WAKE UP THE NATION
Paul Weller
Island
2010
■ Moonshine
■ Wake Up The Nation
■ No Tears To Cry
■ Fast Car / Slow Traffic
■ Andromeda
■ In Amsterdam
■ She Speaks
■ Find The Torch, Burn The Plans
■ Aim High
■ Trees
■ Grasp & Still Connect
■ Whatever Next
■ 7&3 Is The Strikers Name
■ Up The Dosage
■ Pieces Of Dream
■ Two Fat Ladies
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前作に続き再びサイモン・ダインをプロデューサーに迎えて制作された、2年ぶり9作目のソロ・アルバム。前作では幕間的な曲も含め21曲をぶち込んできたが、本作では16曲を次から次へと繰り出してくるという初期のビートルズもびっくりの構成。3分を超えるのはわずか4曲のみという潔さで、お、ええ曲やんと思ってる間に終わってしまうほど目まぐるしい。イントロや間奏、ブリッジやアウトロを作りこむ時間も惜しむくらいの性急さだ。
そういう構成のせいもあってか、全体にストレートなロックンロール・アルバムのようにも感じられるが、聴きこめばそれぞれの曲には明確なキャラクターがあり、いつものごとくウェラーの巧みなソングライティングや音楽的引き出しの奥深さを感じさせる。特にサイケデリックなアレンジが効いている『Find The Torch, Burn The Plans』は印象に残る。全体の折り返し点にこの曲を置き、40分という短期決戦を圧倒的に押しまくって行く。
この作品の発表時にウェラーは51歳。50歳を超え、もうのんびりと「それらしい」曲を丁寧に作っているような時間の余裕はないと悟ったのか。あるいは21世紀に入って加速する一方の情報の流通に拮抗するためには音楽もこれくらいの「固有の速度」を具えている必要があると考えたのか。凝縮された熱量もすごいが、むしろ情報の圧縮具合の方がヤバい。この時のウェラーの目には何が見えていたのか。ケヴィン・シールズがギターで参加。
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