Silverboy Club Music Award 2006 1年間のご無沙汰でした。すっかり年も明けてしまった訳ですが、恒例の Silverboy Club Music Award の時期がやって参りました。このアワードも今年で第8回を迎えることとなりました。ここまで続けてこられたのはひとえに自分のマニアックな性癖のなせるワザだと思いますが、まあ、そんなことはどうでもよろしい。輝く Silverboy Club Music Award、2006年のベスト・ディスクを発表して参りましょう。 では、まず大賞の発表です。輝く Silverboy Club Music Award 2006、大賞受賞者はシャックの皆さんに決まりました。パチパチ。マイケル・ヘッドさん、これをご覧でしたら是非喜びのコメントをお願いします。シャックの皆さんは2003年に続いて2度目の大賞受賞となりました。 今回のアルバム「The Corner of Miles And Gil」は彼ららしいヒネリの効いたシニカルなポップ・アルバムに仕上がっています。ペイル・ファウンテンズを愛する審査員の間からは、もう少しジャカジャーンとギターの鳴る曲も欲しかったという声があり、確かに内向的な作品ではありものの、ひとつひとつ愛おしむように音符を積み上げた祈りのようなマイケル・ヘッドの曲作りの完成度の高さが、前作に続き評価を受けました。国内盤もようやくリリースされました。今後の活躍が期待されます。おめでとうございます。 さて、次点にはソニック・ユースが選ばれました。2002年、2004年に3位を獲得したことはありましたが、次点は初めてです。コンスタントに質の高い作品を作り続けていることが伺われます。今作「Rather Ripped」ではキャリアの重さを踏まえながら、ひとつ上のステージに突き抜けたような清新なロックンロールの、表現としての強さが審査員からも強い支持を受けました。こういう人たちがいることで「ロック・シーン」というものが意味を持ち得ているのだと思います。この、ロックへの立ち向かい方は混迷する時代にあってひとつの光だと言っても決して言い過ぎではないでしょう。 さて、3位には、評点が同点となった3作の中から、プライマル・スクリームが選ばれました。ロディ・フレイム、エルビス・コステロ&アラン・トゥーサンという強敵を抑えての受賞ですが、ここでは「現役感」が決め手となりました。今作「Riot City Blues」はここしばらくのエレクトリック路線から一転してレアなロックンロール、カントリーに回帰した作品でしたが、その変幻自在ないい意味での無節操さと、そうした雑食性で常にロックの僻地を強引に開拓して行く力、自信が高い評価を得ました。 同じ評点を得ながら惜しくも優秀賞となったロディ・フレイムは、まったくのアコースティック・アルバムだった前作から、今作「Western Skies」ではややカラフルな輝きを取り戻し、変わらぬ歌声を届けてくれました。また、アラン・トゥーサンとの共作となったコステロの新作は「歌」の力を再認識させました。ともに、プライマル・スクリームの作品に引けを取らない力作であったとの評価を得ています。 毎年、アルバムの評点には大胆にメリハリをつけようと考えているのですが、今年も評価が真ん中辺り、「7松」と「7竹」辺りに集まってしまった感は拭えませんでした。アルバムを一聴して明確な印象が得られないと、どうしても無難な評価になり、その結果、間違いのないベテランや以前から好きなアーティストに公表かが偏る結果になった面もあるとちょっと反省しています。自分の中での評価軸の再構築が2007年の課題です。 2006年は世間的にはアークティク・モンキーズが高い評価を得ました。当サイトでも優秀賞の次にあたる「7松」の評価をつけましたが、正直、ロック史に残るような名盤でもなかったような気はします。同じ「7松」ならヴァインズの方がよっぽどいいアルバムだと思います。これとレイザーライトはもうちょっといい評価をしておいてもよかったなとやや後悔です。あと、カサビアンもよかったですね。いずれにせよ、聴きたいものを聴く、だって僕のお小遣いで買ってるんだもん、というスタンスは2007年も崩さずに行きたいと思います。 そんな訳で、個人的なロック体験としての第8回 Silverboy Club Music Award、大賞はシャックの皆さんでした。それではまた来年(てか今年だけど)お目にかかりましょう。 【選考結果】
2007 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |