logo ホーム&アウェイ 2004年11月


■2004年11月28日(日)  【ブンデスリーガ第15節 グラードバッハ×HSV、Jリーグ第15節 ガンバ大阪×FC東京

●スカパーで生中継のグラードバッハ×HSV、1部に再昇格してからは3年続けてホームで勝っているた相手であり、また今季スカパー生中継の試合も2連勝中ということでどう考えても勝つだろうと思ってワクワクしながらテレビの前に座ったのだが…。序盤からガンガン押されて一方的に守る展開に。15分を過ぎた頃から試合は次第に拮抗し始めるが、グラードバッハは工夫のない試合運びでホームゲームを支配できず、40分、FKからのこぼれ球をバーバレスに押しこまれて失点。直後の44分にもバインリッヒにFKを直接決められ、あれよあれよという間に0-2で前半を折り返すことになった。
●後半、カーネルに代えてファン・ホウトを投入したグラードバッハは、後半開始から1分も経たないうちにそのファン・ホウトのゴールで1点差に。この時間帯はグラードバッハが一方的に攻め、56分にはファウルを取られたHSVのブラルーズが審判を侮辱して退場、これは逆転で勝てるかもと一瞬淡い期待を抱かせた。しかしこういう時間帯にチャンスを外しまくっていると流れが次第に悪くなるのはよくあること。結局グラードバッハはあと1点を奪えないまま勢いがなくなり、逆に82分、ペナルティ・エリアに侵入したバーバレスをハインツが倒してしまいPKを献上、これで試合は実質的に終わってしまった。
●結局1-3という情けないスコアで2連敗を喫したグラードバッハは15位に転落し、降格圏との勝ち点差はわずか2に。前節VfBに負けたのはアウェイだし幻のゴールとかもあって仕方ないかと思える部分もあったが、それを受けてのホームでの重要な一戦にこれでは不甲斐ない。年内の残り2試合、アウェイのヘルタ戦、ホームのレバークーゼン戦ともに勝つほかなくなってしまった。アドフォカート監督談話。
「HSVにとっては妥当な勝利だったと思う。彼らは非常に立派に戦った。ハーフタイムの後、あれだけすぐに1点を返したのだから、普通はもう少し何かあると思うものだが。我々がHSVを脅かすためにやったことはあまりにも少なすぎた。次の試合でこれをどう改善して行くか、我々は学ばねばならない」。
●ところでスカパーの中継、例の倉敷−金子コンビであり、家人と一緒に見ていたこともあってやむなく彼らのおしゃべりにつきあったが、相変わらずアレだった。サブチャンネルもうるさい英語だし、本当に音声消してCDでもかけながら見るのがいちばんだけどそれじゃ臨場感に欠けるしなあ。サブチャンネルは実況なしのスタジアム音声のみかドイツ語にして欲しい。あと、これは倉敷保雄に限ったことではないが、HSVのことを「ハンブルガー」と略して呼ばれるとすごく異和感ある。気持ち悪いのでやめて欲しい。それからしつこいようだがブロイヒのことをブロークと呼ぶ根拠を示して欲しい。いったい何語なんや、それ。
●という訳で夜中まで起きて腹の立つ思いをした翌日、FC東京は今季最終戦をガンバ大阪と戦った。1時20分頃外出から帰ってきてMXTVをつけると既に0-1。これはまずいなあと思ったのだが、見ていると流れはFCに来つつあり、中盤の競り合い、こぼれ球への出足で勝てていた。特に馬場が積極的にボールに行っているのが印象的で、ノリオも元気がよかった。後半に入ってノリオのゴールで同点になってからはどういう訳かちぐはぐなガンバに対してアウェイながらFCがほぼ一方的に差しこむ展開となり、63分には加地のセンタリングから馬場がファインゴールを決めて勝ち越し、時折カウンターからやばい場面もあったもののそのまま逃げ切って今季最終戦を飾ることができた。
●最後くらい勝とうやという感じでモチベーション高く、みんなよく走っていたと思う。久しぶりに先発の宮沢もよかったし、加地も馬場もノリオもよかった。増嶋も今日はしっかりしていた。この調子で天皇杯も勝ちに行こう。リーグ戦2ndステージ10位、年間8位は不本意だが、今年は代表召集やケガ人でチームがなかなか固まらず苦労したこともあって、その分ナビスコの優勝で埋め合わせたと思えば最悪というほどではなかった。馬場、ノリオ、梶山といった若い選手がその中で力を伸ばしたのは収穫(特に梶山)。逆に今ひとつだったのは宮沢。来季はボランチとして復活して欲しい。
●尚、Jリーグは来季から1部が18チームになり、あのバカバカしい2ステージ制が廃止、ホーム&アウェイ34試合で優勝を争うオーソドックスなリーグ戦になる。延長Vゴール制の廃止以来、まともな形へのさらなる一歩であり喜ばしいと思う。2部も最終的には18チームくらいになればいいと思うし、2部とJFLの入替もあってしかるべきだろう。早く代表戦なんかよりリーグの方が盛り上がるようになって欲しい。

