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■2006年8月30日(水)  【Jリーグ第21節】FC東京×セレッソ大阪

さすがにキックオフには間に合わず、前半途中から国立で観戦。てか席について電光掲示板見たら0-1で負けてるし。FCはほどなくルーカスがPKを決めて何となくここから試合が始まった感じ。引き続きモチベーションは高く攻めているが、いかんせんセレッソの出足が鋭く中盤で拾い負けている感じ。同点にした後の時間帯で何度かあった得点機をどれかひとつでもモノにしておかなければならなかった。

同点のまま折り返したが、さあ勝ち越しと思った後半開始早々にCKから失点、逆に再びリードを許してしまう。その後は引き気味になるセレッソを崩せず、絶好機もはずしまくっているうちに82分にはカウンターから失点。この時点で態勢は決してしまった。その後も諦めることなく攻撃を重ねたが、ロスタイムに途中出場の馬場のゴールで1点を返すのがやっと。ホームゲームを2-3で落とした。

倉又監督就任以来4試合を2勝2敗。それも2連勝の後の2連敗だ。アウェイでの敗戦はある程度仕方ない部分もあるが、連敗しない、ホームで負けないことはチームとして必須のはず。きちんと勝つべき試合だったが気合いもさすがに空回りしたゲームだった。

敗因はまず中盤でのルーズボール、セカンドボールの拾い合いに完全に負けていたこと。前からのボール奪取ができず、簡単に中盤を突破されて最終ラインの勝負になってしまうケースも多かった。セレッソも最後のつめが雑で、土肥のセーブも合わせて救われたシーンが何度かあったが、これが上位チーム相手だったらもっとチンチンにやられて多可能性は高い。

もうひとつはボールの失い方がうかつすぎ。中途半端なパス、無用なボールキープ、無理めのドリブル。特に梶山の軽率なワンタッチプレーと、浅利の相手へのパスは勘弁して欲しい。最後に浅利を下げたのは正しかったと思うが、梶山はボールの取られ方がひどすぎ。このプレーの軽率さ、対人の弱さ、ムラ気といったものを何とかしてもらわないと、梶山を生かすために他が死んでしまう。

採点。
土肥(3)、伊野波(3.5)、ジャーン(4.5)、増嶋(4.5、46.中澤(4))、藤山(4)、浅利(5)、梶山(4.5)、石川(4)、阿部(4.5)、ルーカス(3.5)、赤嶺(4、46.馬場(3.5))

今日がFC東京デビューとなった中澤は無難な出来。全般に自分が起点になってチャンスを作るという意識が足りなかったように思う。

これで無茶苦茶な変則日程だった7、8月のリーグ戦が一段落し、インターナショナル・マッチデイのこの週末を休んで、次の週末からほぼ毎週末の試合日程に戻る。倉又東京のお披露目は済んだので、しっかりチームを作ってシーズンの残りを戦わねば。茂庭はしばらくダメそうだけど、今野が戻ってくるし人繰りは楽になるはず。

■2006年8月27日(日)  【ブンデスリーガ第3節】グラードバッハ×ビーレフェルド

開幕を1勝1敗、前節も決定力を欠いたとはいうもののアウェイで悪くない戦いをしたグラードバッハ、今節はホームにビーレフェルドを迎えた。先発はほぼ前節と同じだが、唯一、カヘがデルラに代わってツートップの一角に入った。一方のビーレフェルドは昨季までグラードバッハにいたベーメが今季初めて先発。

この試合はJスポーツでの中継もなく、ブンデスリーガ公式サイトでのウェブ・ラジオ中継も単独ではやってもらえず、「kicker」のティッカーとウェブ・ラジオのコンファレンス中継を頼りに試合の展開を追うこととなった。

前半はウェブ・ラジオを聴いていてもボルッシアパークにはほとんど中継の順番が回ってこない状態。ゴール前での見どころが少なく、互いに中盤で争う展開で、結局前半は0-0のまま終了。試合が動いたのは後半で、60分、ノイヴィルのCKをヤンセンが伸ばしたところを、先発起用に応えたカヘが頭で合わせてゴール。

FWとして昨季ブラジルから移籍したが期待はずれの2ゴールに終わり、今季もデルラ、スヴェアコス、ソンク、ラファエルらとノイヴィルの隣の席を争う中で2番目、3番目の選択肢に過ぎなかったカヘが、この試合でめぐってきた先発のチャンスにきちんと結果を出した。これをきっかけに覚醒して欲しいものだと思う。

