GOLDEN☆BEST 〜40th Anniversary Edition〜 1972年にごまのはえがデビューしてから40周年ということで企画されたオールタイム・ベスト。ごまのはえ名義のデビュー曲『留子ちゃんたら』(ボーナス・トラック)から、この時点での最新のスタジオ音源であるココナツ・バンク名義の『東京マルディグラ』まで35曲に加え、ボーナス・トラックとしてこれまでスタジオ音源化されていなかった『ウキウキWATCHING』と、uncle-jam名義の『Crying All Night Long』の2曲を合わせた37曲を収録した2枚組。 ポリスター以前が4曲、ポリスター時代が17曲、東芝EMI時代が10曲、それ以降が6曲というバランスで、シングル曲や一般に代表曲とされる曲を中心にした概ね穏当な選曲。個別に細かく見ればもう少し東芝時代が厚くてもいいのではないかとか、『普通の男』とか要るのかとか、逆に『Good by Cruel World』は入らないのかとか、『夜を駆けぬけて』はシングルのミックスの方がよかったとかいろいろあるが、それはもう言いだしたらキリのない世界なのでこんなものだろう。『白い恋人たち』はミニ・アルバム「POP STEADY #8」に収録された「SPRING MIX」を収録。 図らずも「代表曲」になってしまった『ウキウキWATCHING』がスタジオ音源として初めて収録されたことや、幻のデビュー曲となっていた『留子ちゃんたら』がCD化されたことはこの企画での大きな成果であり、単なる過去の音源の寄せ集めに終わらない付加価値となった。 また、スリーブでは銀次本人による挨拶分が冒頭に掲載されている他、大瀧詠一、佐野元春、杉真理らからもコメントが寄せられている。大瀧は翌2013年末に帰らぬ人となった。佐野が「それは銀次からのアドバイスだった。『信念のままに迷わずに行け』。僕は分かったと答えた」と書いているのは興味深いし、村田和人(2016年2月没)が「僕の『堕落の夏』を一度銀次さんに歌っていただけたら、村田、死んでも悔いはありません!」とコメントしているのも落涙を禁じ得ない(銀次は2017年のアルバム「MAGIC TIME」でこの曲をカバー)。土橋一夫による銀次の詳細なバイオグラフィもある。 1枚で銀次の歩みを知り、主要な曲を聴くことができるという点でよくまとまったコンピレーション。スリーブも価値があり、まずはここから入ってみても悪くない。 2018 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |