Silverboy Club Music Award 2002 微妙に年も明けてしまいましたが、Silverboy Club Music Award の季節となりました。毎年、1年間にレビューしたその年発売のアルバムの中から、評点の高かったものを集計・整理して発表するというこの企画も今年で第4回を迎えることになりました。シャレでも遊びでもここまでやると我ながら立派なもんです。 では、発表です。輝く第4回 Silverboy Club Music Award、大賞の受賞者はプライマル・スクリームに決まりました。パチパチパチ。おめでとうございます。プライマルズの皆さんは一昨年にも「XTRMNTR」で2位に入りましたが、今回は初の大賞受賞です。ボビー・ギレスピーさん、もしこれをご覧でしたら喜びのコメントをお願いします。 プライマルズの「EVIL HEAT」は、2002年というカオティックな時代、そのギリギリの切羽詰まり方を極めて音楽的に構築して、審査員一同から文句なしの評価を受けました。ケビン・シールズのこのアルバムへの貢献も高く評価されています。まさに獲るべくして取った大賞と申せましょう。 次点には充実した新譜を発表したエルビス・コステロさんが選ばれました。この人のソングライターとしての資質、シンガーとしての実力は既にだれもが認めるところですが、今年発表された「WHEN I WAS CRUEL」は「SPIKE」以降の試みが非常に高い水準で結実した名作であったということができるでしょう。 3位にはソニック・ユースの「MURRAY STREET」が入りました。彼らもまた既に定まった評価を得ている、キャリアの長いアーティストですが、それを踏まえて彼ら自身の「ロック」に帰還した新作で堂々の入賞となりました。ここに至ったこれまでのレベルの高い活動も合わせて評価されています。 4位以下は優秀賞となりますが、この中で特筆すべきはスーパーグラスでしょうか。前作に続きコンスタントにギミックのないしっかりしたロック・アルバムを製作し続ける姿勢は入賞に準じるものとして特に高く評価されています。次作での入賞が期待されます。また、ここ数作の沈滞から見事な復帰を果たしたオアシスの新作も印象に残るものでした。 総評としてはこの受賞者の顔ぶれに表れているように、新人、若手に見るべきものがなかった1年だったということができるでしょう。確かにザ・ミュージックのように注目を集めるバンドもあるにはあったんですが、どうもきちんと残って行くバンドとは思えなかったです。あと、コールドプレイの新譜は難しかった。いいか悪いかといえばいいに決まってるんだけど、これを認めるか認めないかという踏み絵を迫られている感じはしますね。嫌いじゃないですけど。ちなみにザ・ミュージックは6竹、コールドプレイは7松でした。 僕自身としてはドイツから帰国してちょっとバタついたものの、何とかがんばって音楽を聴く時間もそこそこ捻出することができた。考えていれば苦しいときの救いがロックからネットに移行しているような気もするんですが、それでも日常の中で切実にロックを求める瞬間というのは確かにありました。ただ、新しいバンドに対する耳の開かれ方はどうなんだろう、やっぱりしんどくなってるのかなあ。 そんな訳で、個人的なロック体験としての第4回 Silverboy Club Music Award 大賞はプライマル・スクリームの皆さんでした。それではまた来年お目にかかりましょう。 【選考結果】
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