FUN BOY THREE
Fun Boy Three
Chrysalis
1982
■ Sanctuary
■ Way On Down
■ The Lunatics (Have Taken Over The Asylum)
■ Life In General (Lewe In Algemeen)
■ Faith, Hope And Charity
■ Funrama Theme
■ Best Of Luck Mate
■ It Ain't What You Do It's The Way That You Do It
■ The Telephone Always Rings
■ I Don't Believe It
■ Alone
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テリー・ホールがネヴィル・ステイプル、リンヴァル・ゴールディングとともにザ・スペシャルズを脱退し新しく結成したバンドというかユニットのファースト・アルバム。トライバルとかアフロとか称されるなんとなくアフリカ風のパーカッションを基調に、せいぜいキーボードを重ねた程度のインスタント・アフリカン・ミュージックとでもいうべきもの。安易というかなんというか、正直無邪気な思いつきの域を出ない雰囲気ものである。
アフリカのどこかで地場の部族がこうした音楽をやっているのかといえばおそらくそんなことはなく、あくまでヨーロッパでポピュラー・ミュージックを聴いて育ってきたアーティストが空想で作った「ぼくがかんがえたさいきょうのアフリカン・ミュージック」みたいなもの。黒人であるステイプル、ゴールディングが参加しているものの、彼らとてアフリカの土着の音楽を実地に体験しているわけでもないだろうしその意味で収奪的である。
たとえば「日本的」な記号として尺八とか三味線を導入したロックを聴かされると我々がてきめんに鼻白むように、これもその類の植民地趣味だと思った方がいい。もちろんスタートがそこであってもできあがったものが聴くに足る完成度を具えていればそれはそれでいいのだが、一応ポップ・ソングの領域に落としこもうという意志は窺えるものの聴くほどの水準には達していない。これが全英7位になったのだから勢いというのは恐ろしい。
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