■2004年11月23日(火)  【Jリーグ第14節 FC東京×市原

●FC東京の今季最後のホームゲーム。感謝デーということで今日試合に出ない選手がソシオやファンクラブの受付テントにいて行列ができていた。入場ゲートには浅利がいたし、テントにはケリーや前田がいた。バックスタンド側のテントには茂庭がいたらしい。僕は浅利とケリーを間近に見られて嬉しかった。
●試合は開始早々続けざまに2点取られて苦しいスタートに。24分にはペナルティエリア内のハンドでPKをもらい、ルーカスが決めて1点を返したものの、流れからは得点を奪うことができず1点ビハインドのままハーフタイムに。後半になるとまた52分に失点、イヤな感じがしたが58分に1点を返して何とか食い下がり、81分に梶山の同点ゴールが決まって何とか引き分けた。
●全体としては両チームとも積極的に攻める好ゲームだったと思うが、FCは甘い横パスを切られたりフィードやクロスの正確さが今ひとつだったりして、まだまだ改善の余地を感じさせた。まあ、今日は茂庭、ケリーが休み、石川もベンチスタートで若手主体の布陣だったので、その辺の若干の甘さはやむを得ない部分もあったけど。
●ただ、同点に追いついてからの残り時間は、相手が一人少なくなったこともありパワープレーで、勝てた試合だったのではないかと思う。そういう状況であの残り10分とかロスタイムのワンチャンスを得点にできるかどうかの詰めの確かさは、これからタイトル争いをしようとするクラブなら身につけなければならないポイントだろうなと思った。
●採点。馬場と鈴木がよかったと思う。梶山はボランチよりトップ下の方が変態性が生きると思うがどうか。
土肥(3.5)、加地(3)、ジャーン(4)、藤山(4)、金沢(3.5)、今野(3.5)、梶山(4)、鈴木(3)、戸田(4)(53.石川(3))、馬場(3)、ルーカス(3.5)
●ところで、試合後の市原・オシム監督のコメントはいつもながらいいね。僕はこの人のコメントを読むたびにいつも泣きそうになる。こんなに冷静に、的確に、しかも愛情を持ってサッカーに、自分のクラブに向き合っている人がいる。何の義理もない極東の、最果ての東の国に呼ばれてきて、もうすごい年齢なのに、それでも任されたクラブを強くするために真剣に闘っている。この人が今、Jリーグに立ち会ってくれているということが我々にとって素晴らしい宝。心して読め。
●で、スタジアムでナビスコカップの総集編DVDを買ってきて見た。土砂降りの国立でのガンバ戦、3-0からいったんは同点に追いつかれてルーカスのVゴールで勝ちきった読売戦、そして何よりあの決勝の死闘。なかなかに見ごたえのあるDVDだった。リーグ戦はさえないけど、あとは天皇杯をしっかりがんばろう。それにしても次の試合が鹿児島なのは納得し難いな…。

