POP MUSIC
杉真理
OAK
2001
■ WAVE
■ Daddyはロックンロール中毒
■ So Fine, So Good
■ 君がいるから
■ I need her love
■ A sideからB sideへ
■ ミスター・ブギーの憂鬱
■ I've got a dream
■ Cosmic Blues
■ Smiling Face
■ 僕のデモテープ
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前作から8年ぶりにリリースされた14作目のソロ・アルバム。新星堂の自社レーベル「オーマガトキ」のサブ・レーベルであるオーク・レコーズからのインディペンデント・リリースとなった。収録曲はいずれも杉真理らしい、ポップ・ソングの流儀、プロトコルを正統に踏襲しながら分かりやすいメロディを展開して行くもの。おそらくはソニーとの契約が切れ、メジャー・アーティストとしての一線からは一歩引いた形にはなったものの、杉真理のソング・ライティングの能力がいささかも色あせるものではないことを示した。
音楽的な引き出しの多さ、奥深さは相変わらずで、8年間に亘ってストックしたであろうさまざまな曲想が、これでもかというくらい次々とバラエティ豊かに繰り出されるのはスリリングと言っていいくらいだ。元ネタが明らかな曲も多いが、杉の場合、それが音楽に対する率直な愛情とリスペクトの上に作られたものだということが作品自体から明らかで、杉真理というアーティストがどこから来たかを明確に示している。オリジナリティとフォーマリティのミックスにおいてひとつの解を示した作品と言っていいだろうと思う。
しかし、この作品がどこかレイド・バックしたものに聞こえてしまうのは、やはり例えばこのアルバムをミリオンセラーにするとか、このアルバムを携えて全国の大ホールをツアーするとか、そういうギラギラした「欲」のようなものが伝わってこないからだろう。「いいものを作っていれば売れなくてもいい」的なデタッチメントが窺え、それはインナーに曲解説を寄せている杉の「仲間たち」のコメントにも表れているように思う。好きな人、分かる人だけが聴いてくれればいいというのなら、それは正直ポップとは言い難い。
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