logo 役に立つドイツ旅行のポイント 気候と服装について


●海外旅行に行くとき何を着て何を持って行くのかというのはいつも悩みのタネです。まず気候の問題があって、行き先は今夏なのか冬なのか、夏だとして今年は死者が出るような猛暑なのか冷夏なのか、湿度は高いのか、風は強いのか、雨は多いのか、陽射しはきついのか、昼夜の温度差は激しいのか、冷房は一般的なのか、冬は冬で雪は積もっているのか、想定されるコンディションはまったくとりとめがないですから、事前にきちんとした情報が必要です。それからさらに、現地の社会的な問題としての服装の問題があります。教会で肌を露出してはいけないとか高級レストランでは上着を着なければならないとかそういう類です。

●まず気候の問題です。この点については結局フレッシュな情報にまさるものはありません。しかるべき情報源から今、現地の気候はどうなのかというしっかりした情報を得ることが何より重要です。でも、もちろんドイツの気候はどうかという一般的な傾向のようなものはあります。

●ドイツは日本よりかなり北にあります。日本の本土はだいたい北緯30度から45度くらいの間に広がっていますが、ドイツは北緯48度から55度くらいですから、ドイツでは最も南にある大都市ミュンヘンでも札幌よりはるか北、どころか千島や樺太辺りに位置することになります。海流等の関係もあって一概には言えませんが、そういう訳でドイツは日本より1ランクか2ランク涼しいです。夏場は最近結構暑くなるようになりましたが、30度を超えると「おおお、今日は30度だよ」という感じです。最近の日本のように35度だの40度だの体温だか風呂だか分からないような気温に達することはまずありません。

●これでも年季の入ったドイツ人に言わせると随分暑くなったらしいです。地球温暖化の兆しでしょうか。そういう事情ですから冷房はごく限られた施設にしか入っていません。クルマにもエアコンは標準装備されていないのが普通です。レストランでもエアコンが入っていると「空調中」と(ドイツ語で)自慢げに札がぶら下がっています。でもこっちでは湿気が少ないので日陰は涼しく、冷房がなくても死んでしまうことはありません。レストランやカフェだって冷房の入ったところを探すまでもなく、みんな歩道や広場や中庭に出したテーブルで風に吹かれながらビールを飲んでいますし、それで十分しのげます。但し日向を歩くときは水分が失われて予想以上に消耗しますから、意識して水分を補給するようにした方がいいでしょう。

●夜はかなり涼しくなります。蒸し暑くて寝苦しいという悩みはここにはありません(ああ、日本に帰りたくないよ〜)。蚊もあまりいませんから窓を開けても大丈夫ですが逆に明け方の冷えで風邪をひくかもしれません。夏場でも夜外出するときは服装にちょっと気をつけた方がいいですね。そうそう、夏場は夜は午後10時頃まで明るいです。もともと緯度が高い上にサマータイムで1時間時計を進めているせいです。旅行するには便利ですが、宿題の残っている語学学校生にはきつかったですね。ゆっくりメシ食ってダベって、暗くなったから帰ってきたらもう午後11時だなんてことはザラにあります。翌日が早かったりするときは一応時計に気をつけておいた方がいいかもしれません。

●サマータイムが9月か10月に終わると、日は目に見えて短くなります。サマータイムの移行時期は年によって微妙に違いますが、この時にたまたまドイツにいてそれを知らないと、翌日1時間遅刻したり早く着きすぎたりすることがありますから気をつけて下さい。基本的に週末の土曜日から日曜日にかけて時計を調整します。年2回のことですから引っかかったら記念だと思ってあきらめて下さい。親切なホテルだとチェック・インの時にでも今日でサマータイムが終わりですとか明日からサマータイムが始まりますとか教えてくれるかもしれません。

●冬は寒く、暗く、寂しいです。特に冬のドイツが好きだという奇特な人以外にはあまりお勧めできる季節ではありません。多くの観光施設も閉鎖されたりします。ライン川の観光船も休みです(あるいは本数がガクンと減ります)。ツーリスト・インフォメーションの営業時間も短くなります。気候という意味で言えば気温は時として零下まで下がります。ところによっては雪も積もりますが、都市部では今年は何回積もるかなという程度で、日中にはたいてい融けてしまい、致命的な積雪になることは稀です。でも96年から97年の冬にかけてのようにデュッセルドルフでもドカ雪が積もり、日中の気温が0度以上にならないので長い間融け残っていたこともありました。零下10度以下の笑うしかない寒さの日もありました。ある程度の覚悟はいります。

