 或いは、モリスンは全ての“君”を己の中に存在するもう一人
の“自分”なんだと位置付けて旅日記に記し続けたのかも知れない
... 更に言えば、“君”とは僕ら佐野元春ファンの事を指している
のかも?... 何れにせよ、ハッキリした点に触れておくべきなのだ
“君”を喪失してしまいそうだ(或いは、してしまった)って事にそんな風に聴き終えて、ハートランドから届いた手紙を開封すると
今度は、全く違う次元の扉を開く魔法の鍵が、落ちていたりもする美しい花で
庭をうずめようとは思わない
僕はただ
庭の土が痩せ細らないように
水撒きをしたいだけだ
G*R*A*S*S
の ために先に届けられた【Anniversary Edition 1st】に並べられた代表曲
... 例えればそれが“花”だと言えなくはない... でも佐野元春は
『その美しい花で我家の庭をうずめたくはないんだよ』と首を横に
振る... 花を咲き誇らせる為にも、次に咲かせる為にも、欠かして
はならない事、“水撒き” それも【G*R*A*S*S】に託された事だ主人自らが庭師となり撒いた水、その介あって、あまりにも美しく
咲き誇る花に養分を吸収されがちだった庭の土も、瑞々しく蘇って
来る... 花は彼の庭の地中深くに根を伸ばし、凛とした茎を携えて
空に葉を広げ、呼吸を続ける... だからこそ永遠に咲き、輝くのだ最後に、このアルバムにはシークレットトラックも忍ばされている...
“モリスンは朝、空港で”旅日記を一旦閉じると、小鳥のさえずり
と夢の余韻のような“モスキート・インタールード”が聴えて来る
... やがて拍手、歓声の後“サンチャイルドは僕の友達”が添えら
れてあるのだが、これも多分彼なりのささやかな追伸なのであろう『そして僕は、またこうして今日も路の上に還って来た... 今度は
君が見てる夢が覚めるまで傍にいる、君の傍に、サンチャイルド』つまり“君”とはサンチャイルド、誰もが太陽の恩恵に授かった子
柴口 勲(しばぐち・いさお) 33歳。下関市出身、福岡市東区在住。例えばあなたの隣で信号待ちをしている、言わば何処にでもいる会社員。前世紀末に舞い込んだ音信不通の親友からの便りに『二人がハタチまでに作った曲を自主製作CDとして残そう、期限は20世紀中』と思い立つが案の定、志し半ばに21世紀へ突入。1年間クソ忙しい仕事をやっつけて過ごす傍ら、子を授かり、母が他界し... 今だ様々な雨に打たれ続ける。モニターの向こう側にある電子世界での名は DANCES WITH WOLVES。