その後はグラードバッハが引き気味になり、手堅く1点差を守りきってホーム2連勝をあげた。これで勝ち点は6となり、ブレーメンを得失点差で上回って首位とは勝ち点差1の暫定4位。チャンピオンズリーグも狙える位置だ。素晴らしい。

ユップ・ハインケス監督談話。
「しっかり仕事をしたことの勝利だ。特によかったのは2試合目のホームを再び無失点で終えることができたこと。特に前半は非常に規律のあるビーレフェルドを相手に有効な攻め手が見つからない状態だった。引いたところで少ししか戦うことができなかった。後半はスピードを上げ、プレッシャーをかけた。だが、1-0となった後は試合をしっかりコントロールするということが十分理解できていなかったようにも思える」

ここのコメントはいつも「kicker」から拾って勝手に和訳してる訳だけど、グラードバッハの公式サイトにプレス・コンファレンスの模様が動画でアップされており、こっちを見ると(当然だけど)もっとたくさんのことを言っている。「後半開始から20分間のような戦い方を今後は少なくとも60分、70分と続けて行けるようにしなければならない」と言っていた。

今後のスケジュールだが、次の週末は国際マッチデーとなり、ヨーロッパカップの予選が行われるためブンデスリーガは休み。ドイツは9月2日にアイルランドと、6日にはサン・マリノと戦うことになっており、グラードバッハからはノイヴィルとヤンセンが召集されている。

その次の週末はDFBポカールとなっており、ロスバッハというクラブと戦う。ブンデスリーガ第4節はその次の週末で、グラードバッハは16日にアーヘンとアウェイ戦。アーヘンの本拠地チボリはこぢんまりとしているが、いかにも地元に愛されているクラブの昔からの本拠という感じで、かつてのベケルベルクにも通じるいい雰囲気のところ。

他の試合ではニュルンベルクがアウェイでバイエルン相手にスコアレス・ドローとし、首位を守った。ハンス・マイヤーおそるべし。

■2006年8月26日(土)  【Jリーグ第20節】清水×FC東京

清水まで行こうかと真面目に考えたりもしたが、結局自宅でテレビ観戦。Jスポーツで生中継があったのでちょうどよかった。

FC東京は中二日での試合が続くことになるが先発のメンバーは前節と同じ。試合開始から高いモチベーションでボールを追った。清水も好調だけあってスピードのある攻撃サッカーを仕掛けてくる。間延びしたところのない、緊張感のあるゲームになった。最初の山は12分、徳永がペナルティエリアで敵を引っかけてしまいPKを与えた。しかしこれを敵FWが外してくれて何となくこれは行けるという気になった。

その後も互いにチャンスを作るが決めきれず。FC東京も中盤でアグレッシブにボールを取りに行くが、清水のビルドアップもしっかりしており時折ヤバい形になる。拮抗した試合が続いていたが、これを台無しにしたのが前半終了間際のPK。徳永がクロスに対し敵FWと競った場面でファウルを取られ、2枚目のイエローで退場になるとともにPKを献上した。テレビなので何とも言えないが、リプレイ見てもどこがファウルなの、という感じだったな。このPKは土肥が触ったもののそのままゴールへ。0-1で前半を折り返した上、後半は一人少ない状態で戦うことになった。控えめに言って不可解な判定だった。

後半は赤嶺を下げ、伊野波をそのまま右SBに起用してルーカスのワントップでカウンターを狙ったが、やはり一人少ないのは厳しい。敵も絶好機を外しまくってくれたので助かったが、77分敵FWをゴール前でフリーにしてしまい、追加点を許した。これで試合はほぼ決まってしまった。

今日も得点を狙いに行く心意気はよかったものの、さすがに連戦で疲れも見え、後半は少し足も止まりがちだったのではないかと思う。石川はよくがんばっていたが、ルーカスは今ひとつ姿が見えず、梶山は対人の球際に決定的に弱い。こいつがボロボロボールを取られてピンチになるケースが多かった。75分に川口に代えて宮沢を投入した采配も意図がよく分からない。川口が走り疲れているのであれば阿部だろう、宮沢を入れるなら交替は浅利だろう、と僕は思った。

厳しいのは茂庭のケガ。80分に倒れてそのまま退場、交替。画面で見る限りすぐに元気になりそうな様子ではなかった。情報を待つしかないが、長くかかるようだとディフェンスが苦しい。この機会に増嶋の成長を願うしかないな。次節は徳永も出場停止だし。

