Silverboy Club Music Award 2007 1年間のご無沙汰でした。今年も恒例の Silverboy Club Music Award の時期がやって参りました。いやあ、もう1年なんてあっという間ですねえ。このアワードも今年で第9回を迎えることとなりまして、業界では権威ある賞のひとつとして注目を浴びているとかいないとか。好きでやり始めたことでもここまでやってると立派なもんだと我ながら思います。ま、それはともかく、輝く Silverboy Club Music Award、2007年のベスト・ディスクを発表して参りましょう。 では、まず大賞の発表です。輝く Silverboy Club Music Award 2007、大賞受賞者はザ・コーラルの皆さんに決まりました。パチパチ。ジェイムズ・スケリーさん、これをご覧でしたら是非喜びのコメントをお願いします。ザ・コーラルは2005年に、大賞のポール・ウェラーと同評点ながら受賞を逃し次点に泣いた苦い経験がありますが、今回は見事に大賞を射止めました。 今回のアルバム「Roots & Echoes」は2007年のロックシーンとの引っかかりは希薄であるものの、流行を飛び越えていきなり歴史に直結したような普遍性と音楽としての純度の高さで高く評価されるべき作品だということで審査員に異論はありませんでした。唯一無二の音楽性で独自のポップ観、ロック観を主張し続けているザ・コーラルですが、ロックの豊穣な歴史を継ぎながらそれを現代の作品として構成する実力は高いものがあります。引き続き活躍することが期待されます。 さて、次点にはアッシュが選ばれました。アッシュは意外なことに3位入賞はおろか、優秀賞の受賞すらこれまでになかった訳ですが、ブリティッシュ・ロックとしての繊細さ、近さを失わないままロックとしての強度、パワーの出力をガンガン上げて行くという無茶な試みを成功させている彼らの「素」の力は以前から定評があり、当サイトでも高く買ってきたものです。メタリックですらありながら尊大感、大仰さがまったくないのが奇跡的だとの意見もあり賛同を得ました。 さて、3位には、ホワイト・ストライプスが入賞しました。もうロックなんだかそうじゃないんだかよく分からない異形の作品ではありますが、その異形さこそがロックだというある意味正論が支持を得る結果となりました。世の中的にも高い評価を得ているバンドであり、当サイトで高得点をつける必要もないのではないかという根強い異論もありましたが、当サイトですら評価せざるを得ないほど実力が高いという意見が大勢を占めました。 これらの他、スピッツの「さざなみCD」が本来であれば次点に相当する好評価を得ましたが、スピッツもこのサイトでは「特別扱い」のアーティストであることを考慮し、審査員特別賞の受賞となりました。もはややりたいことをやりたいようにやることがそのままスピッツの世界になるという幸福な状況の中で、遠慮のなさに磨きがかかった作品だったとの評価を受けました。草野マサムネさん、ご覧になっていましたら喜びの声をお寄せください。 惜しくも受賞を逃した作品の中にも、スリルズ、スーパー・ファリー・アニマルズなどの作品は審査員から高く評価する意見が出されました。一方で、メイン・ストリームにおいてエポックになるような作品のなかった年だとの総評もありました。アークティク・モンキーズ、トラヴィスの新譜は当サイトでは高い評価を受けることができませんでした。レディオヘッドの新作は2008年のレビューに持ち越されました。 自分自身としては昨年以上に買う新譜CDを絞った1年でした。音楽雑誌で取り上げられる新人のアルバムはほとんど買いませんでした。聴くに値する音楽だけを聴きたい。もちろんそれってカスをたくさん聴いた上でこそ言える訳で、何が聴くに値する音楽かを聞き分けるためには当然そうでない音楽も聴く必要がある訳ですが、今年は僕としては評価の固まった音楽を聴く傾向の強かった1年だったと思います。来年はどうするか、ゆっくり考えてみます。 そんな訳で、個人的なロック体験としての第9回 Silverboy Club Music Award、大賞はシャックの皆さんでした。それではまた来年お目にかかりましょう。 【選考結果】
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