GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004
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GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004
佐野元春
Sony Music Direct
MHCL-30640〜3 [初回生産限定盤] (2020.10.7)
MHCL-30644〜6 [通常盤] (2020.10.7)
■PRODUCER:
佐野元春
■REMIX ENGINEER:
渡辺省二郎 (1-9,2-2,3-9,3-16)
■MASTERING ENGINEER:
Ted Jensen
■作詞・作曲:
佐野元春
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VOL.1 1980-1984
●アンジェリーナ
Angelina
('99 mix version)
●ガラスのジェネレーション
Crystal Generation
(Additional recorded version)
●スターダスト・キッズ
Stardust Kids
(Additional recorded version)
●ダウンタウンボーイ
Down Town Boy
('99 mix version)
●情けない週末
Rainy Day Weekend
(Original version)
●モリスンは朝、空港で
Morrison
('00 mix & radio edit version)
●シュガータイム
Sugartime
(Radio edit version)
●ハッピーマン
Happy Man
('99 mix & radio edit version)
●悲しきレイディオ
Radio Radio
('20 re-mix version)
●彼女
She
(Re-take 1991 version)
●サムデイ
Someday
(Original version)
●ロックンロール・ナイト
Rock & Roll Night
('99 mix version)
●グッドバイからはじめよう
The Beginning of The End
(Original version)
●コンプリケイション・シェイクダウン
Complication Shakedown
(Short edited version)
●トゥナイト
Tonight
(Short edited version)
●ニューエイジ
New Age
(Short edited version)
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VOL.2 1985-1992
●ヤングブラッズ
Young Bloods
(Album mix version)
●シーズン・イン・ザ・サン‐夏草の誘い
Season in the Sun
(Alternate version)
●ジャスミンガール
Jasmine Girl
(Original version)
●誰かが君のドアを叩いている
Someone's Knocking on Your Door
(Radio edit version)
●ジュジュ
Juju
(Original version)
●ワイルド・ハーツ‐冒険者たち
Wild Hearts
(Original version)
●新しい航海
New Voyage
(The Heartland version)
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
Napoleon Fish Day
(Original version)
●スウィート16
Sweet 16
(Radio edit version)
●レインボー・イン・マイ・ソウル
Rainbow in My Soul
('99 mix & radio edit version)
●雪‐あぁ世界は美しい
The World is Beautiful
(Radio edit version)
●約束の橋
The Bridge
(Additional recorded version)
●ぼくは大人になった
A Big Boy Now
(Original version)
●クエスチョンズ
Quaestions
(Original version)
●ボヘミアン・グレイブヤード
Bohemian Graveyard
(Original version)
●また明日
If We Meet Again
(Original version)
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VOL.3 1993-2004
●ザ・サークル
The Circle
(Remix & Radio edit version)
●トゥモロウ
Tomorrow
(Edited version)
●エンジェル
Angel
(Radio edit version)
●レイン・ガール
Rain Girl
('99 mix version)
●天国に続く芝生の丘
Grass Valley to Heaven
('00 mix version)
●ヤァ!ソウルボーイ
Yah! Soul Boy
(Original version)
●経験の唄
Song of Experience
(Original version)
●楽しい時
Fun Time
(Original version)
●君の魂 大事な魂
Sail on
(Alternate version)
●彼女の隣人
Don't Cry
(Radio edit version)
●ヤング・フォーエバー
Young Forever
(Original version)
●ロックンロール・ハート
Rock and Roll Heart
(Radio edit version)
●風の手のひらの上
The Answer
(Radio edit version)
●希望
Hope
(Original version)
●月夜を往け
Moonlight
(Original version)
●太陽
The Sun
(Alternate version)
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デビュー40周年を記念して企画されたCD3枚組、1980年のデビューから2004年のアルバム「The Sun」まで、全48曲収録のベスト盤。コヨーテ・バンドと制作した作品からのCD2枚組のベストが同じ日にデイジー・ミュージックからリリースされており、両方を合わせて佐野の全キャリアを総括する実質5枚組のセットになる。当初は9月23日リリースと告知されたが、その後「製造過程で重要なミスがあったため」10月7日に延期された。
全曲をテッド・ジェンセンがリマスター。一部の曲については渡辺省二郎がリミックスを行っている(後述)。初回生産限定盤には山本智志によるヒストリーや佐野自身による全曲ライナーノーツなどを掲載した資料価値の高い150ページ以上のブックレットが付属している。