■2004年11月21日(日)  【Jリーグ第13節 新潟×FC東京、ブンデスリーガ第14節 VfB×グラードバッハ

●ええと、先週はJリーグがお休みだった関係もありこのコーナーもサボってしまった訳だが、天皇杯の4回戦では我がFC東京が二部のベガルタ仙台に勝ち5回戦進出を決めた。この試合、会場が仙台でテレビ中継もなかったのだが、86分に阿部のゴールでかろうじて勝ったらしい。まあ、トーナメントなので要は勝てばいい訳だが。
●天皇杯5回戦は相手が来季のJ1昇格を決めたアルディージャ大宮。場所は大宮かと思って行く気になっていたら、地方開催となり場所が鹿児島…。大宮×FC東京を鹿児島でやっていったい見に来る人がどれほどいるんだろう。素直に大宮か味スタでやった方が両方のクラブのファンも嬉しい訳だし動員も見込めるし。鹿児島の人も大宮×東京じゃ興味もないだろうよ。
●それから先週の我がグラードバッハはホームでニュルンベルグ相手に2-1と完勝した。この試合で嬉しかったのは今季になってから出場機会のなかったデモがボランチで先発フル出場したこと。アドフォカート監督の下で再びレギュラーに定着して欲しい。
●もう一つ忘れてならないのはワールドカップ予選、日本×シンガポール。勝つには勝ったが1-0ということでストレスの多い試合だった。まあ、僕としては土肥が先発ということで楽しめたが。うかつなパスミスとかバックパスの多い試合だったと思う。勝つことより内容の方が大事な試合だったんだからもうちょっときちんとやるのかと思ってたけど、どうもその辺の意思統一が今ひとつカッチリできてないような気がした。
●で、今週のJリーグ、FC東京は再びアウェイで新潟に遠征した。新潟といえば今季の開幕戦で勝った相手だが、この日は震災以来久々の新潟開催試合ということで気合いが入っており、モチベーション的に完全に負けていたと思う。MXTVで前半のみ観戦したが先制した直後に追いつかれ、これは今日はあかんなという感じがした。案の定2-4という無惨なスコアで負け。増嶋はもうちょっと経験を積んでくれ。
●という訳で火曜日に今季最後のホームゲームがある。これは何としても勝たないとリーグ戦の着地がひどいことになる。ナビスコ優勝して気が抜けてるとか言われるぞ。まったく。しっかりしてくれ。
●で、気の早いことにクラブから来季のシーズン・チケット申込の案内が送られてきた。来季はJ1が18チームになるので開催試合が17試合に増える。若干の値上がりだが今年と同じバックスタンドの2階を買うことにした。来季もしっかり応援に行こう。
●さて、ブンデスリーガの方だが、我がグラードバッハはアウェイでVfBと。ブンデスリーガのサイトでウェブラジオを聴いていたが、ほぼ一方的に守勢に回りカウンターを狙うアウェイ戦術だったようで、「グラードバッハはよく耐えています」と何度も言われた。勝ち点1はもらえるかなと思ってたけど、56分にクラニーに決められ、そのまま0-1で負けてしまった。残念。
●アドフォカート監督談話。「我々はよく競り合ったと思う。シュトゥットガルトで負けても不名誉という訳ではないが、この負けは仕方のないものではなかった。2週間前のマインツでの試合に比べてアウェイでの戦いの改善は見られたと思う」。
●ブンデスリーガで今季好調なビーレフェルドを率いるウヴェ・ラポルダー監督のインタビューが「kicker」に載っていた。マンハイム時代のことについても述べていて面白い。マンハイムが迷走を始めたのは明らかにラポルダーを切ってから。なかなか読む価値のあるインタビューだった。今、ビーレフェルドはマンハイム時代のラポルダーの教え子ヴァータとスケラ、そして南ア代表のバックリーを擁して6位につけている。これまでは何の思い入れもないクラブだったけど、ラポルダーがいる間は応援しよう。
●12月の日本×ドイツの代表戦、チケットってどの程度の倍率だったんだろ。2chの関連スレとか読んでも結構外れてそうだし、手に入ったのは実はラッキーだったのかもしれない。夜の8時から横浜というのは厳しいけど見ないという選択肢はないからな…。

