■2005年12月18日(日) 【ブンデスリーガ第17節 グラードバッハ×フランクフルト】
●ブンデスリーガ、ウィンター・ブレイク入り前の最終戦となる第17節、我がグラードバッハはホームにフランクフルトを迎えた。今週もテレビ中継、単独ウェブ・ラジオ中継がなく、「kicker」のティッカーとブンデスリーガの公式サイトのウェブ・ラジオでのコンファレンス中継を頼りに試合の流れを追った。
●居間のテレビでBVB×バイエルンを見ながら時折PCのティッカーを見に行くという忙しい状態で23:30〜25:30までバタバタ家の中を行ったり来たりしていた訳だが、ヴェストファレンの方が結構面白くてそちらに見入ってしまい、気がつくとなぜかグラードバッハが0-2で負けていた。16分、21分と続けてコパードに入れられたらしい。
●それからまたテレビを見ながらたまに経過を確認するのだがなかなか動きがない。このままではマズいな、前半のうちに1点返しておきたいなと思っていたところ、ハーフタイム前にエル・ファキリが放りこんだロング・ボールをヤンセンが受け、チャをかわして決め1-2で前半を折り返した。
●後半、フランクフルトはアマナティディスに代えてファン・レントを投入した。ファン・レントといえばグラードバッハ一部再昇格の立役者であり、ファンの人気も高く惜しまれながら昨季前にフランクフルトに移籍したかつてのエース・ストライカーである。もしかしたらボルッシア・パークではスタンディング・オベーションだったかもしれない。
●後半はテレビよりPCに集中して聴いていたのだが、何しろコンファレンスだし、昨日は他の会場でも結構得点の入る試合が多かったのでなかなかボルッシア・パークの経過が聞こえてこない。次に盛り上がったのは75分、レーマーがカヘを倒したとしてグラードバッハがPKを獲得したときだ。しかし、この絶好の同点機をノイヴィルが決めきれず、ニコロフに止められてしまう。このときは正直もうあかんと思った。
●しかし奇跡はここから起きた。その2分後、エル・ファキリのパスをノイヴィルが頭で押し込んで同点に。さらにその5分後には再びノイヴィルがFKを直接決めて勝ち越した。この辺からウェブ・ラジオも忙しくなってくる。88分にはカウンターからスヴェルコスが流しこんで4-2とし、試合を決定づけた。ロスタイムにフランクフルトは1点をあげたもののそのまま試合は終了。グラードバッハが4-3と劇的な逆転勝利を収めたのだった。
●ケッペル監督談話。
「これは私が今まで経験した中でも最もクレイジーなゲームの一つだった。スタートは恐ろしくひどい状態で0-2とリードされてしまった。だが、それをハーフタイムの直前に1-2にできたのはラッキーだった。90分間こうしようと思っていたような戦い方ができたのはようやくそこからだ。前半が終わった後、私は本当に頭に血が上っていて、監督になってから初めて大声を出して怒鳴ったんだが、どうやらそれが利いたみたいだね」
●この勝ち方、そしてファン・レントとの対決、是非ともテレビで見たかった試合だ。残念。
●これでグラードバッハはシーズンの半分に当たる17試合を終えて6勝4敗7分、勝ち点25で7位(今夜ヘルタが負けると6位)。昨季に比べればなかなかの成績である(昨季第17節終了時には勝ち点17で15位)。このままの順位ならUIカップに出られてしまうぞ。まあ、まだまだ油断のできない成績ではあるが。
●さて、この日は他の会場でもクレイジーな試合が多かったようだ。まずベッツェンベルクではラウテルンがヴォルフスブルグに一度逆転された試合を再度逆転して3-2勝った。ハリル・アルティントップがハットトリックを決めた。ビーレフェルドもケルンに先制されながら逆転して勝利を収めている。上位ではバイエルンがアウェイでBVBに2-1で勝利。BVBは主力をケガで欠きながらもモラル高く戦ったが及ばなかった。シャルケはVfBに0-2と完敗。ブレーメン×HSVのハンザ・ダービーは今夜の試合だ。
●ブンデスリーガでは全日程の半分である第17節を終わった時点での首位をヘルプストマイスター(秋の王者)と呼ぶが、今季のヘルプストマイスターは文句なくバイエルンとなった。てか、前節終了時で既にバイエルンに決まっていたのだ。17試合で14勝1敗2分なんだからまあ仕方ない。まったく面白味のない話である。
●高原はビーレフェルドへの移籍話が出ているようだ。悪くない選択肢だと思う。試合に出て実績を残したいところだし、二部へ行くよりはレベル的にもいい。今季のHSVはマジでバイエルンを追いかけているのでなかなか試してもらえる機会もないだろう。
■2005年12月17日(土) 【FC東京ファンの集い〜原監督からファンの皆様へのご挨拶】
●FC東京のシーズンは先週の天皇杯で終わった訳だが、今季限りで退任する原監督がファンに挨拶するために、味スタで異例のファン集会が開かれた。13:30からちょうど1時間ほど、原監督の挨拶、それから選手一人ずつとの一言と握手、最後に質問コーナーという構成だったが、選手も加地、今野、石川、金沢を除けばほとんどが来ていた(たぶん練習が終わってそのまま来たんだろうけど)し、ファンもホーム側ゴール裏の下層がいっぱいになるくらい来ていて、かなり盛大なお別れ会だった。
●だいたいサッカー・クラブの監督というのは成績が悪くなってシーズン中に首を切られることが多く、契約期間をまっとうして円満に退任するケースというのはあんまりないように思う。特に僕が見慣れてきたブンデスリーガでは監督交替というのはほとんどがシーズン中の解任なので、ここまで惜しまれながら幸せにクラブを去る監督というのは初めて見た。退任する監督の最後の姿を見るためだけにおそらく数千人の人たちがわざわざ味スタまで足を運んできた訳だ。
●僕が初めてFC東京の試合を見に行ったのは3年前、2002年8月17日味スタ(当時は東京スタジアム)での名古屋戦だった。そのとき僕はこんなことを書いている。
●今日は東京スタジアムへFC東京×名古屋グランパスの試合を見に行ってきた。僕は知らなかったのだがどうも今日は第1ステージの最終節だったらしい。優勝には関係のない試合だったのだが2万人を超える入りで結構なにぎわいだった。試合はFC東京が先制したものの後半早々に追いつかれ、ロスタイムに突き放されて1-2で負けてしまった。まあその他にも2度ポストをたたかれてるし、内容的にも仕方ないかという負けではあった。
●FC東京はプレーがすごくせせこましく、おおっと思わせるようなサイドチェンジは1度か2度しかなかった。左サイドはほとんどまったく使えてないし、カウンターで行くのかサイドに散らしてスペースを使うのか、そういうボールを持ったときの組立ができていない。その点グランパスは攻めのパターンがしっかりしていてだれがどこへ走るかがきちんと徹底されている印象を受けた。
●それにしてもすごくジェントルでフェアな試合だった。悪くいえば上品でおとなしい試合だった。図らずも交錯してしまうというプレーはいくつかあったが、「当たり」や激しいタックルはほとんどなかった。ブンデスリーガは当たりが激しいと言われることがあってそうなのかなと思っていたが、確かにこれと比べればそうだろう。フェアなのは結構だがもうちょっとガツンと行ってもいいんじゃないのか。
●第一印象は決してよくはなかった訳だが、それでもその年いくつか試合を見に行き、翌シーズンにはシーズン・チケットを買った。それはスペイン語だかイタリア語だか分からない中途半端なニックネームをつけたりする他のJリーグのクラブと違い、「FC東京」というあまりに身も蓋もないクラブ名の潔さが気に入ったからでもあるが、鹿島や磐田みたいな老獪なポゼッション・サッカーではなく、下手でもスピーディに攻めに行く清新なプレー・スタイルが際立っていたからだ。