負け試合を審判のせいにするつもりはないが、徳永の退場、PKは謎の判定だった。試合の流れはこれで決まってしまった。残念だ。

それにしてもこないだから感じているのは、ガーロ監督のポゼッションの意識というのは確実に何かを残したなということ。前へ、前へという「生き急ぎサッカー」の復活は嬉しいが、その影に、要所要所でのワンタッチでのパスつなぎとか、縦に通してから左右に散らすポストとか、去年まではあまり見られなかった小洒落たプレーが混じるようになった。まあ、せっかく半年かけて練習したんだから少しぐらいためになってないと困るけどな、確かに。

この後も中三日、中二日と厳しい日程での試合が続く。今年の7〜8月の試合日程は絶対おかしいと思うが、まあ、他のクラブも条件は同じなので仕方ないか…。英国週間はシーズンに2回程度で十分だと思う。次の試合は再び国立でセレッソと。ズルズル連敗する訳には行かないので、ここでしっかり持ちこたえなければ。何人か入れ替えてもいいんじゃないか。梶山下げる選択肢はないのか。

■2006年8月23日(水)  【Jリーグ第19節】FC東京×福岡

久しぶりの国立。仕事終わってから駆けつけるには味スタより国立の方が全然いい。新生倉又東京の初ホームであり、千葉戦は全席完売で涙を飲んだ僕も久しぶりの観戦だ。監督が交替した直後の試合はモチベーションも高まるから勢いで勝つことも結構あり得るが、それが過密日程の中のホームできちんと再現できるか、真価を問われる試合となった。

結果からいえば心配は要らなかった。中二日の疲労もあったのか、テレビで見た千葉戦ほど走れてない感じはあったが、効果的なパス&ゴーでよくボールをつなぎ、ロング・ボールやサイド・チェンジも織りまぜながら試合の主導権を握っていた。徳永のオウン・ゴールやカウンターからの危ない場面もあったが、全体に試合を支配し、終わってみれば完勝というべき5-1。2回目のテストも合格したということだろう。

何より嬉しかったのは藤山の初ゴール。前節、今節と与えられたチャンスできちんと仕事をした藤山は高く評価されるべき。2節連続のMOTも間違いないだろう。得点だけではなく、広い範囲でピンチの芽を摘む堅実な守備、果敢な攻撃参加と藤山の動きの質は高かった。浅利も、梶山が前目になる分、ボランチとしての重い責任を背負ってよく働いた。浅利が左サイドに出たときに石川に何度か大きなサイド・チェンジを仕掛けていた。最も視野が広かったのが浅利ではないかと思う。

赤嶺、川口、石川もよかった。得点はなかったけどルーカスの中盤での縦横無尽なボールさばきも見逃せない。逆に今ひとつだったのは梶山。CK石川に蹴らせて外で水飲んでる場合じゃないだろ。徳永はちょっと身体が重そうだった。鼻骨骨折を押して2試合連続でジョーカー得点を挙げた阿部もほめてやりたい。

採点。
土肥(3.5)、徳永(4)、ジャーン(3.5)、茂庭(3.5)、藤山(2)、浅利(3)、梶山(4.5)、石川(3)、川口(3.5)、ルーカス(3.5)、赤嶺(3)

とはいえ、この試合は、言っては何だが福岡が今いちだった上に、前半途中で福岡が10人になったのにも助けられた。また中二日で今度はアウェイの清水戦。ここでもうひとつきちんと勝ちたい。

■2006年8月20日(日)  【Jリーグ第18節】千葉×FC東京

見に行こうかどうしようか最後まで迷っていた試合。日曜日の夜の試合なので現地から帰ってくると11:00近くになってしまうし、と思って。今日の午後になって、やっぱり行こう、と決めて念のために千葉のサイトで残席を確認しようとすると、なんと「全席種売り切れました。当日券はありません」…。千葉に限ってそんなはずはないと思ったが何度読んでもそう書いてある。いったい何が起こったのか。何かの間違いか。あるいはオシム効果か。千葉のファンが増えるのは嬉しいことだが、今日はやられた。

で、仕方なく自宅でテレビ観戦することにした。幸いNHK-BSで生中継があったので助かった。いうまでもなくこの試合はガーロ前監督から倉又新監督に交替しての初戦。ちょうどシーズンの折り返し点でもあり、成績からしても負けられない試合だ。FC東京は今野、金沢、鈴木、三浦をケガで、伊野波を出場停止で欠き、苦しい人繰りを強いられたが、さすがにFC東京をよく知る倉又監督は奇をてらわず、左SBに藤山、ボランチに浅利を起用した。

