MORE LIGHT
Primal Scream
First International
SCRMCD003X (2013)
■ 2013
■ River Of Pain
■ Culturecide
■ Hit Void
■ Tenement Kid
■ Invisible City
■ Goodbye Johnny
■ Sideman
■ Elimination Blues
■ Turn Each Other Inside Out
■ Relativity
■ Walking With the Beast
■ It's Alright, It's OK
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前作から5年のインターバルで発表された第10作。もはや「この作品は〜」とひとことで総括できないごった煮感というか音楽的ラザニア感は前作よりさらに亢進しているが、前作ではまだロック表現の通用力みたいなものに対する漠然とした楽観性が窺えたのが、この作品ではひとつひとつの曲がすごくとっつきにくく硬質で、もう、ついてこれるヤツだけ勝手にしろ的な、達観した境地に行き着いたのかとさえ思わせる無愛想なアルバムだ。
ヘヴィとかメタリックとかいう表現はおもに重く金属的なギターの音色について使われる言葉だが、このアルバムはそれとは違った意味でヘヴィでありメタリック。ここには有機的な、土に種をまいて水をやったら芽が出る的な、生身の柔らかさを思わせるモメントは希薄で、曲想はさまざまであるが結局のところコミュニケーションの有効性を信じていないヤりっぱなし感が満載。予め聴き手というものを前提にしない音楽ということなのか。
ある種の厭世観とすら思えるような、半ば投げ出されるように提示される曲のひとつひとつ。それぞれの曲はロックなのにアルバム全体はロックでないような、いや、それぞれの曲はロックと呼べないのにアルバムはロックでしかあり得ないような、そんな両義的な成り立ちは、前作のレビューとの対比で言えば「自分たちがもう死んでいることに気づいたが構わず奏でられるロック」。不親切で聴きにくいが、強烈な記名性があるのがすごい。
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