●考えてみればそれが原監督のFCでの最初の年だった訳だ。アマラオが去り、ケリーも去ったが、原監督は相手のよさを消すのではなく自分たちのよさを出すという積極的なサッカーを貫いたと思うし、そのおかげで昨季はナビスコでのタイトルも獲得できた。今季は苦しい時期もあったけど、スタイルを変えずに戦い抜いて最後は12試合負けなしというシリーズでシーズンを終えた。そう、考えてみれば僕はハラ東京しか知らないのだ。
●そのクラブのファンになったときの監督にはやはり特別な思い入れがある。例えばグラードバッハのハンス・マイヤー。例えばヴァルドホフ・マンハイムのウヴェ・ラポルダー。僕にとってハラ・ヒロミは彼らと並ぶ印象深い監督として記憶に残って行くだろう。しかし、それは原監督が単に僕にとって最初のFCの監督だったからではない。原監督の掲げた攻撃サッカー、やっていて楽しく見て楽しいサッカーにひかれたからこそ僕はFCのファンになったのだ。
●ユーティリティ・プレイヤーよりは融通が利かなくても特徴のある選手を使う。石川の右サイドの駆け上がり、それを追い越して行く加地のオーバーラップ、宮沢の左足からの正確なフィード、ノリオの強烈なフリーキック、梶山の変態キープや変態パス、今野の鉄人的なボール奪取、戸田の愚直なまでの走量…。ひとりひとりのスペシャルな力をレベルアップし、それを統合することで面白い攻撃フットボールを見せてくれた。それがFC東京というクラブのカラーであり、キャラクターであり、そしてそれを演出していたのは紛れもなくハラヒロミだった。
●今日、イベントで配られた「原監督から、選手へのメッセージ」というポスターには、原監督が選手ひとりひとりについてコメントしたメッセージが印刷されている。そのコメントはそれぞれの選手のよさだけでなく、欠点や課題をはっきり指摘し、時に厳しいと思えるくらいだ。しかし、そこにはだれよりもこのチームを、選手のひとりひとりを深く知る者としての愛情があふれている。コメントを述べに出てきた三浦文丈は涙でほとんど何も言えなかった。選手に慕われ、ファンに愛され、惜しまれてクラブを去るような監督の指揮するチームを4年も見られた僕たちは幸せだったと思う。
●ともかく、原監督には心から、お疲れさま、ありがとうと言いたい。あの軽妙なしゃべりをテレビの解説で聞きたい。そしてまたいつの日か、FC東京のゴールに喜んでピョンピョン飛び跳ねるハラヒロミを見たい。
■2005年12月11日(日) 【天皇杯5回戦 浦和×FC東京、ブンデスリーガ第16節 ハノーファー×グラードバッハ】
●愛媛で行われた天皇杯の5回戦、相手は昨年も天皇杯で苦杯を喫した浦和だった。さすがに愛媛まで観戦に行くのもアレなので自宅でNHK-BSのテレビ観戦(2時間遅れの録画中継)となった。負ければ今シーズンの公式戦が終わるとともに、今季限りで退任の原監督のラスト・ゲームにもなるということで、何とか勝って準々決勝の埼玉スタジアムまで帰ってきてくれと思っていたのだが。
●立ち上がりは浦和の出足が遅く、FC東京が浦和のルーズなパスを片っ端からカットし、こぼれ球も拾い勝って左サイドの鈴木、右サイドの阿部から再三チャンスを作ったが決めきれなかった。一方の浦和はそれまでいいところがなかったが、30分、アレックスが左から上げたクロスにマリッチが頭で合わせ、この日最初のシュートで先制を許してしまう。
●FC東京はその後も果敢に攻めたが序盤ほどの勢いはなくなり気持ちが空回りしている状態となる。後半、宮沢を投入して前線へボールを運ぶがやはり決定力を欠き、逆に61分には今野の負傷治療中にカウンターから山田の抜け出しを許して2-0とされてしまった。終盤パワープレー気味にロングボールを放り込んではみたものの浦和の守備も固く、ササや途中出場の近藤を生かしきれないまま0-2で試合終了、FC東京の2005年シーズンは終わったのだった。
