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THE SINGLES
EPIC YEARS 1980-2004

2006.7.12発売
Sony Misic Direct / MHCL836-7

作詞・作曲 佐野元春
DISC ONE

●ガラスのジェネレーション
●アンジェリーナ
●ナイトライフ
●サムデイ
●ダウンタウンボーイ
●彼女はデリケート
●シュガータイム
●ハッピーマン
●スターダスト・キッズ
●グッドバイからはじめよう
●トゥナイト
●コンプリケイション・シェイクダウン
●ヴィジターズ
●ニューエイジ
●ヤングブラッズ
●ストレンジ・デイズ
 −奇妙な日々
●シーズン・イン・ザ・サン
 −夏草の誘い
●ワイルド・ハーツ
 −冒険者たち
●警告どおり 計画どおり
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
DISC TWO

●約束の橋
●シティチャイルド
●雪―あぁ世界は美しい
●ホーム・プラネット
 −地球こそ私の家
●ジャスミンガール
●ぼくは大人になった
●また明日
●誰かが君のドアを叩いている
●彼女の隣人
●十代の潜水生活
●楽しい時
●ヤァ! ソウルボーイ
●ヤング・フォーエバー
●ドクター
●だいじょうぶ、と彼女は言った
●イノセント
●君の魂 大事な魂
●月夜を往け

BONUS TRACK
●ガラスのジェネレーション 2006
 (Additional recorded version)

佐野元春がエピックに残した音源から商品を企画するという「Motoharu Sano Archives 1980-2004」のラインナップとして、「アンジェリーナ」から「月夜を往け」までの38枚のシングルのA面曲をほぼ年代順(「ガラスのジェネレーション」と「アンジェリーナ」だけは、「ガラスのジェネレーション」をボーナス・トラックの「ガラスのジェネレーション 2006」と対比させる意味で冒頭に置くため順序が逆転している)に並べ、ボーナス・トラックの「ガラスのジェネレーション 2006」を加えたコンピレーション。

ボーナス・トラックの「ガラスのジェネレーション 2006」はオリジナル・テイクのボーカルとピアノだけを残し、他のパートをHKBのメンバーによる新録に差し替えたバージョン(ストリングスもオリジナルが残されているように思われる)。HKBのアーシーで安定感のある演奏と若い佐野のボーカルの対比が新鮮で、試みとしては面白いと思うが、原曲のキラキラした弾むような感じが後退した感は否めない。

その他の曲は概ねオリジナルのシングル・バージョンをそのまま収録している(リマスターは行われている)が、以下に示すいくつかの曲ではこのアルバムへの収録に際して手が加えられている。これらのバージョンはこのアルバムでしか聴けないものとなっている。

◎「アンジェリーナ」はサビの「今夜も愛を探して」のリフレインの回数が減らされており、結果としてシングルに収められていたものより15秒程度短くなっている。最初に聴いたときはどの部分を編集したのか分からなかった。

◎「ナイトライフ」も同じくリフレインの回数が減らされ、やはり15秒程度短くなっている。

◎「シュガータイム」は曲の中間部分がカットされたショート・バージョンになっている。1分以上のダイエットだ。

◎「ヴィジターズ」も曲の中間部分がカットされている。オリジナルのシングルはアルバム・バージョンをそのままリリースしたもの。

◎「誰かが君のドアを叩いている」も曲の中間部分をカット。オリジナルより40秒程度短くなっている。

◎「ドクター」も同様に曲の中間部分をカットしたもの。1分40秒程度の短縮。

また、これら以外にも注意を要するべき点がいくつかある。

◎「トゥナイト」のオリジナル・シングルはアルバム「VISITORS」に収録されたのと同じ5分強のフル・バージョンである。このアルバムに収められている中間部をカットしたショート・バージョンは1990年にリリースされたコンピレーション「Moto Singles 1981-1989」に収録されたもので、本来のシングル・バージョンとは異なる。ブックレットの記載ではあたかもショート・バージョンがシングル・リリースされたように読めるが事実と異なる。

◎「約束の橋」は1992年にリカットされたときにボーカルを差し替えたバージョンが収録されている。ブックレットの曲データでは発売日が「1992.10.28」、カップリングが「君が訪れる日」と記載されているが、92年にリカットされたときのカップリングは「Sweet16」であり、この記載は正確ではない。「君が訪れる日」は1989年に「約束の橋」がアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」からの先行シングルとして最初にリリースされたときのカップリング曲であり、誤解を招く記載だ。また、89年リリースの「約束の橋」シングルは基本的にアルバム・バージョンと同じだが、シングルでは曲冒頭のカウントがカットされており、正確にはアルバム・バージョンとも異なる。