●ただしドイツ人は寒さには慣れていますから、暖房設備は大変しっかりしています。屋内で寒さを感じることはまずないと言ってもいいでしょう。問題は外を歩くときで、しっかりとセーターなどを着込んだ上に、実用的で暖かいジャンパーやコートなどを着ること、手袋も忘れないこと、場合によってはマフラーも用意することです。僕はふだんは革ジャンを着ていますが、いざというときのために綿だかダウンだかの入ったフード付のアーミー・ジャケットを用意しています。特にクリスマス・マーケットなどで長時間屋外にいるときはドイツ人もかなり気合いの入ったかっこうをしています。あと、気温が低いときは耳を守ることも必要です。毛糸の帽子でしょうか、やっぱり。

●帽子といえば夏場ですが、ここでは帽子をかぶっている人をあまり見かけません。陽射しの強い日でもドイツ人は例えば野球帽をかぶったりということをしません。それはたぶんドイツ人の髪の色が一般に薄いからだと思います。だから黒髪の日本人のように炎天下にいて頭が熱くなってしまうということがないのでしょう。逆にサングラスはたくさんの人がかけています。それは彼らの目の色が薄く光に弱いからです。ヨーロッパに行くときはサングラスをと言われたりもしますが、僕たちは黒目ですから日本で必要ない人はヨーロッパでも必要ないのではないかと思います。部屋の照明なども僕たちの感じからすると随分暗いです。蛍光灯のある個人の住宅はほとんどなく、せいぜい60ワットの白熱灯です。

●さて、次に服装のTPOの問題に移りましょう。まず気になるのが教会などの宗教施設です。神の愛は富める者にも貧しき者にも分け隔てなく注がれますから、服装がみすぼらしいこと自体はまったく問題ありません。穴の開いたジーンズでも一向に構いません(たぶん)。しかしながら神の前でみだりに肌を露出することはふさわしくありませんから、一般に肩を露出したかっこうでは入場を断られる場合があります。タンクトップはまず無理だと思った方がいいでしょう。このときの対策としてはカーディガンやショールを羽織るだけでOKです。繰り返しますが、教会では服装がみすぼらしいとか逆に派手だとかいうことがマズいのではなくて、肌を露出することが問題なのです。

●次は高級レストランです。何が高級かというのは難しい問題ではありますが、布のテーブルクロスがかかっていて布のナプキンがテーブルに立っているのは一応の目安になるでしょう。こういうところへは、男性は少なくとも襟のあるシャツと上着、ジーンズでないズボンとスニーカーでない靴で行って下さい。暑いときやリゾートでは上着はなくてOKのこともあるかもしれません。半袖のシャツはOKです。でもいったん上着を着て出かけたら食事中に上着を脱いで椅子の背にかけるのはみっともないからやめて下さい。女性の場合はどういうのがフォーマルなのか僕にはよく分かりませんが、男性の場合とほぼパラレルに考えていいでしょう。肌を露出すること自体は問題ありません。歓迎されるかもしれません。

●あと、高級ブティックの場合。僕はそういうところにはふだんあまり近づかないのでよくは知りませんが、高級ブティックに入るときはだいたいそのブランドの商品と同等前後の身なりをしているのがマナーだと思います。それと店に入る前にウィンドーで欲しいものの当たりをつけて行きましょう。某ブランドでは店内には展示品は何もなく、客の注文に応じて出して見せてくれるんだとか。何が見たいかきちんと説明できないと恥をかくことになります。怖いですね。まあ、もともと貧乏人が行くべきところではないので仕方ないです。文句があるならヨーロッパではなくて香港辺りの露店で出来のいいバッタもんを探した方がいいかもしれませんね。

●オペラだの何だのは完全に僕の受け持ち外なので何とも言えません。でも概ね高級レストランと似たようなものだと思っていいのではないでしょうか。ロック系のライブは何を着ていっても構いません。女性の場合は肌の露出が多いほど喜ばれます。あとで何があっても知りませんが。

●気候と服装についてはこんなもんですが参考になったでしょうか。旅行の時には持ち歩きのできる荷物の量にも限りがありますから、何でもかんでもという訳には行かないでしょうが、ちょっとフォーマルな服装をひとそろい持ってくるだけで行動範囲はずっと広がると思います。例えばジーンズをはいてくるならスペアはチノパンにするとか、スニーカーも黒や茶色のごまかしのきくヤツにするとか。女性もスカーフ1枚で随分助かることもあるという意見が多いです。上手に工夫して楽しく旅行して下さい。ではまた。チュース!!



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