●多くのシュートを放ちながら、浦和のワンチャンスに負けた試合だった。序盤の圧倒的に押していた時間帯に得点できなかったのがすべてだろう。十分に勝てた試合であり非常にもったいなかった。今季浦和にはリーグ戦で2敗を喫しており、昨年のナビスコ決勝以来勝っていなかったので是非とも勝ちたかったが、モチベーション高く戦った結果がこれであればそれは仕方ないというべきだろう。
●試合後、原監督がスタンドから身を乗り出すファンとフェンス越しに握手する映像があった。単なる指導者というだけでなく、FC東京というクラブのキャラクターをだれよりも雄弁に体現し、サポーターからも愛されていた原監督の退任は本当に残念だが、どんなクラブにも変わるべき時がある。FC東京もそろそろ脱皮の時なのだろうか。17日の退任挨拶には行くつもりだ。
●さて、FC東京のオフの人事異動だが、新たに徳永の加入が発表された。徳永は特別強化選手としてFCでプレーした経験もあるが、大学卒業後はバレンシアか磐田と言われていた。加地がガンバに引っ張られている現状で徳永の加入は大きい。活躍に期待したい。一方で尾亦が湘南へ、小林が鳥栖へ移籍することになった。既に中村、迫井を戦力外としており、DFの補強が必要だ。神戸のDF松尾にオファーを出しているらしい。
●FWではルーカスが母国でのプレーを希望している。一方でアモローゾを年俸2億5千万円で獲得の報道も。ルーカスは得点源としてだけではなく、貴重なポストとして今季のFC東京の好守の柱となってきた。アモローゾなんかよりよっぽどFCには必要な選手だと思うが、本人がブラジルに帰りたいというのを無理に引き止める訳にも行かないか…。残念だがアモローゾとササの組合せで本当に攻撃は機能するのだろうか。
●グラードバッハはハノーファーでアウェイを戦った。この試合、ブンデスリーガの公式サイトのウェブ・ラジオ中継希望カード投票で直前まで1位だったので安心していたら、いつの間にかシャルケ×マインツに決まっていた。終盤に組織票でひっくり返されたようだ。仕方なくウェブ・ラジオのコンファレンス中継と「kicker」のティッカーで観戦した。
●前半は見せ場の少ない展開だったようだ。グラードバッハがやや押し気味に試合を進めたものの、笛による中断が多くリズムのつかめない試合になった。試合が動いたのは後半、49分、デムスが左から上げたクロスにノイヴィルがダイレクトで合わせ、これをハノーファーのGKエンケが弾いたところを詰めていたカヘが決めて1-0とリードを奪った。
●グラードバッハはその後も積極的に攻めたが、ハノーファーも終盤盛り返し、67分、左サイドのタルナートからパスを受けたブルダリッチがファー・ポストへクロス、これにフリーのシュタイナーが合わせて同点となった。その後はハノーファーが主導権を握ったが結局そのまま試合は終了。グラードバッハは惜しいところで今季アウェイ2勝目を逃した。
●ケッペル監督談話。
「ニュルンベルグとひどい試合をした後、我々はいろんなことを試みた。試合開始からいいプレーをしようという意志があることは見てもらえたと思う。しかし、先制の後、2-0とすることができなかった。チャンスはあったと思う」
●グラードバッハはまだ6位をキープしているが、上位5チームとは少し差が開いてしまったようだ。首位バイエルンは今夜ラウテルンと対戦、ブレーメンも今夜の試合だ。HSVはヘルタに勝って2位をキープ。高原は終了間際に交代出場したのみ。
●チャンピオンズ・リーグはグループ・リーグの全日程を終えた。シャルケはACミランに負けてグループ・リーグ突破を逃した。ブレーメンはパナシナイコスに大勝、勝ち点で並んだウディネーゼを直接対決の戦績で上回って、既にグループ・リーグ突破を決めていたバイエルンとともに決勝トーナメントに駒を進めた。
●Jリーグの話に戻るが、J1とJ2の入替戦では甲府が柏に2連勝を収め昇格を決めた。甲府は第1戦のホームで柏を2-1と破った後、昨日のアウェイ戦でもバレーの6ゴールで6-2と柏を圧倒、文句なしの昇格となった。これで来季はFC東京との青赤ダービーが見られることになった。J1からの降格は柏の他、神戸と読売、逆に昇格は京都、福岡の復帰勢と初のJ1となる甲府。見に行けるアウェイ戦が2試合も減ってしまった。