そう、守備が欠けたときにはいつでも藤山がいたじゃないか。ナビスコの決勝でジャーンが退場になったとき、急遽投入され延長終了まで身体を張ってゴールを守り続けた藤山。ガーロ監督の3バックから「本来の」4バックに戻したこの試合、藤山の起用は嬉しかった。

しかし、試合は序盤、いきなり千葉に2点を先取される最悪のスタートとなった。5分、7分に立て続けに失点、イヤなムードになりかける。しかし、今日のFC東京はここで下を向かなかった。むしろこれでようやく目が覚めたのだろう。ここから急にリズムがよくなり、中盤のプレスで奪ったボールを素早く左右に展開し攻め上がる、原時代を思い起こさせる攻撃が機能し始める。16分には川口からのパスを受けたルーカスがDFをかわし、得点ランキング単独トップとなるシュートを決めた。

その後も試合はFC東京ペースで進む。千葉はボールを奪った後の展開がさすがに速く、時折決定的なチャンスを作るが、中盤ではボールを失うことも多く波に乗りきれない。結局前半は2-1のまま終了したが、2点のリードを奪われた後、早い時間に1点を返すことができたのが、その後につながったと思う。

後半に入ってもFC東京がプレスでボールを奪っての速攻というスタイルで主導権を握る。62分には左サイドから切れ込んだ梶山のパスを、赤嶺が角度のないところからたたき込み同点。さらに75分には石川が右サイドから持ち込んでついに逆転した。その後、84分には羽生にミドルを決められ同点に追いつかれたが、このまま引き分けかと思われた終了間際、右サイドを上がった徳永からのグラウンダーのセンタリングを、走りこんだ途中交替の阿部が合わせて再度勝ち越し。FC東京がロスタイムを守りきって4-3で乱戦を制した。

目が覚めるのが遅すぎるといえば遅すぎたが、そこからいきなり覚醒し、最終的に勝ち点3をもぎ取ったのは素晴らしかった。見に行けばよかった。やはりFC東京にはガーロ監督のポゼッションよりこういうサッカーの方が似合う。なにより大切なことは最終的に勝ったことだ。流れ的には引き分けでも仕方なかった。しかしアウェイにかかわらずそこから勝ちに行き、得点したことの意味は、倉又東京のこの後の戦いを考えたときに決定的に大きい。この成功体験をどうホームに持って帰るかが倉又監督の手腕だということになるだろう。

この日は左サイドの川口が切れていた。石川もよかった。ルーカスが献身的に働いてくれるのはいつものことだが、梶山も(2、3うかつな横パスや簡単にやりすぎるプレーがあったが)よく働いていた。赤嶺は結果が出たのでよかったがもう少しFWとして貪欲に行くべきだろう。藤山、浅利もよく働いた。次は中2日で水曜日の福岡戦とイングリッシュ・ウィークになる訳だが、伊野波が戻ってくるので中盤の人繰りには余裕が出るはず。それにしても79分に投入した小澤を85分に馬場と替えたのは何だったんだろう。まあ、その馬場がキープしての勝ち越し点ではあったが。

千葉はさすがに規律がある。「規律」というとガチガチに統制されているようにも思えるかもしれないが、ここでいうのは英語の「ディシプリン」。よく考えて忍耐強く自分のやるべきことをやる、自分のやるべきことがきちんとそれぞれの選手に理解されているということだ。しかし、この日は監督が替わったばかりのFC東京のモチベーションに負けた部分もあるだろうし、中盤でボールの収まりどころがなかったように見えた。それでも千葉の展開するサッカーが我々の目指すべきものとかなり似ているのは間違いない。

単なる1勝以上に価値のある、FC東京ファンの間でも語り継がれる試合だったと思う。返す返すも現地で見たかった。早くにチケット買っておくべきだった…。

■2006年8月20日(日)  【ブンデスリーガ第2節】ニュルンベルク×グラードバッハ

ブンデスリーガは今季から金曜日1試合、土曜日6試合、日曜日2試合という開催になった。昨季までは土曜日7試合、日曜日2試合だったので、土曜日の1試合が金曜日に振り替わったことになる。今週のニュルンベルク×グラードバッハはこの金曜日開催だが、平日開催なのでキックオフは20:30。日本時間では夜中の3:30(夏時間が終わると4:30)という訳で、さすがにウェブ・ラジオを聴くのもきつい時間である。これは何とかして欲しい、無理だろうけど。

僕も土曜日の朝起きて結果だけ確認したのだが、案の定というか何というか0-1で負けてしまったようだ。案の定というのは、ハンス・マイヤーが監督に就任してからニュルンベルクが異常に調子がいいのと、グラードバッハがここ2シーズンほどアウェイで異常に弱いからだ。ハンス・マイヤーはもともと1999年9月から2003年3月まで3年半にわたってグラードバッハを率い、当時二部落ちしていたクラブを一部に再昇格させた上にその年の残留を果たした名監督であり、僕にとってグラードバッハの監督といえばハンス・マイヤーなのだ。

したがって彼が率いるニュルンベルクと戦うのは正直気が進まないのだが、まあ、そんなことを言っても仕方がない。やる以上は勝たなければならないが、この試合、開始早々の5分にFKから敵FWのヘディングで失った1点が結局決勝点となってしまった。「kicker」の戦評によれば、「早い時間帯のシュロートのゴールのおかげでニュルンベルクが1-0と勝利を収めた。アウェイであるグラードバッハの方が広い範囲で試合を支配していたが、せっかくのチャンスをモノにできなかった」。

ユップ・ハインケス監督コメント。
「私のチームは今日は非常によいサッカーをしたし、後半は全体に試合を支配していた。今日は敗戦以上のものが妥当だった。しかしチャンスをきちんと生かせないと、サッカーというのは得てしてこうなってしまうものだ。我々がアウェイの弱いチームだということを殊更に言い立てる人ももちろんいるだろう。しかし今日の我々はそれとはまったく違うサッカーをしたまったく違うチームだった」。「herumreiten」の訳が難しかったなあ。

この試合、キルヒが先発で90分フル出場したのは嬉しかった。ここ2、3年でほとんどの選手が入れ替わってしまった中で、2003年から在籍し、これまでなかなか出場機会に恵まれなかった彼が、ハインケス監督の下でチャンスを与えられているのは喜ばしいことだ。しっかり結果を出して、意地を見せて欲しい。

ニュルンベルクの方では悲運のストライカー、ミンタルが久しぶりに公式戦カムバックを果たした。ミンタルは、2004/2005シーズンの得点王になりながら、昨季、開幕から3戦出場しただけで右足を骨折、何とかカムバックを果たした第18節の6分に再び同じ右足を骨折するという悪夢に見舞われたのだ。この日の試合ではさすがに骨折はしなかったようだ。キースリングをレバークーゼンに放出したが、ミンタルが復調すればヴィテックとのコンビで十分埋め合わせはつくだろう。

■2006年8月15日(火)  【緊急】ガーロ監督解任

ガーロ監督が解任された。後任はU18監督だった倉又寿雄。決断、人選自体は妥当だと思うが、それでは今季ここまでガーロに任せてきた判断は何だったのか、その何が悪くてこのタイミングで監督を解任するのか、明確なステートメントが必要だと思う。

思うに、いくら若くて有能でもJリーグについて、FC東京について何も知らない外国人監督にチームを任せるということ自体、リスクが高かった。ガーロが、あるいはガーロの掲げる戦略が果たしてFC東京にフィットするのか、その検証が本当に十分なされたのかどうか僕には疑わしいと思える。

また、ポゼッション・サッカーを掲げる割りに、ガーロの実際の戦略、采配がそれと一致していなかったようにも思われる。何を信じてどのように戦えばいいのか、FC東京はどんな点の取り方をし、どんな勝ち方をするのか、ガーロはそれを選手にも、ファンにも伝えることができなかった。

もしそれが明確で、納得性のあるものであれば、現在程度の成績で「辞めろ」コールは起きなかったかもしれない。昨季までのFC東京の面白み、東京ファンがいうところの「セクシーさ」は失われ、それに代わるものをガーロもクラブも提示できなかった。それがガーロに対する不満のすべてだといっても過言ではない。

僕自身としては今季いっぱいはガーロにつきあうつもりだったし、曲折はありつつも目指す方向は次第に共有されて行くはずのものと思っていたが、選手と監督、ファンの信頼関係が失われ、チームもバラバラになりかねない現状では監督更迭もやむを得ないと思う。後継に名前だけで外国人を引っ張ってこなかったのがせめてもの救いだ。

リスクを取り、時としてそれが裏目に出てチンチンにやられたりしながらも、サイドからの速攻で胸のすくような速いサッカーを僕は見たい。戸田や阿部が「おいおい」と言いたくなるようなシュートを年に何回か決めるシーンを、宮沢から石川への糸を引くようにピッチに対角線を描くロングフィードを僕は見たい。

ワシントンはのしをつけてブラジルに返してもいい。ここまでの低迷が本当に監督のせいかどうかはともかく、監督の更迭でもう言い訳のしようはなくなった。シーズン後半、てか今週の日曜日から、再びセクシー・フットボールを見せてくれることを僕は祈っている。

■2006年8月13日(日)  【ブンデスリーガ第1節】グラードバッハ×コットブス

ブンデスリーガの2006/2007シーズンがこの週末から開幕した。まず金曜日にバイエルン×BVBが行われ、昨日は我がグラードバッハがコットブスをホームに迎えての開幕戦となった。前半はコットブスが押し気味に試合を進めたもののチャンスを得点に結びつけることができず、逆に後半開始早々、ノイヴィルのCKからスヴェンソンがヘディングで決めてグラードバッハが先制した。54分にはコットブスのアイドーが2枚目のイエローで退場、60分にはPKをノイヴィルが決めて2-0とし、この時点で大勢は決してしまった。

この試合、コットブスにはGKのピプリチャや、かつてグラードバッハにいたアイドー、キュンツェルらの名前が出てきて懐かしかった。グラードバッハは今季新たに獲得したインスア、デルラが先発したが、それ以外のメンバーは昨季のままだった。

ユップ・ハインケス監督談話。
「この試合が大変難しいものになるだろうということは分かっていた。非常にうまく試合に入ることができたが、その後、徐々に攻撃から守備にシフトしてしまった。ケーシー・ケラーがいなければ先制を許していただろう。だが、我々は心理的にも正しい時間帯に1-0となる得点を挙げることができ、その後は試合を支配できたと思う」

ブンデスリーガの日本での放映権は今季もJスポーツが獲得したようだ。ギリギリまで発表されず気をもんだが(実際にはどうせJスポーツが取るんだろうと思ってたけど)、無事に取ってくれた。今節は開幕戦のバイエルン×BVB、昨日のシャルケ×フランクフルト、そして今夜のハノーファー×ブレーメンを放送。ま、妥当だろう。バイエルン×BVB、シャルケ×フランクフルトの両方とも見たけど、見応えのあるいい試合だったと思う。

■2006年8月13日(日)  【Jリーグ第17節】浦和×FC東京

FC東京は土曜日に浦和と第17節を戦った。見に行こうかとも思ったけど、旅行から帰った翌日だったので自宅で映りの悪いMXTVを、それも2時間遅れの録画中継で見た。結果から言えばダメダメ。先制を許し、前半の中盤から終盤にかけて主導権を握れていた時間帯もあったが、そこで追いつくことができなかったために、後半早々伊野波が退場になったところで試合が壊れてしまった。広島戦ほど悪くはなかったと思うが、いったんバラバラになってしまったチームを試合の中で立て直す力は選手にも監督にもなかった。

ガーロ監督になってからポゼッション・サッカーを標榜し、苦しみながらもプレースタイルを変えてきた訳だが、結局のところどういうサッカーをして勝ちたいのか、最近の試合を見ていてもまったくはっきりしないのが問題だ。テンポよくパスをつないでボールを支配しようというのは分かるが、そこからどう得点に結びつけるかのアイデアが見えてこない。勝てた試合は相手が弱かったか、ルーカスの個人技で無理矢理得点しただけではないのか。

僕としては今季は我慢してガーロ監督に任せてみるべきだと思うが、降格がちらついてくるのであればそんな悠長なことも言っていられなくなってくるかもしれない。第17節ということでちょうどシーズンの半分が終わった訳だが、首位とは勝ち点差15、降格圏からは勝ち点差10の12位というのは安心して見ていられる位置ではまったくない。ササを出して、同じペナルティ・エリア勝負のワシントンを獲得する補強もまったく意図が見えない。

ガーロ更迭、ラマーリョ招聘との報道もあるようだが(てかラマーリョてだれ?)、ガーロ監督のポゼッション・サッカーをまともに消化もできないまま、次の有名外国人監督を招いてもチームはますますバラバラになるだけだろう。考え方がおかしい。クレバーなFC東京のフロントとも思えない。降格回避の緊急避難なら、国内で実績のある日本人監督の起用か、大熊清の呼び戻しを考えるべきだ。どうしても外国人にしたいんならクリストフ・ダウムかウヴェ・ラポルダーにしてくれ。



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