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Club Mix Collection 1984-1999 Club Mix Collection 1984-1999

2000.10発売 Epic Sony
E30100002A [LP]

PRODUCER:
佐野元春
MASTER ENGINEER:
Yasuji Maeda
CUTTING ENGINEER:
Bernie Grundman

作詞・作曲:
佐野元春
●Complication Shakedown
 (Special Extended Club Mix)
●Wild On The Street
 (Special Extended Club Mix)

●Tonight
 (Special Extended Club Mix)
●Individualists
 (Extended Version)

●99 Blues
 (Extended Mix)
●欲望
 (Rescue Version)

●The Circle
 (Mark McGuire Mix)
●No surprise at all - 驚くに値しない
 (Audio Active Remixed Version)



1984年にリリースした12インチ・シングル「TONIGHT(Special Extended Club Mix)」から1999年の「驚くに値しない(Audio Active Remixed Version)」まで、佐野元春が発表した主なクラブ・ミックスを集めたコンピレーション。アナログ・アルバム2枚組の発売で(CDはリリースなし)、佐野のデビュー20周年記念ウェブ・サイト「eTHIS」でのみ通信販売された。現在は入手不能。

収録曲のうち、「Complication Shakedown」、「Wild On The Street」、「Tonight」、「Individualists」、「99 Blues」の5曲は、これまでアナログの12インチ・シングルでのみリリースされたミックスで、アナログ盤の廃盤とともに長く入手不能となっていたものであり、ファンからも再音源化の希望の強かったものである。

もっとも、再音源化がCD化ではなくアナログ・コンピレーションの発売という形で行われたことには賛否があるだろう。クラブ・ミックスがアナログの12インチ・シングルといういわばターン・テーブル・カルチャーから生まれたものであることを考えるとき、この再発売がアナログによってなされたこともうなづけないではないが、現在多くのファンがCDでこれらの曲を聴きたいと考えていることもまた事実だと思う。

尚、佐野元春がリリースした12インチ・シングルのクラブ・ミックスの中でこのコンピレーションに収録されなかったのは、「Young Bloods」、「Christmas Time In Blue」と「月と専制君主」の3曲である。このうち「Christmas Time In Blue」は別途CDシングルとして再発されているが、他の2曲はこのコンピレーション発売によって、逆に日の目を見る可能性が極めて低くなってしまったと言っていいだろう。特に「月と専制君主」のクラブ・ミックスは悪くない出来であっただけに残念だ。

「欲望」と「The Circle」は1994年発売のミニ・アルバム「Dance Expression Of The Circle」からのミックス、「驚くに値しない」は1999年発売のシングル「だいじょうぶ、と彼女は言った」にカップリングで収録されたミックスで、これらのトラックは逆に初めてアナログでリリースされることになった。

あらためて聴くと、特にアルバム「VISITORS」収録の3曲には当時の佐野の先鋭的な問題意識が横溢しており、これらが今日の視点からもなおスリリングな作品であることが分かる。クラブ・カルチャー、ダンス・フロアへのロックからの眼差しという点から、これらの作品はまさに先進的だったのであり、今日でもいささかも古びていないことには驚嘆せざるを得ない。

このコンピレーション自体としては、CDで入手可能な楽曲を収録する一方でもはや入手不能なトラックを未収録にした点、CDではなくアナログでリリースした点に不満も残るが、21世紀を目前にして、佐野の貴重なトライアルが再音源化され、新しい世代の手許に届いたことの意義は評価しなければならないだろう。個人的にはCD化して一般発売されることを望む。



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