さらに、佐野がエピック時代にリリースしたシングルの中で、このアルバムに収録されていないものもある。公式サイト等でも「ライブ、12インチ、スポークンワーズ作品は除く」との記載がある通りだが、具体的には1985年の「リアルな現実 本気の現実」(スポークンワーズ)、1988年の「ガラスのジェネレーション」(ライブ)、1999年の「僕は愚かな人類の子供だった」(スポークンワーズ)、そして2003年の「Tonight[Live]」(ライブ、但しエピックではなくGO4レーベルからのリリース)の4枚と、12インチシングルのみでリリースされた「CHRISTMAS TIME IN BLUE」(1985年)、「99 BLUES」(1987年)、「インディビジュアリスト」(1987年)である。

アーカイブと銘打つ以上は、廃盤等によって入手が困難になっているシングル盤の曲を、ひとつの音楽資産としてリーズナブルな体裁でファンに提供するというのが本来の目的であるべきだと思うが、そうであればできる限り原型に近い形で供給すべきであり、オリジナルのシングル・バージョンを、編集を加えずに収録するべきであったと思う。ミックスをいじらなかったことは評価できるが、曲を編集してこのアルバムでしか聴けない新たなショート・バージョンを制作することに意味があるとは思えない。

また、曲の中間部分をカットしてショート・バージョンとする編集はこれまでのいくつかの曲でコンピレーションへの収録やシングル・カットに際して行われてきた手法だが、曲中のリフレインの回数を減らすというのは考えようによってはかなり乱暴なやり方だ。そこまでして「アンジェリーナ」や「ナイトライフ」の尺を15秒程度短縮し、ファン泣かせの「新バージョン」を作り出すことに何の積極的な意味があるのか疑問である。また、ライブ、スポークンワーズとはいえ、シングルとしてリリースされた作品を収録しないことにも疑問が残る。また、「約束の橋」のオリジナル・シングル・バージョンも収録すべきであった。

もし、これらの扱いが、収録曲をCD2枚に要領よく収める目的で行われたのだとしたら本末転倒だと思う。そうであれば3枚組でも構わないので、余裕をもって収録した方が何倍も妥当だったと思う。

さらに言うなら、むしろ音源として収集されるべきなのはカップリングの方だったのではないかと思う。シングルのA面はこれまでも概ねアルバムに収録され、そうでなくてもその大半は何度もさまざまなコンピレーションに収録されてきた曲ばかりだ。今さらシングル曲のA面ばかりを集めてみても目新しさはさほどなく、ファンはまた知っている曲ばかりのコンピレーションにカネを払うハメになる。

この点ではエルビス・コステロのシングル・ボックスが参考になる。デビュー以来のシングルを1枚ずつCD化してペーパー・スリーブに入れ、それをまとめてボックスに収納したコレクターズ・ボックスが数年前に発売されているが、アーカイブとして期待されるのは音源をオリジナルに忠実に復刻したこのような企画ではないのかと思うのだ。

シングル曲をリリース順に並べるという企画自体はあり得るものだと思うし、便利なコンピレーションではあるが、上記の通り、収録曲に編集を加えた点、収録されていないシングルがある点など、(カップリング曲の問題は次の企画に譲るとしても)僕としては強く不満の残る内容だった。こんなことなら僕に相談してくれればよかったのに、と正直思う。


シングル・バージョンについて

エラそうに書いていてアレだが、このアルバムを聴き進める中で、シングル・バージョンとアルバム・バージョンに関する僕の認識の間違いが判明したものがあるので付記しておく。

まず、「COMPLICATION SHAKEDOWN」であるが、この曲に関して当サイトではこれまで、シングル・バージョンはアルバム・バージョンと同一であると記載してきた。しかしながら今回あらためて両バージョンの尺を比較し、聴き比べたところ、シングル・バージョンはアルバム・バージョンに比べ曲の最後のリフレインの回数が少なく、サイズも短いことが分かった。

もうひとつ、「雪−あぁ世界は美しい」も同様にシングル・バージョンがショート・バージョンとなっていることを見逃して(というか聴き逃して)いた。

それぞれのシングル解説の該当箇所は修正するが、履歴として(自戒もこめて)ここに記録しておく。



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