●ワールドカップはグループ・リーグの組合せ抽選会があった。日本はブラジル、クロアチア、オーストラリアとともにF組に入った。僕はこの組合せを見た瞬間「終わった」と思ったのだが、世間の評価は違うようで、例えば今朝の朝日新聞では「日本チャンス十分」なのだそうだ。日本はいつからクロアチアやオーストラリア相手に勝ちが計算できるほど強くなったのだろう。真剣勝負ならオーストラリアに引き分けるくらいが関の山だと思うがどうか。この組の勝ち抜けはブラジルとクロアチアで決まりじゃないか。
●では、何の根拠もない印象論と好みで勝ち抜け予想を。
◇A組 ドイツ、コスタリカ、ポーランド、エクアドル → ドイツ、ポーランド
◇B組 イングランド、パラグアイ、トリニダード・トバコ、スウェーデン → パラグアイ、スウェーデン
◇C組 アルゼンチン、コート・ジボワール、セルビア・モンテネグロ、オランダ → アルゼンチン、セルビア・モンテネグロ
◇D組 メキシコ、イラン、アンゴラ、ポルトガル → メキシコ、ポルトガル
◇E組 イタリア、ガーナ、アメリカ、チェコ → アメリカ、チェコ
◇F組 ブラジル、クロアチア、オーストラリア、日本 → ブラジル、クロアチア
◇G組 フランス、スイス、韓国、トーゴ → フランス、スイス
◇H組 スペイン、ウクライナ、チュニジア、サウジアラビア → ウクライナ、チュニジア
いいんだよ、偏ってて。
●今日から「新」トヨタカップが始まるが、アル・アハリとアル・イテハドの試合っていったい何人くらい観客が入るのだろう。例年通りリバプールとサンパウロの対戦で十分だったんじゃないか。
■2005年12月4日(日) 【Jリーグ最終節 セレッソ大阪×FC東京】
●今季最終戦ということで里帰りも兼ねて長居まで遠征することにした。僕は小学3年生まで東住吉区北田辺に住んでいたこともあり、長居はいわば地元である。セレッソ大阪には特に恨みもないし鹿島や浦和が優勝するくらいならセレッソが優勝した方がずっと気分もいい訳だが、FC東京としても最終戦を負けてシーズンを終える訳にも行かない。すまんができる限りの邪魔はさせてもらうという気持ちで懐かしい長居公園に到着したのであった。
●長居スタジアムは初めてだったが、長居公園にあんな立派なスタジアムができていたとは知らなかった。公園に入ってから結構歩くとはいえ駅からも近く、公園の中にはたこ焼きやお好み焼きの屋台なんかも出て悪くない雰囲気である。この日のチケットは既に完売ということで、地下鉄を出たところに「当日券はありません」という立て看板が出ている。1試合平均18,000人弱、ひどい試合では入場者1万人を切ってしまうセレッソだが、これだけ潜在的な動員力はあるんだからもうちょっとしっかり営業しろよと思う。
●この試合に勝てば文句なしに自力優勝となるセレッソは応援も気合いが入っている。僕はバックスタンドに入ったが、FC東京のサポはアウェイゴール裏の、しかも横っちょの一角に押しこめられ、スタンドのほとんどは無料配布のピンクのサンバイザーをかぶっている(僕も一応もらったが)。FC東京はルーカス、馬場が引き続きケガで出られないのに加え、ササ、加地が警告累積で出場停止。そのため阿部をトップに、左に鈴木、右に戸田という前線の布陣となった。
●試合はまず早い時間帯にセレッソが先制。3分、西澤のヘディングで失点したが、最近のFCはこれくらいではへこまない。逆にセレッソはこの先制点で戦い方が難しくなったのではないだろうか。FCは中盤での激しい競り合いからテンポの速い攻撃を仕掛け、20分にはゴール前左でボールを受けた鈴木がこれをきちんと決めて同点になった。周囲はセレッソ・サポばかりだったが、思わず立ち上がって「よっしゃ」と叫んでしまった。