ソニー・ミュージック・ダイレクトからのリリースだが、デイジー・ミュージックからのベストがコヨーテ・バンドと制作した作品に限定されたため、デイジー・ミュージックからのリリースながらホーボー・キング・バンドと制作されたアルバム「The Sun」収録の作品はこちらのベストに収められたものと見られる。
選曲はカバーする時期から概ね満遍なく、所謂代表曲やシングル曲を中心に行われているが、アルバム「Stones and Eggs」からは1曲も収録されていないのが目を引く。こうしたベスト・アルバムの収録曲についてはどうやっても「なぜあれが入っていなくてこれが入っているのか」的な声が出るのは仕方のないことで、その意味では比較的穏当な選曲だと思うが、それだけに「Stones and Eggs」は佐野自身としてあまり納得の行っていない作品だということか。『だいじょうぶ、と彼女は言った』とか『シーズンズ』とかいい曲だと思うけど。
オリジナル・バージョンが収録されたのは約3分の1にあたる17曲のみ。スリーブの解説によれば「悲しきRADIO」「SEASON IN THE SUN」「君の魂 大事な魂」「太陽」の4曲が新しいミックスとされているが、これら以外にも多くの曲が新たに一部を編集されショート・バージョンになっている。
特にイントロの一部をカットしたりアウトロを早くフェイド・アウトするなどしてやや強引にサイズを縮めたものが多く、中にはオリジナルのカット・アウトをフェイド・アウトに変更したものもあり、一聴した時に違和感の残るケースも少なくない。
最も収録時間の長いDisc3でも約70分と収録限界の74分(技術的には80分程度)には余裕があり、そこまでして尺を削らなければならなかったのか。あるいは今日の耳で聴き直した時に冗長に感じられてカットしたということなのか。尺の問題なのだとしたら、微妙なショート・バージョンを新しく作るよりは、どれか1曲削ってでもきちんとした形で各曲を収録した方がよかったと思う。
一部に例外もあるものの、全体にほぼ発表順に沿って曲順が組まれており、通して聴くことで佐野のハートランドからホーボー・キング・バンドまでの佐野の音楽的な成長がしっかりと跡づけられる好企画。時期を限定したことで、単なるスナップ・ショットではなく歴史的価値のある決定版的なセレクションになった。パッケージも含めしっかりと気の行き届いた良質な企画だと思うが、それだけに微妙な新バージョンを量産したのがちょっと残念だ。
【本作初出のバージョン】
■ モリスンは朝、空港で:「GRASS」収録の渡辺省二郎によるリミックス・バージョンのアウトロ部分のフェイド・アウトを早めたショート・バージョン。
■ シュガータイム:中間部をカットしてサイズを縮めた「THE SINGLES EPIC YEARS」収録のショート・バージョンのアウトロ部分をフェイド・アウトにした新ショート・バージョン。
■ ハッピーマン:「The 20th Anniversary Edition」収録の渡辺省二郎による新ミックスをベースに、1番と2番の間を4小節カットして7秒縮めたショート・バージョン。
■ 悲しきレイディオ:新ミックスと告知されているもの。ボーカル・トラックがオリジナルと異なるように思えるが…。
■ ニューエイジ:7インチ・シングルとしてリリースされたショート・バージョンの冒頭のカウントをカットしたもの。
■ シーズン・イン・ザ・サン:新ミックスと告知されているもの。ブックレットによれば別ボーカル・テイクを使ったとされている。
■ 誰かが君のドアを叩いている:「THE SINGLES EPIC YEARS」に収められたショート・バージョンのアウトロを一部カットしてさらに15秒短くした新ショート・バージョン。単純にフェイド・アウトを早めたのではなく手前を一部カットする手の込んだ縮め方をしている。
■ スウィート16:オリジナル・バージョンから「見えすいたこの幸せに〜」以降の部分をカットして20秒ほどサイズを縮めたショート・バージョン。
■ レインボー・イン・マイ・ソウル:「The 20th Anniversary Edition」に収録された渡辺省二郎による再ミックス・ショート・バージョンのアウトロをフェイド・アウトにしてサイズをさらに30秒以上縮めた新ショート・バージョン。
■ 雪‐あぁ世界は美しい:オリジナル・バージョンのフェイド・アウトを早めた従来のショート・バージョン(シングル・バージョン)よりもさらにフェイド・アウトを早めて30秒以上サイズを縮めた新ショート・バージョン。
■ ザ・サークル:リミックス・アルバム「Dance Expression of THE CIRCLE」収録のロング・バージョンを編集して2分以上サイズを縮めたショート・バージョン。
■ エンジェル:オリジナル・バージョンの2コーラス目と間奏の前半部分をカットして編集、2分ほどサイズを短くしたショート・バージョン。ジョージィ・フェイムのオルガン・ソロは生かされている。
■ レイン・ガール:「The 20th Anniversary Edition」に収められたリミックス・ショート・バージョンをベースにしながらも、それよりはフェイド・アウトがやや遅く10秒以上サイズが長い新ショート・バージョン。
■ 君の魂 大事な魂:新ミックスと告知されているもの。シングル・バージョン及びアルバム「The Sun」収録のバージョンではカット・アウトとなっているところを手前からフェイド・アウトしてサイズも短くなっている。
■ 彼女の隣人:アルバム・バージョンをベースに、イントロを4小節カットしてサイズを10秒ほど縮めたショート・バージョン。
■ ロックンロール・ハート:カット・アウトしているオリジナル・バージョンを手前からフェイド・アウトすることで30秒ほどサイズを短くしたショート・バージョン。
■ 風の手のひらの上:オリジナルのイントロを4小節カットしたうえ、オリジナルではカット・アウトしているアウトロを手前からフェイド・アウトすることで30秒以上短く編集したショート・バージョン。
■ 太陽:新ミックスと告知されているもの。
なお、『ワイルド・ハーツ』『また明日』『月夜を往け』は「Original version」とのみクレジットされているが、いずれも初出のシングル・バージョンと、その後オリジナル・アルバムに収録されたバージョンが(微妙に)異なっており、どちらが「オリジナル」かはっきりしない。本作に収録されたのは実際にはいずれもアルバム・バージョンである。こういうのこそきちんとクレジットして欲しいが…。同様の事情のある『ヤングブラッズ』はちゃんと「Album mix version」と記載されているのに。
また、付属のブックレットの曲目リストに「version収録」という欄があり、ここに本作に収められたバージョンの初出が掲載されているが、上記のような本作で初めてリリースされたバージョンの中にも「GREATEST SONGS COLLECTION」と記載されていないものが散見されるなど誤りが多い。
特にミスリーディングなのは『トゥナイト』。ブックレットによれば「version収録」は「7' single」と記載されているが、アナログ・シングルに収録されていたのは本作収録のバージョンとは異なるフル・サイズのオリジナル・バージョン。本作に収められたショート・バージョンは1990年のコンピレーション「Moto Singles 1980-1989」で初めてリリースされたものだ。こういうのは誰が書いて誰がチェックしているのだろうか。
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