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●HEROES
 (作詞・作曲 uncle-jam)
●DREAM AGAIN 〜ラジオからP.S. I Love You
 (作詞・作曲 uncle-jam)
●I Will
 (作詞・作曲 uncle-jam)
●僕たちのキャンドル
 (作詞・作曲 uncle-jam)
●ウキウキMUSIC 〜毎日はメリーゴーラウンド
 (作詞・作曲 uncle-jam)
●かじりかけのトースト
 (作詞・作曲 uncle-jam)
UNCLE-JAM
2013.7.25
ワサビィ / WSBR002

■PRODUCER : uncle-jam

伊藤銀次が黒沢秀樹と二人で結成したユニット、アンクル・ジャム名義の6曲入りミニ・アルバム。純然たるソロ作品ではないが、銀次のオリジナルのスタジオ音源は2003年のココナツ・バンク以来実に10年ぶり。

プロデュース、全曲の作詞曲ともアンクル・ジャム名義。ビートルズを初めとする60年代のロックンロールや、ロックパイルなどを下敷きにした70年代のパブ・ロックを主なバックボーンとしたオーソドックスでポップなオリジナルを、ほぼ全曲で黒沢が上、銀次が下のハーモニーの二声で歌う。

銀次は下のパートを担っている分、印象としては黒沢の声の方が強いが、二人の声はしっかりとハモって一体になりながらも、それぞれの声がしっかりと聴き取れて、初期から中期のレノン=マッカートニーを思い起こさせる。曲もメロディの美しさとはっきりしたキャラクターでユニットの性格を表現しており、どちらが書いたかはまったく分からない。

ほぼ全編をテンポのいいリズミカルな曲でまとめており、6曲23分はあっという間に終わってしまう。銀次の「Baby Blue」からの一連のアルバムや、曲によってはBOXなどにも通じる、良質なポップ音楽をコンテンポラリーな技術で洗い替えて2010年代に問い直すという明確なコンセプトが生きている。サポート・ドラムが杉真理の息子である杉未来なのも感慨深い。

こういうコンセプトをはっきりと絞り込んだプロデュースで銀次の才能が最も効果的に発揮されるのは歴史が示している通り。没入と相対化のバランスが絶妙で、やはり銀次はバランスと勉強の人だと納得させられる。

ここに音楽的な意味でのイノベーションはないかもしれないが、長く聴かれる音楽の本質みたいなものをより純化した形で抽出する作業はむしろ音楽をよりオープンに、普遍的にするもの。「Baby Blue」の頃のスタンスにごく自然に回帰したものであると同時に、そこから連続性を保って銀次がこれまでずっと取り組んできた音楽のひとつの到達点。今後の展開にも期待したい。


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