 THE COMPLETE ALBUM COLLECTION 1980-2004
デビュー40周年企画のひとつとしてリリースされた、エピック・ソニー時代のアルバム25組（29枚）のボックス・セット。1980年の「BACK TO THE STREET」から2004年の「THE SUN」まで13枚のオリジナル・アルバムに加え、5組のライブ・アルバム、7組のコンピレーション・アルバムが、2020年にリリースされた「GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004」「THE ESSENTIAL TRACKS 2005-2020」と同コンセプトの化粧箱に収められている。 400ページを超えるハードカバーのブックレットが付属。箱のフタ部分の裏にシリアルナンバー入り。発売は当初2021年3月21日と発表されたが、4月14日に延期され、さらに延期されて最終的に6月16日のリリースとなった。 ボックスに収められたアルバムのうち、「ROCK & ROLL NIGHT LIVE AT THE SUNPLAZA 1983」は2013年にリリースされた「No Damage Deluxe Edition」に、「LIVE 'VISITORS' 1985」は2014年リリースの「VISITORS DELUXE EDITION」に、それぞれボーナス・ディスクとしてパッケージされたもので、単体では販売されていない。 また「THE BARN LIVE '98」のみはこれまでDVDで映像作品としてだけ公開されていた1998年3月29日大阪フェスティバルホールでのライブの模様を収めたもので、CDとしてはリリースされたことのないアイテム。このボックス・セット唯一の初CD化音源となる。このライブではアルバム「THE BARN」のプロデューサーであるジョン・サイモン、キーボード奏者として参加したガース・ハドソンがゲスト出演している（『ロックンロール・ハート』の前の長いインプロビゼーションはハドソンによるもの）。 オリジナル・アルバム13枚はすべてテッド・ジェンセンの手によってリマスターされている。それ以外のライブ・アルバム、コンピレーション・アルバムもリマスターされているようであるが詳細は不明（マスタリング・エンジニアとしてジェンセンの他に前田康二、坂元達也のクレジットがある）。 アルバム「THE SUN」はデイジーミュージックから発売されたものであるが、HKBと制作したアルバムである上、先行シングルはエピックから発売されており、アルバム・リリース直前に当時のCCCD問題に関する対応として急遽設立した新レーベルからのリリースとなった経緯もありこのボックスに収録されているようである。 こうした企画盤にありがちなボーナス・トラックやリミックス・バージョンなどを追加せず、ライブCDを1枚新たに加えたのとリマスターだけでそのままリパッケージしたことは潔くて好感が持てる。音源をイジってムダにカタログを増やすことなく、過去の偉大な業績を丹念にまとめることに徹した今回の企画には、佐野のキャリアに対する本人の自信と周囲の敬意が窺われて誇らしい。 一方で、シングルのカップリング曲や12インチ・シングルの収録曲などこれらのアルバムに収録されていないものはリパッケージの機会が失われたことも確かであり、ライブ・アルバムよりはこうしたレア・トラックス、レア・バージョンをまとめたボーナス・ディスクでも入っていた方が断然嬉しかった。ムリとは思うが、既発シングルを3インチCDに1枚ずつ収録した50枚組くらいのシングル・ボックスのリリースを期待したい。 税込38,500円は高すぎとか既発音源全部持ってるので要らないとか「THE BARN LIVE '98」のために箱買いするのかとか梱包用の段ボールは捨てるのか取っとくのかとかいろいろあるとは思うが、40周年という節目にエピック時代の仕事を総括するアイテムとしてこうした「張りこんだ」リリースを持ってくること自体は悪くないと思う。愛蔵盤だ。 2021 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |
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