logo Silverboy Club Music Award 1999


今年僕は全部で70タイトル以上のCDを買ったが、そのうち今年発売された洋楽の新譜で僕が一応真面目にレビューして採点したのが26枚あった。せっかく採点したのでその中から今年の大賞を選びたいと思うんだが。

で、集計してみて困ったのは、採点の基準が結構いい加減だったということである。10点満点で採点しているのだが、例えば「8点に近い7点」と「7点の松」はどっちが上か、とか、「6点は可哀相なので7点」と「7点の梅」はどっちがましか、とか、場当たり的に好きなことを書いたつけが一気にまわってきた訳だ。

結局、今後のことも考えて、採点基準は10点満点の各ポイントごとにさらに「松竹梅」の3ランクに細分することにした。単純な「7点」は「7点の竹」に相当、上の2つの例はどっちも一緒ということで。ああ、でも「8点の竹か梅」なんて書いたヤツもあるんだよなあ。

最低点は5点だが、その内容について詳しく述べるとKOBさんからケンカを売られることになっているのでその事実だけを述べるにとどめよう。2点とか3点とかというCDはないのか、という性格の悪い人もいるかもしれないが、そういうCDは買いません。間違って買ってしまってもレビューしません。ということで、一応点がついているということはそういう意味での最低限のレベルはクリアしているというか、僕のストライク・ゾーンには入っているということだ。だって愛情のないものをわざわざ労力かけてけなすのもバカらしいでしょ。

では、大賞の発表です。輝く Silverboy Club Music Award 第1回受賞者は、トム・ウェイツさんに決まりました。パチパチパチ。という訳で、同じ9点なんだけど、シャックはNMEでも年間ベスト50の2位になっているので、僕の方はトム・ウェイツに大賞を上げたいと思う。おめでとうございます。トム・ウェイツさん、もし読んでたら受賞のコメントをお願いします。

上位の結果は下記の通りだが、新人賞は該当者なし(候補はゲイ・ダッド)。優秀賞は惜しくも同点で大賞を逃したシャックに上げることにする。その他、得点に関係なく印象に残ったのはパールフィッシャーズ、チボ・マット、ヘフナー、OCS辺り。

でも全体を見渡すと、オレの聴いてるCDってやっぱり偏ってるよなあという感は拭いきれないね。ま、好みの問題なんで仕方ないんだけど。それに関しては、別に音楽評論家でも何でもないんだからすべての音楽をまんべんなく聴かねばならないなんていう義理はどこにもないんだということに数年前に気づいて、それ以来好きになれないものは好きになれないと割り切ってる。たまに雑誌のホメるCDがよく理解できなくても、そんなもん好みの問題やからしゃあないやんけ、と思うと楽です。僕の耳がおかしいんじゃないか、とか、僕はもう時代遅れなんじゃないか、とか、そんなくだらないオブセッションを抱く必要はないんだってことだね。ま、このサイトのCDレビューはそういうスタンスの上に成り立っている。

シーンのことを言えば、もうどうしようもないくらい「好みが細分化したままそれぞれ肥大化」してます。それはどちらかといえば邦楽マーケットに顕著だけど、洋楽にもそれはあてはまる。良し悪しは別にしても、これだけ互いに脈絡のない動きがシーンの中で並行して隣り合わせに起こっている時代もなかったのではないかと思う。で、それぞれの動き自体は結構大規模だったりするところがまた面白い。どうなるんでしょう、これ。

そんな中で、2001年はオアシスとベルセバの新譜にまずは期待したい。ああ、あと、前評判の異様に高いプライマル・スクリームの新譜ね。どうしてドイツは「スワスチカ・アイズ」のシングルどこにも売ってない訳?

そんな訳で、個人的なロック体験としての第1回 Silverboy Club Music Award 大賞はトム・ウェイツさんでした。それでは皆さん、また来年お目にかかりましょう。




選考結果

大賞 (評点1位)
MULE VARIATIONS Tom Waits
Tom Waits [選評] 万人に勧められる音楽ではない。むしろ一聴して顔をしかめる人の方が多いかもしれない。しかしある種の人にはかけがえのない音楽であり、この本質的によりどころのない世界で一人途方に暮れるとき、僕が今ここにいることをだれよりも強く、優しく肯定してくれる都市生活の子守歌。「音楽体験」とはこういうこと。

[評点] 9竹
 
次点 (評点1位)
H.M.S. FABLE Shack
Shack [選評] 1曲目、「Natalie's Party」がジャーンというギターのストロークで始まるとき、僕はもう何も説明する必要のない僕たちの古い約束がようやく果たされたことを知る。ロックによってしか生かされ得ない1人の男があまりに瑞々しい「メロディ」とともに生還したことを、僕はだれに感謝すればいいのか。傑作。

[評点] 9竹
 
3位
ONE FROM THE MODERN Ocean Colour Scene
Ocean Colour Scene [選評] ザ・フー、スモール・フェイセス、ザ・キンクス、そしてザ・ジャム。男たちの系譜。今、この手の音をやらせたら右に出るもののいないバンドに成長したと思う。カッコいいという言葉がロック評論において最高の賛辞であることを思い起こさせる。「I Am The News」を、「July」を聴け。

[評点] 8松
 
優秀賞 (評点4位・順不同)
PEASANTS, PIGS & ASTRONAUTS Kula Shaker
UP A TREE Looper
THE FIDILITY WARS Hefner
US & US ONLY The Charlatans
SUPERGRASS Supergrass



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