●問題のシーンは35分、自陣ペナルティ・エリアで古橋からボールを奪った鈴木のプレーが謎のファウルとなりPKを献上したのだ。ゼ・カルロスのボールのセットにケチをつけた土肥がイエローをもらったが、これも高度な神経戦だったのか。ゼが蹴ったPKを土肥が横っ飛びでセーブ、得点を許さなかった。この日、勝利の女神がセレッソを見限ったとしたら、それは後半の同点ゴールではなくこの瞬間だったと思う。土肥は男前だった。
●前半はこのまま1-1で終了。前半を終わったところで2位ガンバは1-1だったが、浦和、鹿島はともに2-0でリードしている。この2チームが揃って後半に追いつかれるということは考えにくいから、得失点差を考えればこの時点でセレッソは引き分けでは足りない、勝つことが優勝の条件だという認識があったはずだ。その通り、後半開始早々、クリアボールを西澤に拾われ、これを決められて2-1とセレッソが再びリードを奪った。
●あ〜あ、という感じではあったが、セレッソはここから守りに入ったように見えた。一方のFC東京は54分に栗澤に代え宮沢を、69分には梶山に代え近藤を投入し、同点を狙いに行く。こういう局面ではササが欲しいところだが出られないものは仕方がない。宮沢のロングフィードやFK、CKから幾度となくチャンスが生まれるがセレッソも必死の防戦。終盤は完全にFCのパワープレー状態となり、放りこまれたロングボールを近藤、阿部、鈴木、戸田が拾いに走りまわる。
●そしてついに44分、宮沢のCKから近藤が強烈なボレー、これが密集に当たって跳ね返ったところを、詰めていた今野が蹴りこんだ。2-2。またしても静まり返るバック・スタントで一人立ち上がり「よっしゃあ」と叫んでしまったが、周囲の人たちはさぞ不愉快だっただろう。てか、この日、長居ではハーフタイムにも他会場の途中経過は発表していなかったのでたぶん多くの人はこの同点が何を意味するか分かっていなかったのかもしれない。試合は3分のロスタイムで終了、FCはリーグ戦12試合負けなしでレギュラー・シーズンを終えたのだった。
●一方、このとき等々力ではガンバが4-2で川崎を下していた。まあ、シーズン終盤、我々はホームでガンバ、千葉に勝ち、アウェイでも鹿島、セレッソに引き分けと、上位には万遍なく苦い思いを提供してきたので、セレッソの皆さんも悪く思わないで欲しい。セレッソにすれば今野の得点のおかげで目前にした優勝が逃げて行った試合だったが、最終節、優勝を争った他の4チームがすべて勝ったのに、自分だけ勝ちきれなかったのだから諦めるしかないだろう。
●結局優勝はガンバ、勝ち点差1で浦和、鹿島、千葉、セレッソは終わってみれば5位になってしまった。1位と5位の賞金差は1億6千万円あるらしいので、今野のゴールは1億6千万円の価値があった訳だ。いや、別にFCがもらえる訳じゃないけどさ。FC東京は勝ち点47で10位。順位表の上半分には入りたかったが、一時は降格の危機にあったのが、最後に盛り返してここまで来たのだからまずはよしとするべきか。
●採点。
土肥(1.5)、藤山(3.5)、ジャーン(3.5)、茂庭(4)、金沢(3.5)、今野(3)、梶山(3.5)、栗澤(3.5)、戸田(4)、鈴木(3)、阿部(3)。
●ここで悲しい知らせ。「攻撃サッカー」でFC東京を牽引してきた原監督が、今季限りで勇退することになった。今季、低迷した時期があったとはいえ、昇格間もないクラブをここまでにしたのは原監督の功績だろうし、何よりそのキャラクターとプレースタイルでサポを魅了してきた原監督がクラブを去るのは寂しい。来季監督にはガロの名前がささやかれているようだが、来るのがだれであれ、原監督の退任は僕にとって非常に残念なニュースだ。
●さて、FC東京ががんばっている間に我がグラードバッハは何をしていたかというと、ホームでニュルンベルグに0-1で負け。アホらしくて声も出ない。まあ、これはハンス・マイヤーへのご祝儀ということにしておこう。