HOPE AND DESPAIR
Edwyn Collins
Demon
1989
■ Coffee Table Song
■ 50 Shades Of Blue
■ You're Better Than You Know
■ Pushing It To The Back Of My Mind
■ If Ever You're Ready
■ Darling, They Want It All
■ The Wheels Of Love
■ The Beginning Of The End
■ The Measure Of The Man
■ Testing Time
■ Let Me Put My Arms Around You
■ The Wide Eyed Child In Me
■ Ghost Of A Chance
■ Hape And Despair
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前作をもってオレンジ・ジュースは解散というか消滅し、それから5年を経てリリースされた最初のソロ・アルバムがこれだ。プロデューサーのクレジットはないが、前作を手がけたデニス・ボヴェル、フィル・ソーナリーがミュージシャンとして参加、旧友であるロディ・フレームも多くの曲でコーラスやギターを聴かせる。レコーディングはケルンで行われ、ヴェルクというドイツのレーベルからリリースされたようだが詳しいことは不明。
オレンジ・ジュースの名前でやっていたころには、レーベルがメジャーだったこともあってかよくも悪くもパッケージとしての完成度を高める圧力が働いていて、それが逆にバランスの悪さに聞こえることもあったが、本作ではソロになってコリンズのやりたかったことが素直に出たのだろうと感じられる。コリンズの持つソングライターとしての資質が、シンプルなバンド・サウンドのバッキングによって、率直で端正な「歌」に仕上がった。
モータウンの文法を援用した『50 Shades Of Blue』やベースが八分音符を刻むポップ・チューン『Testing Time』など、意外とオレンジ・ジュースの頃には聴かれなかったような歯切れのいいストレートなナンバーが印象に残る。コリンズのぬめっとしたテノールのボーカルも嫌味のない存在感があり、シンガー・ソングライターとしての実力を過不足なく発揮した好感の持てるアルバムだが、いかんせん華がなくセールスは振るわなかった。
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