■2004年11月7日(日)  【Jリーグ第12節 FC東京×大分、ブンデスリーガ第12節 マインツ×グラードバッハ

●死闘となったナビスコ決勝から中二日、リーグ戦では既に優勝の望みもなく、かといって降格の危険もなく、FCにとっては目標の設定しにくい試合だった。この日はまずジャーンが出場停止。カップ戦の退場がどうしてリーグ戦に引き継がれるのか理解に苦しむ。普通は来年のナビスコ初戦が出場停止だろう。それ以外にもナビスコで血尿が出た茂庭は安静を命じられ欠場、ケリー、石川も疲労が取れずお休みとなった。
●驚いたのは今野で、ボランチは宮沢と、ナビスコを30分で交替となった三浦だと思っていたが、三浦が休養になり今野が先発。若いとはいえ120分をあの運動量で動き回り続けた今野が中二日で先発とは。藤山、戸田の先発も意外だった。
●この日は味の素デイということで先着1万名に味の素製品をプレゼント。味スタに着いたのがキックオフの30分前だったのでもうダメだろうと思っていたがちゃんとほんだしがもらえた。この日の入場者数は18,812人。こんなことでは横浜との動員数争いに負けるぞと思ったが、アウェイ側がガラガラなので仕方ない。バックスタンドも結構空いてたし。だいたい2万人前後がホームのベースになる動員で、そこにアウェイ側が乗っかる感じかなあ。
●試合は欠場のレギュラーに代わって起用された近藤、鈴木ら若手がフレッシュな動きを見せたが何だか全体に優勝疲れというかまったりした雰囲気が漂い、締まりに欠ける試合だったと思う。馬場は相変わらずファンタジスタ気取りで泥臭いプレーをしようとしないし。後半に投入された梶山の変態ぶりは面白かったけどね。阿部のクロスからルーカスが決めて82分に先制し、このまま勝ったと思ったけど、86分に高松をゴール前でフリーにしてしまい失点。結局1-1と勝ちきれなかった。
●主力を休ませたメンバーでこの結果は悪くないという見方もできるが、内容的には勝てた試合であり、余計な失点で勝ち点2を失ったゲームだと言うべきだろう。何となく現実感の薄い試合で不思議に負ける気はしなかったが、こういう試合のひとつひとつをきっちり勝って行くことができないと「常勝」なんてあり得ない。主力を欠いただるいゲームでも最後には1-0で勝っていた、というようなしぶとさ、タフさ、こだわりがまだまだ足りない。せっかく先制してるのに。
●という訳でこっちも何だかぼんやり見ていたので採点はお休み。鈴木は悪くなかったと思うがやっぱり若手はムラがあるな。馬場は論外としても。次節はアウェイで新潟戦だが、果たしてビッグスワンで試合ができるのか。国立とかでの開催になったら見に行こう。そういえば昨日の試合でも新潟地震の義援金テントに人が群がってるなと思ったらだれか選手が握手してたようだ。だれだったんだろ。
●一方、ブンデスリーガ第12節を前に、我がグラードバッハの新監督がディック・アドフォカートに決まった。アドフォカートはこないだまでオランダ代表を率いていた人物。大物である。ケッペル暫定監督も悪くないと思っていたが、ここはひとつ長期政権としてひとつ上のチーム作りを目指していただきたいものである。「勝率10割というケッペル暫定監督を超えることは難しい」とオヤジのようなギャグをかましていたそうだ。いや、オヤジだけど。
●で、そのアドフォカート監督になって最初の試合が昨日行われたのだが、アウェイでマインツに1-1の引き分けだった。グラードバッハは13分、ヴァイランドの不用意な横パスをスヴェルコスがカット、そのまま持ちこんで先制し、その後は押され気味の試合を何とかしのいでいたが、59分にCKから失点、結局勝ち点1を持ち帰るだけに終わった。
●アドフォカート監督談話。「勝ち点を獲得できたのは嬉しい。この引き分けは我々にとって重要だ。マインツでは我々以前に多くのクラブが問題を抱えていた訳だから。もちろん内容的にはまだまだ改善すべき点はあった」。
●その他では空気の読めないニュルンベルグがヴォルフスブルグに4-0と勝ってしまったため、首位ヴォルフスブルグと2位バイエルンの勝ち点差は1に縮まった。まあ、ヴォルフ監督にすれば古巣が相手だから勝ちたかったというのもあるかもしれないが。BVBはビーレフェルドに負け、いよいよ監督の首も寒くなってきたかもね。
●さて、前節の話になるが、ラウテルンのテバーが途中出場で2ゴールを挙げ、ビーレフェルドに2-1で勝った。テバーといえばマンハイムが最終節で1部昇格を逃した2000/2001シーズンにラポルダー監督の下で働いた元U21代表である。そのラポルダーは今ビーレフェルドの監督であり、当時同僚だったヴァータやスケラもビーレフェルドにいる。これだけを見ても当時のマンハイムは1部規格だった訳で、それがギリギリで昇格できずに今や4部に低迷しているのは悲しい限り。当時のメンバーが一部でがんばっているとつい入れ込んでしまう。レバークーゼンのバリッチも当時マンハイムにいたんだよな。今、僕のデスクトップの壁紙はマンハイムのワッペンだ。
●ラウテルンではケルンにいたティムが昨日の試合に出場している。ラウテルンは嫌いだがこいつもがんばって欲しい選手だよな。

