69/96
Cornelius
POLYSTAR
PSCR-5420 (1995)
■ 69/96 A Space Odyssey -Prelude (In Atami)
■ Moon Walk
■ Brand New Season
■ Volunteer Ape Man (Disco)
■ 1969 (Case Of Monsieur Kamayatsu)
■ How Do You Feel?
■ 1969
■ Last Night In Africa
■ 1996
■ Blow My Mind
■ 69/96 Girl Meets Cassette
■ Concerto No.3 From The Four Seasons (Pink Bloody Sabbath)
■ Heavy Metal Thunder
■ Rock/96
■ World's End Humming -Reprise (in Hawaii)
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前作がフリッパーズ・ギターの残滓を大気圏突入で燃やし尽くす試みであったとすれば、本作はおそらくその中で最後に燃え残った核の部分に目を凝らしながら、方法論としての批評性を先鋭化させようとしたアルバムだと言えるかもしれない。トッド・ラングレンの「A Wizard, A True Star」のように、さまざまな音楽の断片を足したり引いたりしながらポップ表現の限界がどこにあるのかを見極める旅に、小山田圭吾はいよいよ乗り出した。
ここでその手がかりになったのはヘヴィ・メタル。伝統的なハード・ロック、ヘヴィ・メタルのサンプルが気前よくブチこまれ、そうした音楽独特の様式美や大仰さをモチーフにしながら再構成された作品は、面白く、ポップ表現の地平を探る意味で示唆に富み、そして何より単純にカッチョいい。ヘヴィ・メタルを再起動して様式の背後にあるロック音楽としてのリアルさを喚起した手法はメタラー側からも評価されて然るべきものだと思う。
電子機器に必要不可欠な希少金属は、不要になった古い電子機器の中に少しずつ埋蔵されていて、そうした産業廃棄物を都市鉱山と呼ぶのだが、このアルバムは都市鉱山を採掘して最新型の電子機器を組み立てるような音楽。ただし、通奏低音のようにアルバムの骨格を最終的に裏書きし、下支えしているのは、ディスト―ションをかけられた甘いボーカルや、ラウドなギターのリフに乗せられる美しいメロディのロマンチシズムに他ならない。
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