Silverboy Club Music Award 2009 皆さん、1年間のご無沙汰でした。もはや年末には欠かせない行事となった感のある Silverboy Club Music Award も、今年で第11回を迎えました。今年1年に聴いた新譜の中から最も評点の高かったものを集計して発表するというだけの企画ですが、ドイツに住んでいた頃から11年もやってると思うと我ながら感無量です。では、早速今年のベスト・ディスクを見て参りましょう。 では、まず大賞の発表です。輝く第11回 Silverboy Club Music Award、大賞受賞者は、ブルース・スプリングスティーンさんに決まりました。パチパチ。スプリングスティーンさん、これをご覧でしたら是非喜びのコメントをお願いします。スプリングスティーンさんは初めてのノミネートで堂々の大賞受賞となりました。もはや大御所といえるその実力は既に周知のものですが、当サイトでは「守備範囲外」のアーティストとして取り上げてきませんでした。 今回、どういう経緯でアルバムを買うに至ったのかもはや記憶が定かではありませんが、とにかくこのアルバムの率直さの力の前には言葉を失いました。成長と成熟という、ロック音楽にとっての未体験ゾーンを力ずくで歌にし続けているボスのアーティストとしての練度の高さ、底力を垣間見る思いでした。やはりアメリカという国は侮れないと思います。今年「8松」をつけたのはこのアルバムだけ。文句なしの受賞でした。おめでとうございます。 2位にはザ・ヴュー、U2、エルヴィス・コステロ、ソニック・ユース、プリファブ・スプラウトの5作品が「8梅」の同評点で並びました。この中から次点に選ばれたのはザ・ヴューの皆さんです。この顔ぶれの中では唯一の若手ということで将来性を買われての受賞です。あまりに身も蓋もない「それだけのロック」を卓越したソング・ライティングで聴かせたこの作品は高く評価されてしかるべきでしょう。審査員の中にもほとんど異論はありませんでした。 第3位は昨年同様紛糾しましたが、最終的にはU2とソニック・ユースの一騎打ちになりました。プリファブ・スプラウトのアルバムは内容としては素晴らしいものですが、1993年の音源を再構成した作品ということで、「今年の新譜」としての時代性の点で一歩後退せざるを得ませんでした。また、コステロに関しては、昨年3位に入賞した前作に比べると、今回のノミネート作はやや趣味性が高く一般性に欠けるという評価を受けました。 そして、結局3位に輝いたのはU2の皆さんになりました。どちらも安定した実力を誇るベテランですが、ここではU2の作品の「平明さ」を採ることとなったものです。ソニック・ユースの「乾き」を推す声も高かったのですが、2010年代前夜にあって、文字通りデタラメな世界の地平を見渡すようなU2のメジャーならではスケール感に軍配が上がりました。 したがって、優秀賞は、次点、3位と評点で同点だったソニック・ユース、エルヴィス・コステロ、プリファブ・スプラウトの3組となりました。 ところで評点だけならこれらの作品を上回ったのがゴメス・ザ・ヒットマンのリード・ボーカリスト、山田稔明さんのソロ・アルバム「Pilgrim」でした。しかしながら、ゴメス・ザ・ヒットマンは当サイトでは「別格」なので例によって選外とし、審査員特別賞を授与することとなりました。夕暮れと夜の境目に目をこらすような、かすかなさざ波が描く一瞬の模様を焼きつけるような、そんな作品です。一人でも多くの人の手に届けばいいと思います。 今年も買うCDは少なかったと思います。それから音楽誌各誌の今年のベスト・ディスクみたいなのを見ていると、僕の聴くものとかなりズレて来たなと思います。いや、もちろん僕の方がズレてるんでしょうけど。聴く音楽が保守化してるのかもしれないとは引き続き思いました。まあ、自分でカネ出してCD買うんだから聴きたいものを聴くまでですが、訳の分からないものを取り敢えず聴いて失敗してみるという体験が少なくなっているのは感じます。まあ、それはもういいとそろそろ開き直った方がいいのかなとも思います。 そういう訳で、シーン全体を総括するのもアレですが、正直、買いたいと思うCDの少ない年でした。タワレコとHMVを回っても何も買わずに帰ってくるという、以前では考えられないことが何回もありました。シーンが面白くなくなっているのか、僕のアンテナが鈍っているのか、結局旧譜のリマスター再発みたいなものにカネを使ってしまった一年だったかも。 そんな訳で、個人的なロック体験としての第11回 Silverboy Club Music Award、大賞はブルース・スプリングティーンさんでした。それではまた今年の年末にお目にかかりましょう。 【選考結果】
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