■2004年11月3日(水)  【ナビスコカップ決勝 FC東京×さいたまパジェロ

●さて、今日は待ちに待ったナビスコ決勝の日、快晴の優勝日和である。初のタイトル挑戦となるFC東京を応援するべく午前中から国立に出かけた。着いたのは11時頃だったが既にかなりの数の人が集まっており自由席はまだまだ空席は十分あるもののまんべんなく埋まり始めている状況。入口でチップスターとオレオとメンバー表の入ったビニールバッグをもらう。試合までの待ち時間を埋めるべくガチャピンとムックが出てきてアトラクションをやってくれるのはいいが、ムックのユニフォームの背番号が「69」というのはいかがなものか。
●試合前に、FCの応援団から青い厚紙のプラカードが配られ、選手入場の時にはこれを高く掲げて欲しいとの説明があった。うまく行けばFC東京側のスタンドが青と赤に塗り分けられてその上にカップが浮かび上がる構想らしいが、惜しむらくはそれを我々自身が見られないことだな。試合間近になると指定席も含め満席の状態になってきたが、全体としては青赤(FC)3割に対し赤(さいたま)7割という感じ。バックスタンドの指定席上方に設けられた自由席エリアはさいたま側に開放されている。彼らはいったいどうやってチケット取ったんだろうな。
●試合はほぼ定刻に始まった。のっけから両チームともテンションが高く、中盤でのボールの奪い合いも拮抗して決勝にふさわしいゲームとなった。両チームとも高い位置から積極的に攻撃を仕掛けるが、DFが踏んばって得点を許さず緊迫したゲームが続く中、29分にジャーンがこの日2枚目のイエローカードをもらって退場になってしまう。タックルされたエメはわざとらしくゴロゴロ転がってアピールしていたが本当に2枚目のカードを出さなければならないほどのファウルなのかと小一時間…。
●ジャーンはピッチに突っ伏して泣いていたが審判の判定が覆る訳もなくFCは10人での戦いを強いられることとなる。ボランチの三浦を下げてDFの藤山を入れたことで交替のカードも1枚切らされてしまう。前半はそれでもルーカス、ケリーのキープ、戸田の運動量もあって残りの15分をしのいで0-0のままハーフタイムに突入した。
●後半になると一人多いさいたまが圧倒的に攻撃を仕掛け、再三決定機を作るが、土肥が超人的なセーブを見せてゴールを守るとともにエメもふかしまくって何度も胸をなで下ろす展開に。FCは時折カウンターから敵ゴール前まで行くが、さすがに運動量も落ち、シュートも少なく、頼みのセットプレーもジャーンを欠いて迫力がなく、とにかくDF頼みで守りきるしかないという状態で、茂庭と藤山の身体を張った守備と、今野がボランチ1枚でさいたまの攻撃を切り、遅らせるという根性と集中力の勝負。
●ケリーに代えて梶山を、戸田に代えて憂太を投入したが、梶山はともかく憂太はいつもの美しいプレーをしたがる癖が治らず、こうした根性勝負の試合では頼りにならないこと甚だしい。ボールはすぐに取られるし、出てきたばかりなのに走らないし、序盤からの疲れで走れない同僚に鬼のようなスルーは出すし、もっとタフに行けという感じで、どうせなら阿部を出して欲しかったと思った人も多かったことだろう。
●土肥とポストとエメのふかしに助けられるかたちで、何とか90分をスコアレスで終えた。とにかく10人なので体力的にはこちらが圧倒的にきつい。でも逆に10人だから戦い方がはっきりして意思統一はしやすかったのかもしれない。延長に入っても状況は変わらず、受けてしのぐ苦しい戦いだったがそれでも集中は切れず、土肥は引き続きファインセーブを連発、さいたまがふかしてくれて助かったシーンも多く、試合後の記者会見でブッフバルト監督は「ボールがFCのゴールに入りたがらなかった(Der Ball wollte nicht ins Tor von FC Tokyo)」と嘆いたほど。まあ、あのうち一本でも決まってたら負けてた訳で。
●そういう調子で延長も0-0でしのぎぎった。ていうかこの辺になるとさいたまのシュートは絶対入らないという妙な確信めいたものが心の中に生まれてたな。試合はPK戦になり、FCファンが待つホーム側ゴールへ。さいたまの選手がけるときにみんなでマフラーをクルクル回すのはお約束か。FC先攻で、さいたまの3人目が外したときには半分勝ったような騒ぎだったが、FC4人目の梶山がセーブされて同点に。ここでさいたまの4人目を土肥がセーブ、FC5人目の加地が決めてついに優勝が決まった。いやあ、泣いたね、マジで。MVPの土肥は文句なし。裏MVPは藤山にやりたい。
●とにかく守備の要ジャーンを30分で失ってから90分を10人で戦い、「あの」さいたまを無得点に抑えた訳で、今日の試合はとにかくそれに尽きるね。無得点なのにテンションが高く最後まで集中の切れない素晴らしい試合だったと思う。そのジャーンの退場も含め審判の判定がいかがかと思うところも多々あったが、こういうのは前にも書いた通り有利に働くこともあれば不利に作用することもあってある程度は諦めるしかないんだろう。PKで勝ったということは試合そのものとしては引き分けだったということで、内容からすれば上出来以上。こういう試合を毎週やって欲しいと思うがそれは無理か。
●それにしてもFC東京のゴール裏でカメラ構えてたプレスの人たちが、延長の途中のエンド交替でザラザラーっとこっちへ流れてくるのはマジムカついたね。そりゃ、だれが見てもさいたまの方がゴール決まりそうだったけどさ。ああ、そうか、彼らは土肥のセーブの写真撮ってたのか。
●あんまり採点しても意味ないかと思うけど一応。
土肥(1)、加地(3)、ジャーン(-)、茂庭(1.5)、金沢(2)、三浦(-)(33.藤山(1))、今野(1.5)、石川(2.5)、戸田(2)(84.馬場(5))、ケリー(3)(71.梶山(3.5))、ルーカス(3)
●思えばもともとドイツにいるときに、せっかくサッカーの本場なんだから滞在している間に見ておこうとグラードバッハの年間チケットを買ったのが始まりで、帰国してからは代表戦ばかり盛り上がる日本のサッカー状況に、やっぱ地元のクラブをきちんと応援しなきゃだろと思ってFCの試合を飛田給まで見に行ったのだった。それが飛田給だったのは単に自宅から比較的近かったからで、それがFCだったのは読売が嫌いだというネガティブな理由だけだった。
●初めて見たFCの試合は2002年8月の名古屋戦、その時の感想は「FC東京はプレーがすごくせせこましく、おおっと思わせるようなサイドチェンジは1度か2度しかなかった。左サイドはほとんどまったく使えてないし、カウンターで行くのかサイドに散らしてスペースを使うのか、そういうボールを持ったときの組立ができていない」。それが翌シーズンには年間チケットを買い、今年はアウェイにも応援に行くようになってすっかり入れ込み、チームもしっかり成長してついにタイトル。結構感無量。いい一日だった。ありがとう、FC東京。



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